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【自問自答】靴を買いました

こんにちは。飛騨高山の自問自答ガールズ、かわのはしです。
教室受講から8カ月にして、やっと「自己評価」と言える靴を買いました。

結論から申しますと、銀座ヨシノヤのホッソリーナのショートブーツです。

試着100足はしていません。30足くらいです。
購入場所は新宿伊勢丹。その一週間前に、富山のイオンモールで90分の試着旅をしました。その時の暫定一位はアースミュージック&エコロジーのニットブーツ。

でも伊勢丹のシューフィッターさんに「足型にぴったりで、きちんと足を支えてくれる靴を選んでください」と言われまして。アースのはゆったりしているので支える効果はないなと、自分でも足の具合を見て納得の上、ホッソリーナに決めた次第です。

では、結論に至るまでの2時間ほどのお話を。


伊勢丹の第一印象は「美しい石壁」


高山と比べると暖かい、11月下旬の東京。夕方5時前、伊勢丹に到着した私はまず、ライトアップされた石壁に目を奪われた。複雑な彫刻の描く陰影がなんとも美しい…。
当然のことながら、ショーウィンドウには華やかなクリスマスの飾り付けがされている。でも私は石壁が好きだ。渋いな自分と思いながら、ガラス扉から店内を覗いた。

元々私は肝が据わっている方だし、都内の大学へ通っていた頃に百貨店でコスメや靴を買ったこともある。若くてお金のなさそうなお客さんにも、店員さん達がとても優しいことも知っている。
それでも久々の百貨店、しかもクリスマス前の新宿伊勢丹にはちょっと怯えた。

ガラス扉の向こうは夢のようにキラキラと明るくて、たくさんの人が行き交っている。
予想以上の人混み。旅行客が多く、カジュアルな恰好をした人がほとんどだ。
自分のコートがセールで4,000円の品だし、自宅洗濯を繰り返したので色も褪せてきているのが負い目だったけど、これなら溶け込めそうな気がしてズイと足を進めた。

Your fit 365の予約を取ってあったので、靴売り場へ向かう。2階に上がるとお客さんが少なくなり、売り場の様子が見えてくる。
アンスリードやリミフウがあった。「あっ、知ってる」と思うものの、販売員さんがみんな尖った格好をしたオシャレさんでビビる。ちょっとまだ、私ではレベルが足りない気がする。

バーカウンターでは紳士淑女が足を休めている。そのジャケットやお靴はきっとハイブランドのお品ですよね…という風格。こっちもまだ馴染めない…というか馴染める日が来るのか。
そんなふうに若干弱気になりながら辿りついた靴売り場では、黒服の女性が3人、受付付近で作業をしていた。

「よかった、すごく普通の感じの人たちだ」というのが最初の感想だった。
落ち着いた髪色と髪型、足元は立ち仕事に向いたスニーカーやフラットシューズ。ほっとしながら声をかける。
とてもスムーズな説明と誘導で、あっという間に準備が整う。「新宿伊勢丹で磨かれた販売員さんだ」という感じがした。
「晴雨兼用の黒いショートブーツで、仕事でも履けるシンプルな物を探しています」と伝え、いざ計測へ。

「あったかい機械」で足を測ってもらった結果

普段履いている靴は22.5cm。靴下やタイツの厚みを考えるとそれでOKだそう。

5年前くらいに名古屋高島屋で販売員さんに測ってもらったときも「22.5cmのCです」と言われたので、まあそうですよねという感じ。

と、ここで販売員さんが「気になる点があるんですが」と重めの口調で切り出す。
「まずは外反母趾。骨を見ないと断定はできませんが、親指の角度からすると可能性は高いです」
はいはい、そんな気はしてました。

「あと土踏まずが潰れてきています」
ん? 高校生の頃、家族で行ったスーパー銭湯で床に残った足跡を見て「土踏まずが少ないね」って言われたけど、これ生まれつきじゃないんですか?
「生まれつきの扁平足なら土踏まずがないので、元はあったものが潰れたと思われます。そして、かかとがズレています」

