Blanchardのオートガイネフィリアの論文を読む(2)

前回の記事はこちら。

今回は第二章です。

この章では、 今回行った実験の被験者に関しての説明をしています。

まず、1980年以降ジェンダークリニックに訪れた身体性別男性2700人に向けたアンケートの結果から分析しています。

第1のアンケート

自分を女性だと思うことはあるか?
a 女性の衣服を着用している時だけそう思う
b 普段から時々そう思う
c 常にそう思う
d 全く思わない

このアンケートは性別違和者、服装倒錯者、男性に性的感情を抱いたことのある人を対象にしています。

最初のアンケートの中から302名を対象に選んでいます。

年齢は平均で30歳です。

このアンケートでcと回答した212名だけを抽出して次のアンケートに進んでいます。

ちなみにaは31名、bは59名です。dの人数は本文中で明記されていませんが残りの2000人余でしょうか。

第2のアンケート

第1のアンケートで「自分のことを常に女性だと思う」と回答した212名を対象に次のアンケートが行われました。

アンケート内容の詳細は省略しますが、アンケートは『Modified Androphilia and Modified Gynephilia Scales (Blanchard, 1985b)』の論文で使用されたもので、「女性に対する性的感情度合い」と「男性に対する性的感情度合い」を測ることができます。

その結果を2軸にプロットしたグラフがこちらです。

店の一つ一つは被験者を表し、4つのグループにk平均法でクラスタリングすると、このように分かれます。

人数は以下のようになりました。

117人がhomosexual(男性愛者)のトランス女性
58人がbisexual(全性愛者)のトランス女性
19人がheterosexual(女性愛者)のトランス女性
18人がanalloerotic(無性愛者)のトランス女性

今回の被験者は、重めの性別違和を抱えている人(少なくとも1年以上自分のことを常に女性だと思っている人)が対象となっています。

人数比で言えば過半数が男性愛者のMtF、残りのうち過半数がパンセクシャル、そして全体の1/10以下がMtFビアン、あるいは無性愛者となりました。

第1章の概要、すなわち男性愛者以外のグループのMTFはAGの傾向が見られる、という話と織り混ぜると、半数弱のMTFがオートガイネフィリアの傾向にあると言うことができるの でしょうか。

詳しくはさらに次章を追ってゆく予定です。

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