TRPGとは?

今年こそ、TRPGをするという強い決意のもと、これまで、TRPGというものに触れたことがない方にも、是非プレイしていただきたいと思いまして、そもそもTRPGとはなんぞやというところと、プレイにあたって、どういったところに気をつけたらいいのかというところを書いていきたいと思います。
長文になってしまいましたが、お付き合いいただければ幸いでございます。

<そもそも「TRPG」って?>

「Table talk Role Playing Game」、略して「TRPG」です。
訳すと、「口述で行う、役割を演じるゲーム」となります。
ホスト役のゲームマスター(以下「GM」)一人と、プレイヤーが数名いて、ゲームマスターが用意したミッションを、プレイヤーが解いていくようなかたちで進んでいきます。

<「TRPG」とはコンピューターの役割を人間が担うRPG>

コンピューターゲームのRPGの元がTRPGですので、オーソドックスなところで、ファミコンの「ドラゴンクエスト3」について、比較参考のために説明させていただきます。

「ドラゴンクエスト3」というファミコンのゲームは、中世的なファンタジー世界で、4人の仲間が魔王を倒しに行くというゲームです。ゲームですので、ただお話をなぞるわけではありません。プレイヤーは、道中敵と遭遇し、戦います。また、移動したり、街の人に話しかけて情報を得たり、先に進むために洞窟や塔に隠された鍵や宝を探しに行ったり、依頼をこなして船を手に入れたりします。

TRPGでは、例えばその「ドラゴンクエスト3」のゲームで、コンピューターが担っている部分の大半を、GMが務めます。

GMの役割を具体的に挙げますと、

・大筋のストーリー設定

冒険には目的がありますが、その目的を設定します。「ドラゴンクエスト3」でいえば、短期的な目的としては「盗賊のカンダタ一家を倒す」等ですし、長期的(最終的)な目的は「世界を破滅に導く魔王を倒しに行く」となります。ただ、コンピューターのRPGと異なるのは、プレイヤーは必ずしもそれに従わなくていいということです。その辺りは後述しますね。

・情景描写

街の風景やどんな人がそこにいるのかなどを伝えます。

・プレイヤー以外のキャラクターの動きの説明

街の人やモンスターが、どんな動きをするのかを決めて伝えます。どんなキャラクターが登場するのかも、GMのチョイスになります。

・成功するかしないかのジャッジ

基本的にはルールブックに従っての処理ですが、例えば、剣を振り下ろしたときに、それがモンスターに命中したのか、命中したらどれくらいのダメージを与えるのかといった具合。

他にも、仲間の一人がモンスターを挑発して気を引きつけているから、他の人からの攻撃が当たりやすくなっているだとか、ルールブックに記載されていない判定も、GMが行います。

では、プレイヤーはどうなるでしょうか。

コンピューターRPGの「ドラゴンクエスト3」では、プレイヤー1人でパーティメンバーの全てを動かします。
しかし、TRPGでは、プレイヤー1人につき、1キャラクターを動かすというのが原則です。
何故かというと、「キャラクターになりきること」「1人の人格としてプレイすること」が、このゲームの楽しみとしてあるからです。

最近では、コンピューターRPGでも、主人公1人だけを動かして、ゲーム世界への没入感を高めるものも、多く出ています。(「アサシンクリード」や「スカイリム」など)
また、多くのMMOが、そういったスタイルだと思います。(ファンタシースターオンラインシリーズや、ファイナルファンタジー11、14等)

<コンピューターRPGと比較したTRPGの特色>

プログラムではなく「人」がジャッジをすることで、行動の範囲が大きく広がります。
例えば、コンピューターRPGの多くは、敵と遭遇したら、「たたかう」「逃げる」「魔法」「道具」など、決められた行動しかできません。それに対して、「TRPG」は、「つり橋で敵に遭遇したので、急いで渡りきってつり橋のロープを落とす」といったことも、特にそういったシチュエーションが予め演出されていない場面においても、想像力次第でできてしまいます。

また、1人が1キャラクターをプレイすることで、コンピューターRPGで操作するような「無口なキャラクター」ではなく、血肉の通った、会話のできるキャラクターとなります。村人との会話も、ご都合的に、村人が一方的に話すわけではなく、こちらのはたらきかけ方によっては、情報をくれなかったり、あるいは秘密を教えてくれたり、ということができます。
逆に、喋らないと物語が進展しません。実は僕は、以前はそこが苦手だったんですけどね(笑)