確かに、かかとが外にありますね…

後ろから写真も撮ってくださったのですが、再現するとこう。

本人的にはまっすぐ立っているつもり

グネッとしてる! 怖!!
大丈夫なんですかコレ?!
「お年を召してくると、足腰が痛む原因になるかもしれませんね。まあ誰でも痛むんですけど…」
推定40代と思われる販売員さんは苦笑した。胸に大きな金色のバッジがついていて「マスターシューフィッター」と書いてある。
(後で調べたら最上位だった。かっけえ)

「おそらく骨が柔らかく、変形しやすい体質なんでしょう。しかも足が細いので、一般的な靴だとスペースがありすぎです。普通なら足に体重がかかっても靴に支えてもらえるのですが、お客さまの場合はそのサポートがないため、足が負荷に負けて変形しつつある…という状態です。
いいお値段するんですけど、一応こういうのがあることはお伝えさせてください」

そう言って、まず一番にサポートサンダルを履かせてくれた。土踏まずがドームのように盛り上がっていて、下からグイッと支えてくれる。周囲はベルトで固定して、足に「この形が正しいよ!!」と教えてくれるような感じ。
「ちなみにお値段は…」
「3万3000円です」
「はあ〜〜」
思わずため息を漏らすと、シューフィッターさんは(でも今日はショートブーツを買いに来たんですもんね)という感じで、次々に箱を開けてくれる。

「私の足に合うショートブーツ」がずらりと並ぶ


シンプルなもの。レースアップ。バックルの飾りがついたもの。センターに縫い目のあるもの。
その中で一番最初に差し出されたのが、銀座ヨシノヤのホッソリーナだった。
シューフィッターさんは言う。
「これが一番足にぴったりだと思いますが、きついと感じるようなら、まずは別のもので『幅狭靴』に慣れていただくのもアリです」

(足を入れ…ていいんですかコレ? 相当引っ張らないと入りませんけど? チャックもギリギリ上がっ…た!って感じですけど??)
心の中で叫びつつ履いて立ってみると、あら不思議。履き心地は悪くない。鏡を見る。うん、シンプルで似合うし好み。

後に買うことになる靴の第一印象は「こんなに細い靴が履けるんだな」だった。

他に持ってきてくださった靴も履いてみる。
色々比べてみると、好みが見えてくる。
見た目ではレースアップが好きで、可愛い😍と目がハートになる。
けど、レースアップで晴雨兼用はものすごく少ない。伊勢丹に在庫がある物から選ぼうとすると、ずんぐりとしたアウトドア感が出るもの一択で、仕事には微妙…

アプリでオススメに出た靴や、自問自答ファッション教室でオススメいただいたブランドの靴も試してみる。
同じ22.5cmでも、履き心地はてんでバラバラ。
箱から出した靴を、シューフィッターさんが一目見て「たぶんこれは幅がゆるめです」「これは土踏まずがしっかりないと前滑りするかも」と言い当てる。魔法みたいだった。

二人がかりで箱を開けたり片付けたりしながら、すごいスピードで試着が進む。
ちなみに待ち時間には「少しでも足を支えて」と、いちいちサポートサンダルに履き替えさせてくださって、もはや「足の守護者」とお呼びしたいほどの情熱。


この一週間前、富山のショッピングモールで「試着の旅90分タイムアタック」をした時には、10足以上試して、素敵と思えた靴は2足だった。
今なら分かる。どれも横幅が広すぎて、脚との差が大きく、不恰好に見えていたのだ。
それが、ああ、今日は出される靴がことごとく素敵。
見た目だけなら「今日は決めきれない」とさじを投げそうだったが、横からシューフィッターさんが「これは大きすぎですね」などと的確に教えてくれる。

確かに、そう言われるブーツは少しかかとが浮く感じがあったり、幅に余裕がある感じがあったり。でも、ほんの少しの差だけど…
「ピッタリがいいんですか?」
「はい、お客さまの場合は、足を支えてくれるように甲周りがピッタリしたものを選んでください。かかともなるべくピッタリの方が、シワが出なくて美しいです。指先は余裕があってOKです」

「なるほど。それで晴雨兼用となると、最初のですよね…」
「あっ、あの、今日決めなきゃいけない訳ではありませんので」
「でも私、高山から来てるので、決めたいです」
「なるほど。ああ、では、遠くまでぐるっと歩いてみるのはいかがですか?」

