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てんとう虫を待ちながら……


     ついに49℃を記録しました!

私は相変わらず毎日トッケイファームに通いながら、蝸牛の歩みを続けています。今年のカンボジアは特別に暑く、1年で一番過ごしやすい時期だというのに、我がファームでは、午後の直射日光下では40℃を越えます。ちょっと暑いなと思うと47、8℃。しかし、気象局の発表では10℃ほど低くて、とにかくここは特別に暑いのです。ただ日陰に入れば30℃くらいで、風もよく通り、休み休み作業を続けています。

何度も書いているように、ファームは耕作放棄地に山の土を入れていて、カンボジアの土壌はもともとが粘土質のため、ものすごく水はけが悪く、その上に畑ではなく田んぼの土を入れてしまったので、ほとんど水ガメ状態の畑なのです。そこにモリンガのような直根性の樹木を育てようと思っているのですが、まったく成長が止まってしまった上に、ハダニが大発生して、葉っぱが食い荒らされ、丸坊主になった枝もあります。

昨年9月、トッケイファームに移植する時に収穫。

3本ほどは枯死してしまったのですが、他はまだ大丈夫で、剪定してやるとじきに新しい芽を吹きだします。しかし、それがまたすぐにハダニにやられて葉っぱが黄変し、みな落ちてしまうのです。ここに移植する前の、民家のごくフツーの庭で育てていた時に虫害にあったことは一度もなく、ほんとうに年中青々と緑が茂って3か月に1度は収穫してお茶にしていました。多分、雨季に入ればハダニは減るとは思うのですが……

1m近くにまで育ったトウモロコシも全滅しました。天敵アワノメイガだと思いますが、よくわかりません。コンパニオンプランツとして種から育てているマリーゴールドも、大きく育ちだすとヨトウムシに食べられます。

カオンがいう、「周りで農薬使うから、みんなここへ逃げてくるんだよ」という説にどこまで信ぴょう性があるかわかりませんが、いずれにしろ、土壌改良をして、病気や虫に負けない丈夫な植物に育ててゆくというのが道筋でしょう。最初の頃こそ、YouTubeで調べて、トウガラシやら酢やらコーヒーやら……″手作り農薬″を試してみたのですが、足元に植えた野菜ならともかく、背丈より上に葉を茂らせる樹木には際限がなく、″自力更生″を期待して、今は放置してあります。

で、私はこのところ、酷暑をおしてひたすら、黙々と、″土壌改良″作業に取り組んでいるのです。

ファームの近くに精米所があって、もみ殻はタダで手に入ります。米ぬかは1Kgで30円ほど。ここに積んであるのは私のじゃありません。村人は何に使うのでしょう?飼っている家畜小屋の床に敷くのかもしれません。気になります。

もみ殻をいぶして燻炭化させます。燃やしてしまうと灰になってしまうので、炎を出さないようにずっと番をしながら5,6時間。けっこう喉がやられます。日本ならば、今どきこういう作業が出来るところは少ないのですが、こっちはどこでも平気。

もみ殻燻炭と米ぬかと鶏糞をよく混ぜて、50%ほどの水を加え、発酵促進剤として、スプーン1杯のヨーグルトと納豆(こちらで作っている日本人がいる)パックにこびりついたネバネバを加えてまた混ぜて、山型に積んでおきます。

翌日にはあっという間に50℃越え、順調に発酵が進んでいます。

3日目にはこんな白カビが発生して、順調です。これをまた崩して水を少し加えてかき混ぜ……というのを3,4回くり返して、温度計のメモリが常温になったら発酵終了、天然手作り肥料の完成です。日本だと、夏場でも2週間くらいはかかるみたいですが、さすが熱帯カンボジア、5日で発酵が完了します。

なんだか理科の実験をやっているみたいで、いたくこれが気に入ってしまい、じゃんじゃん作って、もう1年分くらいは確保しました。ところが、畑の片隅に積んでおいたら、犬(だと思う)がめちゃくちゃ掘り崩してしまい、どうせいつかは撒くものだけど、一時にあげ過ぎてもいけないので、袋にしまって納屋に入れました。犬って、高いところが好きだから、山のような形に積み上げておくと、上に登りたがるんです。建築現場の砂山(セメントこねるための)見ると、必ずといっていいほど、犬が2、3匹てっぺんで寝そべってますよね。あっ、日本に暮らしていたら、こんな光景は見られませんね。

去年の秋から頼んであった「畑の土」がようやく届きました。ダンプ1杯35$です。とにかく、大量に手に入るもみ殻をこれまでの土の上に撒いて耕してから、畑の土を被せ、あちこちに深めの穴を掘って堆肥や植物残渣を投入して、その上で自給のための野菜を育て、あとはひたすら土壌が改良されてゆくのを待つ。というのが、私の長期プラン、少なくとも3年はかかると思っています。3年というと、私は80に手が届く時期、命はともかく、果たして畑仕事なんかできるのだろうかと、今すでに痛む腰をさすりさすり、それでもやるっきゃない、人生に目標があるというのは喜ばしいことです。

長くなってしまったので、なぜ、てんとう虫を待っているのかについては次回に。

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