先程、プレイヤーは必ずしもGMの用意した筋書きに従わなくていいと書きましたが、キャラクターの行動を決めるのはあくまでもプレイヤー自身ですので、お互いの合意が取れているのであれば、(喧嘩になるなど、つまらないことが発生しなければ)元々用意されていた筋からの逸脱もアリです。その自由度が魅力でもあります。
先のドラゴンクエスト3でも、ノアニールの眠らされた村のミッションは、解決せずとも進めますし、船を取得した後の行動は、いくつか選択の余地があります。それが、より広い範囲で行えるという感じです。

ということで、なんとなく「TRPG」の概要をご理解いただけましたでしょうか。

<TRPGの魅力とはライブ感とサイコロの出目の妙>

で、何が楽しいの? ということですが、プレイヤーに関しては、

・物語世界への没入

・キャラクターへの感情移入

・冒険成功の達成感

・戦略がはまったときの爽快感

・キャラクターの育成(能力ステータスだけではなく、その世界の様々な人と知り合うことでの人物相関や、爵位等の社会的ステータス、体験からの心の成長なども含む)

・いわゆる「台詞」部分がライブに構築されるため、即興劇的な楽しみ

・仲間との連携や親睦

・偶然(サイコロなど)が生み出すドラマ性

・カタルシス

といったところでしょうか。

戦略がはまったときの達成感までの4項目までは、コンピューターRPGでも多かれ少なかれある部分です。
ですので、TRPGとして重要なのは残り5項目です。その五項目をざっくりまとめてしまうと、「体験とライブ感」だと思います。

わかりやすくゲーム性を担っている要素が、「成功しないかもしれない」というところの、「サイコロを振る」という行為です。ある種ギャンブルの快感にも近いかと思いますが、戦略を巡らせて駆け引きをして、勝率を上げていくというのは、実際楽しいことです。
また、コンピューターRPGでのアクションの大半を占める、「敵をどう排除するか」という課題も、「話し合いで解決」することもできます。

「キャラクターを演じる」「キャラクターとしてプレイする」というところでは、自分の能力の上をいくキャラクターを演じるのはなかなか大変です。例えば「このキャラクターは賢い」という設定をしても、振る舞いとしてそれが伴わない、などということはどうしても発生しがちです。その辺は、「役者が役を演じる」感覚に近いのかなと思います。
もちろん、個人の能力が役割を制限するものではなく、当人が納得するのであれば、いかなる役割にでもなれますし、背伸びすることでプレイヤーの地力がアップしていくということも多々あります。
そういった、「いかなる役割にでもなれる」というところを活かして、男性が女性のキャラクター、あるいは人間であるところの我々が、人間以外のキャラクターをプレイするということも可能です。
特に、そういった異種族をプレイできるというのは、ひとつ大きな醍醐味かもしれません。

<GMは、難しいけど楽しい演出家>

GM側が何を楽しむかというと、

・自分の考えたストーリーを、プレイヤーに体験してもらえる

・自分の考えたシチュエーション、戦略をプレイヤーに体験してもらえる

・プレイヤーが恐らくこう動くだろうなという読みが当たったときの快感

・プレイヤーが予想外の動きをしたけれど、アドリブでうまくまわせたときの快感

・全部自分で作ったわけではない、偶然が介入したストーリーが生成される

・偶然(サイコロなど)が生み出すドラマ性

・カタルシス

GMはいわば、監督であり演出家です。ただ、舞台に立つ役者(キャラクター、プレイヤー)が、シナリオ通りに動いてくれる保障はありません。むしろ、プレイヤーはある意味で「共著者」、一緒に物語を作り上げていく存在となります。そして、用意した道筋から展開が逸脱しても、それが失敗になるとは限りません。

筋書きがないところで、アドリブがピタリとハマったときは、快感があると思います。
その意味では、プレイヤーよりも高い即興性が求められます。

よく、物語で「出来すぎた展開」というものが存在しますが、この「サイコロ次第では、失敗するかもしれない」という状況が、「ご都合主義」を、ある程度回避してくれます。
その、ある種の「正当性」(実際にサイコロの目が出たということ)を持った物語生成が、GMの醍醐味のように思います。

