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ローマの栄枯盛衰をみてきたナヴォーナ広場のオベリスク

ローマで最も有名な広場の一つPiazza Navona(ナヴォーナ広場)の中央にそびえ立つのは、高さ16.54mのオベリスク。バロック彫刻の傑作ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ作≪四つの川の噴水≫の土台部分をたすと高さは30.17mにもなります。

このオベリスク、ローマに残る他のオベリスクと違い、エジプトから運ばれてきた花崗岩が使われているものの、表面に彫られた象形文字を含め紀元後1世紀の終わり頃ローマで製作されました。柱身には皇帝ドミティアヌスが古代エジプトの太陽神ラーの姿で描かれています。また、当時は、この場所ではなく、パンテオンの近くにあった女神イシスとセラーピスに捧げた寺院の中庭に置かれていました(他説もあり)。

それを311年皇帝マクセンティウスがローマ郊外につくった彼のプライベート保有地の一部である競技場に移動しました。その地で、ローマ帝国の崩壊を迎えたオベリスク。競技場は荒れ地になりはて、オベリスクも遺跡の中で砕けて横たわっていました。

1600年中頃 このオベリスクを修復し再びローマの中心ナヴォーナ広場に戻すことに決めたのがベルニーニ。彼は、自分の製作した噴水を飾りたてるためだけにオベリスクを持ってきたわけではありません。古代ローマ人は競技場の中心によくオベリスクを立てたのですが、ここナヴォーナ広場もローマ時代にはスポーツ競技場でした。そしてまさに、このオベリスクをつくらせたドミティアヌス皇帝によってつくられた競技場だったのです。

競技場の形が今でも残るナヴォーナ広場

現在オベリスクの最上部には、ベルニーニに製作依頼した教皇イノケンティウス10世の出身パンフィーリ家の紋章である口ばしにオリーブの枝をはさんだ鳩が飾られています。(そのためパンフィーリのオベリスクとも呼ばれています。) ローマの栄枯盛衰をみてきたオベリスク。これからの歴史のうつりかわりもみつめていくのでしょう。

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