お言葉に甘えて歩きながら、迷う。

不満は何もないけれど


でも、“足元からライトが当たったかと錯覚するような感覚”がなくて、決めちゃっていいか自信が持てないんです。
自問自答ガールズとして、その感覚なしに靴を買っていいのか…
コンセプトの「レストランオーナー」はこの靴を履く?
もっとゆったりした靴を履きそうな気もするけど、足の健康にはこれが良いって…
悩む……

ふと、3mくらい先の鏡が目に入った。

自分がふんわり光っていた。

背景は伊勢丹のきらびやかな空間。靴が並んだ棚、行き交うオシャレな人達、それが全部、背景に見える。
私が、主役になっている。

と同時に、昔読んだマンガ「カードキャプターさくら」のセリフが頭に浮かぶ。

「この杖には『星の力』が宿っています。太陽でも月でもない、あなただけの星の力が」

これかも…
ポエムが浮かぶパターンもあるって、書いてあった…
まさかここでクロウ・リードが来るとは思わなかったけど…!

シューフィッターさんを見る。真剣に足を見つめている。
私が近づいて行くと、かすかにうなずいた。その仕草が「これなら大丈夫、送り出せる」というふうに見えた。

「これに決めます」

そう言うと、シューフィッターさんは安堵と戸惑いが混ざった表情になった。
今思うと、「良かった。でも本当に決めちゃっていいのかな? 無理に買わせてないかな?」という心配だったのかもしれない。
怒涛のようにアドバイスをくださったので、そんな気がする。

月に数回、汚れを落としてクリームを塗ること。
特にシーズン終わり、しまい込む前は必ず。
日頃のお手入れは、忙しいでしょうから、せめてブラシでほこりを払うように。
足に合わなければ調節ができるし、靴が傷んでも修理ができるから相談してほしい。
「無理なく、長く履き続けられるように」と願いのこもったアドバイスは、メモを取らずとも、しっかり頭に残った。

この後、エムアイカードの説明やオンライン入会手続きをして、全てが終わったときには受付から2時間も経っていた。
予約は1時間。良かったのかしらとも思うけど、順番を待っているようなお客さんは見なかったし、きっと大丈夫だったと思う。

大きな紙袋を提げて伊勢丹を出る。
新宿駅へ向かって歩きながら、体がぽかぽかして全く寒さを感じないことに気がついた。ライブ終わりに似ている。

良い買い物をしたと思う。
ハイブランドまで履き比べてはいないけど、
100足も履いてないけど、
「大事な仲間」を手に入れたことは、間違いない。

自己評価、なんだろうか。
ごくシンプルで、ハイブランドのお品でもなくて、でも人生最高額なこの靴が。

そうかも、と思う。
私はまだまだ未熟者だ。
でも、今までの人生の中では今が最高。
この先も伸びしろがある。
ハイブランドの靴を、私が自信を持って履けるようになるのは、もっと伸びてから。

新宿駅への上り坂をぐいぐい歩きながら、また来る日はいつになるかなと想像する。半年後か、1年後か、3年後か。
その頃はどんな私になっているかな。楽しみがひとつ増えた。

購入から1ヶ月


件のショートブーツはだいぶ足になじんで、「綺麗めな恰好で出かける日」の良き相棒になってきた。
仕事や、近所のスーパーにも履いていけるシンプルさ。
それでいて靴を脱ぐと現れるキラキラのロゴが、只者ではない感じ。

早くもつま先に薄く傷がついてしまったり、夫にうっかり踏まれたり、ひどい目に遭わせてしまったが、「仕方ないわねえ」とため息をついて許してくれそうな気がする。
「ごめんなさい。大事にするから、ついてきて」という気持ちで、先日、革用クリーナーとクリームで初のお手入れもした。

傷つくけど、手入れしてまた一緒に出掛ける感じは、RPGの仲間みたい。
サッチェルさん↓にも同様の相棒感を抱いているので、これらを揃えて出かける日が来たら、きっとゲームスタートの気分になりそう。

でも、サッチェルさん、遠出には容量不足なのよね…
もっと大きなバッグが我々のパーティには必要だと思うの…

かわのはしの自問自答の旅は、まだまだ続く!
というところで今回は終わります。

みなさま、よいお年を~👐

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