<何故プレイ人口が増えないのか>

そんなに楽しいTRPGなら、何故プレイヤー人口が増えないのか、ということになりますが、以下のような理由があります。

1.GMの負担が大きい

プレイヤーが1人1キャラクターを動かすのに対して、GMの役割は多めです。ストーリー、街や森、洞窟などの地形のマップ、登場させるモンスターとその能力や戦術の決定、洞窟に隠した宝箱の中身と、その見つけ方、ヒントの出し方の決定、などの事前準備に加え、セッション中は、あるときは秘密を持った村の司祭役としてプレイヤーのキャラクターと交渉したかと思ったら、次の場面では洞窟の奥底で10体以上のモンスターの群として、キャラクターに襲い掛からなければなりません。
特に、いわゆるゲームバランスをどうとっていくかが難しい課題としてあります。キャラクター達を全滅しそうになった際にどうするかなど、よく発生する状況ですが、最終的に面白いと感じる難易度設定として、厳し過ぎていないか、あるいは逆に甘くなり過ぎていないかという、バランス感覚は難しいところです。
「プレイヤーはできるけど、GMはちょっと……」という方は、実際多いというのが実情です。

2.少人数だと厳しい

少なくとも、GMを含め3人は欲しいというのがTRPGです。何故なら、プレイヤー同士の相談が発生しなければ、極めてコンピューターRPG的になってしまうからです。現代の忙しい人たちが、定期的に集まるのは意外と大変です。

一回のセッションだけでも楽しいですが、TRPGの醍醐味は、「キャンペーン」という、同一キャラクターを使用しての連続プレイにあるかと思います。何故なら、キャラクターは冒険を繰り返す過程で成長し、人間関係を構築していくからです。

3.遊び方がわからない・敷居が高い

一般的ではないゲームなので、「やりたい」あるいは「やってもいい」と名乗りをあげてくれる人がなかなか少ないということがあります。

また、多くの人は即興劇的な遊び方を、難しい、恥ずかしいと感じてしまうかと思います。そのゲームならではの空気感みたいなものは、徐々に体感していくしかないのですが、ゲームによってはルールや定石などを学ぶのも時間が掛かりますし、正直敷居が低いとは言えません。

4.実は統一された遊び方が存在しない

物語の大筋を構成するのが、一人の人間というところで、いわゆるハウスルール的な部分が、どうしても出てきます。
小さなところで言いますと、ニュアンスを伝える際に、どういった例が通じるか(シチュエーションを説明するのに、「『もののけ姫』のモロみたいなのが3匹、凄い勢いで君らめがけて走ってくるよ」で通じるのかどうかとか、そういうことです)ということから、例えば、「ピエール瀧みたいな声で歌っている雪だるまがいるよ」でこれから何のパロディが始まるのかが通じるか(他のプレイヤーやGMと、同じ作品を見たり読んだりしているか)ということがあります。
このパロディが結構クセモノで、GMは漫画と同じシーンをシチュエーションとして再現したつもりでも、実際にはシナリオ上でのプレイヤーキャラクターが置かれている前提条件が、漫画のそれと全く異なるといったことが多々あります。漫画家が何時間もかけてひねり出したアイディアを、漫画の登場人物がさも瞬間的に思いついたように描写したとして、それをプレイヤーに求めるのは酷な話です。そのパロディ元の知識の有無が生死を分かつような状況はあまりよろしいとは言えません。(けど結構そういうことはありましたw)

他にも、例えば「このGMは司祭の戒律を厳密にジャッジするから、司祭が敵の悪魔の提案にホイホイ乗ったら、ペナルティがくるよ」ということもあります。

ルールは同じでも、ストーリーの作法というか、演出が違えば、求められるプレイの仕方が変わってきます。例えばホラーのような作りで、敵をただ倒すのではなく、敵が倒せない程強いので、戦わずに逃げて、呪いの根源を探るというような内容になっていることも、十分考えられるのですが、大概の人は、コンピューターRPGで題材になるような、ヒロイックファンタジーを期待していくので、構えもなくいきなりそういったホラーや、推理劇や宮廷陰謀劇などが始まってしまうと、「え……?」となってしまうわけです。
また、同じヒロイックでも、特撮のような演出を好む人もいれば、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような演出を好む人もいるでしょう。
そのあたりの、なかなか言語化されないコンセサスの部分が、不当にこのゲームの敷居を上げている感があります。

しかし、こういった諸々の問題は、予めコミュニケーションをとっていれば、回避できる部分でもあります。
あんまりプレイの直前にそれをやってしまうと、いわゆるネタバレになっちゃったりするので、好きな作品の傾向だけでも掴んでおけば、という感じです。

