【エッセイ】母のこと
爪を切るたびに思い出すのは、高校生の頃、切り終わった爪先を見た母に「そんなに白い所を残して、尖らせるなんて」と言われたこと。
白い所なんて1mmもない程度だし、生えているラインと同じ形にしているだけなのに何をおっしゃる。そう答えると、母は不思議そうに自分の手と見比べ始めた。
母は爪のてっぺんが平たく、白い所が指先よりも下から始まっている。
私は爪の先がカーブして、ちょうど指先にくっついている。
だから母には「長くて尖った」ように見える。
だけど、私が母と同じ形にするには、爪