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中国甘粛の旅3 蘭州の柴犬

甘粛の旅 その3 (2015年5月17日)

到着早々、蘭州株がぐーーっと上がってきていたのに、それが一気に元の木阿弥となるような“事件”が起こったのです。

私が最近よく使うホテルは、7天連鎖酒店というビジネスホテルですが、同じような全国チェーン店で、漢庭連鎖酒店というのがあって、昨夜はそこのの西客站店(西駅店)に泊まりました。かつては1泊1000円くらいの安宿によく泊まっていたのですが、北京オリンピックを機に、外国人の宿泊に政府が口を出すようになって、以前のように自由には泊まれなくなったのです。それで最近はネットで予約できて確実性があるところばかり使っていますが、実は、7天でも7割くらいのホテルは外国人を泊めません。漢庭はだいたいどこでも泊めてくれますが、少し高くて、3000円から5000円くらいします。

で、その漢庭酒店ですが、フロントの対応もよく、部屋も落ち着けそうだし、もう2、3泊してゆっくり蘭州観光でもしようかと考えだした夜の9時頃、向かいの部屋の辺りから、工事の音が聞こえだしたのです。電気ドリルに電気のこぎりとトンカチで、ウィーンウィーン!ガリガリッ!ドンドンッ!ウィーンウィーン!と、それはもうけたたましい音の爆発で、とてもじゃないけど休息することなどできません。でもその時間はまだ自分のブログで四苦八苦していたし、そのうちに終わるだろうと思って我慢していました。

ところが、案に反して終わらなかったのです。後でわかったことですが、実はひとつ下の階が全面改装中だったのです。ついに午前0時、フロントまで下りて「ここはホテルなんだから、あり得ない事態でしょう。とにかくすぐに止めさせてくれ」と抗議しに行って、30分後に止めるということで引き下がったのですが、午前1時、もう一度いいに行って、1時半ころ、ようやく音は止みました。朝は午前6時から始まりましたが。。。

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それでもうとにかく今日、宿替えをしました。同じく漢庭の西湖公園店というところです。きのうから目星を付けてはいたのですが、ここは目の前に清真寺(qing zhen si)、つまりモスクがあるのです。

蘭州市には回族というイスラム教徒系住民が50万人くらい暮らしているようで、西湖公園一帯も彼らの居住区になっています。写真では、ビルの谷間で押し潰されそうな気配ですが、これもむしろ現代中国らしいといえるでしょう。ミナレットもいかにも中国風ですが、ここからのアザーンはもう聞かれないようです。

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回族というのは、もともと中国に住むイスラム教徒のことで、詳しくは以下をご参考に;

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部屋に荷物を下ろして、すぐ隣にある公園のたまり場で一服していたら、こんなおじいちゃんたちがやって来ました。近くの村から、この清真寺へ礼拝に行った帰りのようです。おじいちゃんが80歳、おばあちゃんが84歳で回族だそうです。

で、このおじいちゃんは、完全な標準語を話したのです。村でも標準語を使うのかと聞いたらうなづいていました。読み書きもきちんとできて、私の手帳に村の名前を書いてくれたのですが、手が震えて、残念ながら私には読み取れません。私が日本人だといっても、特に驚いた様子もなく、気を付けて行きなさいよといいながら立ち去ってゆきました。

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街をブラついていると、至るところに大小の清真寺があって、蘭州だけで100以上あるそうです。お隣の寧夏省は回族の自治区です。なぜか、どこに行ってもバラの花が植えてありました。何かいわれがあるのでしょうか?

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外から見るとこんなバラックみたいな建物も礼拝所。中を覗いてみるときれいに整えられていました。ここで1日5回、彼らはひたすら神に祈りを捧げながら、共同体の中で心豊かに暮らしているように感じました。

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びっくりしたのは、この赤い紙に書いてある寄付金の額です。左の一番上の人は、10万元寄付しています(1元≒16円)。ずっと下がっても1000元です。もちろんこれがどういう目的の寄付かわからないのですが、2014年と書いてありましたから、もしかしたら毎年ということなんでしょうか?

これに引き換え、私の住む賀家湾村で毎年行われる唱劇の今年の寄付金が、例の“石炭成金”が最高で3万元、1000元出す人など5,6人で、一般的には多くて100元です。後で聞いたことですが、もっと大きな寺では、100万元出す人もいるそうです。蘭州と臨県ではこれほどの所得格差があるということでしょうか?

その後に私は博物館に向かって歩き出したのですが、途中で、目の前を柴犬のような犬を連れて歩いている女性を見かけました。方向が一緒だったので、しばらく後を着いて行ったのですが、どうしても我慢しきれなくなってついに「その犬はなんという犬ですか?」と声をかけてみたのです。すると;

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「これは日本犬なのよぉ」という答えが返ってきたのです。「え~~っ!やっぱり。私、日本人なんですっ!」と、思わず大声で叫んでしまいました。どうやら蘭州にブリーダーがいるようです。彼女は日本びいきで、来月の中頃には旅行団で10日間、日本旅行に出かける予定です。目的のひとつはやはり買い物で、化粧品と電子製品が買いたいとか。ちょうど梅雨時だからもしかしたら天気が悪いかもねといったら、「いいのいいの、まずは一度行ってみて。。。」と、気に入ればその先何度でも行きそうな気配でした。

日本製品は、何から何まで巷にあふれかえっていますが、生きた柴犬がこんなに遠く離れた地で大切にされ、人から聞かれると、今日のようにちょっと自慢げに「日本犬なのよ」とお披露目され、幸せに暮らしてゆける日がいつまでも続きますようにと願う、蘭州2日目でした。

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これは「コピー1枚1角(1.6円)」という看板の下で気持ちよさそうに寝ていた“駄犬”。

*トップの写真は、甘粛省博物館にいた“古代犬”。フォルムがきれいですね。でも、実はここには他にいいものがな~んにもなかったのです。きっと北京や台湾に全部持っていかれちゃったんでしょうね。

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