<『リプレイ』で雰囲気を掴む>

まず、大原則ですが、「知識があることが偉いというわけではない」です。ゲームなので、楽しめればそれでいいのです。(一部、知識に拘ってしまう方々がおりますが、そういったところも敷居を上げてしまう一因です)

とはいえ、その物語世界に熟知していた方が、より「らしく」立ち回れる、世界に没入できるというのも事実です。

故に、雰囲気を掴むために、関連書籍を読むというのも、一つの手ではあります。

例えば、最初のTRPGといわれる「Dungeons &Dragons」であれば、

「ドラゴンランス」
(http://ascii.asciimw.jp/ascii/dragonlance/)(http://www.tsubasabunko.jp/special/sp0907-c.php)

「ダークエルフ物語」
(http://ascii.asciimw.jp/books/books/detail/978-4-04-867479-9.shtml)

といったシリーズなどが、ゲームの雰囲気を反映させた作品になっていますし、「ロードス島戦記」も、「Dungeons & Dragons」をプレイしている様子を本にした「リプレイ」といわれるものから始まりました。

この3作品、使用されているゲームは同一ですが、世界設定が異なります。
同じルールを使ったゲームでも、世界設定が違うとかなり異なった印象になります。

※「Dungeons & Dragons」の成り立ちについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照のこと。プレイ風景も掲載されていてオススメ。
http://www.4gamer.net/words/004/W00481/

また、こういった市販されている書籍以外でも、Web上に有志がアップしたリプレイが掲載されていたりもします。

GMがどういった語りをするのか、プレイヤーがどのように行動を宣言するのかなどは、リプレイを読めば、大まかに掴むことはできるかと思います。

また、ニコニコ動画などで、プレイ風景が配信されていたりもします。

http://www.nicovideo.jp/watch/1374164377
http://www.nicovideo.jp/watch/1374164486
http://www.nicovideo.jp/watch/1374730803
http://www.nicovideo.jp/watch/1374730755

こちらはホビージャパンが公式で展開している説明と動画。

http://hobbyjapan.co.jp/dd/article/index2.html

<ファンタジーである必要はない>

リリースされている作品は、ファンタジーものが多いですが、そうでないものもたくさんあります。

☆小学生のおばけ退治:「ご近所メルヒェンRPGピーカーブー」(http://www.bouken.jp/pd/pkb/)

☆現代の忍者活劇:「シノビガミ」
(http://www.bouken.jp/pd/sg/)

☆現代の超能力、異能者もの「ダブルクロス」
(http://www.fear.co.jp/dbx3rd/)

☆西部開拓時代的な世界:「テラ:ザ・ガンスリンガー」
(http://www.tenra.net/terra/top.html)

☆ラブクラフトのホラー世界を体験:「クトゥルフ2010」
(http://ch.nicovideo.jp/COC/blomaga/ar61808)

☆SFスペースオペラ:「スペオペヒ~ロ~ズ」
(http://www.game-writer.com/konogoro/trpg/spop/)

特に、「ピーカーブー」はTRPG入門編としてもいいのではないかと。

<実際に体験するには>

関東近郊の方ですと、

神田の「Day Dream」(http://trpgtime.hobby-web.net/first/)

秋葉原、横浜の「R&R ステーション」(http://www.arclight.co.jp/r_r_s/)

といったところでは、店内でセッションが行われたりしています。
あとは、Webで地道にサークルを探すか、気の合いそうな仲間を募るか、といったところでしょうか。

<まとめ>

結構この手の情報をきちんとまとめているところがありませんが、コンセサスさえとれていれば、TRPGはとてもとーっても楽しいゲームです。
また、ジャッジをするGMは人間です。サッカーの審判にも性質が似ています。ときにジャッジを誤ることもありますし、プレイとしてもファールすれすれのプレイがありえます。そういったことにも、自覚的であるといいかと思います。

「TRPG」には物語を読みながら、自分でも書き加えていくような想像性があります。コミュニケーションもあれば、ギャンブルもあります。戦略ゲームでもあるし、笑いや、時には感動もあります。

そんなTRPGに、少しでも興味を持っていただければ幸いです。
ここまで長文にお付き合いいただきありがとうございます!
何かの機会に、一緒に卓を囲めたらいいですね!

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Tsuyoshi Ishii

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