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SIRUP BLUE BLUR TOUR


 SIRUP BLUE BLUR TOUR 2023、KT Zepp Yokohama公演へ。

 当日は台風や前線の影響で悪天候。差した傘の骨が折れ曲がるほどの強風、開催可否も夕方までわからない状況のまま、とにかく現地へと向かう。当然公共交通機関には遅延も発生しており、早め早めの行動となった。

この状況でまだ写真撮るわたし、クレイジー。
会場外は傘の群れ。
予定よりも早くロビーを開放してくれていた。


 会場ロビーはオーディエンスでいっぱい。いかにSIRUPが、そしてバンドメンバーとその織りなす音楽が強く愛されているのかを実感する。

 実はこのライブの直前、フェスの最中によからぬ出来事があり、ライブ自体が怖くなってしまっていた。いまだ解消されぬ睡眠不足にも陥っている。それでも気持ちをおしてこの場に辿り着いたのは、SIRUPワンマンが念願だったからだ。
 闘病と感染症禍を経て、やっと画面越しではないSIRUPのワンマンを観られる。それはひとつの希望だったのだ。
 体調と体力を考慮して2階指定席を取っていたのは正解だった。寝不足の身にやさしい。

 ライブがはじまるなり、わたしは得も言われぬ感情に包まれた。このタイミングで、わたしの感じていた恐怖を、SIRUPが綺麗に丁寧に塗り替えてくれた。きちんとこの日を楽しめるように。もうそれって、cureだ。
 序盤4曲目まででもう、泣いてしまった。音が、メッセージが、胸にきた。

 誰にとってもセーフゾーンでありますように。

 そんな言葉が掲げられたひと幕、あれはどの配信で見たのだったろうか。それとも。わたしにとって、あの日のKT Zepp Yokohamaは、たしかにセーフゾーンだった。

 わたしと一生ともにあってほしい音楽。誰のどんな生き様も否定しないリリック。それでいて合わないなら逃げていいよ、変わっても変わらなくてもいいよ──という、個を大事にしたあたたかさ。より良い未来へ、より自分らしくありのままにいられるほうへ。グルーヴもメッセージも最高に響いた。
 あとやはり、あっちゃん大好き。わたしはあの人のプレイが好きだ。飛び跳ねながら弾く鍵盤に、音色に、絶妙のアレンジに心が躍る。面倒くさい恋愛シリーズも、最高。

 ゲストとしてSkaaiとの「FINE LINE(feat. Skaai) (Prod. uin)」、さらには2年越しとなるSUMINとの「Keep In Touch feat. SUMIN」も披露された。バンドの演奏も、とても良かった。今回のライブアレンジ、いい意味でえげつない。
 雨の影響で現地へ来られなかった人たちにも急遽インスタライブの配信が用意されて、ほんとうに誰も置いてはいかない姿勢に心を打たれた。
 
 はっきりとしたメッセージ性を宿した彼のことを、やれ思想が強いだの音楽以外でやれだの、揶揄するような人もいる。それについてはSIRUP本人も理解していて、度々言及もされてきた。
 人の好みは色々だ。考え方のすべてが重なり合うことなどない。わたしもそうだ。
 だが、思うところを率直にことばかたちにするSIRUPのことを、わたしは心からリスペクトしている。彼の音楽に直に触れられることは、本当に幸せだ。そこにははっきりと血が、知が通っている。常に前を向き、学んでいこうとする人の強い決意と眼差しがある。

 わたしのことをいいなと思ってくれる人も、苦手だなと思っている人も、そのままでいてよ。
 誰かのためにより良くなろうとするのは素敵なことだ。だが自分を無理やり変えるのでも、勿論他の誰かを無理やり変えようとするのでもなく。
 みんな人間だからさ。お好きなようにどうぞ。わたしはこの音楽と、生きていく。

 最高のステージを、ありがとう。

 

【Musicians】

Vo. SIRUP
Dr.&Manipulate RaB(from Soulfrex)
Ba. Funky(from Soulfrex)
Sax.&Fl.&Syn. KenT(from Soulfrex)
Gt. HISA
Key. Atsushi Inoue(from showmore)

【Special Guest】

Vo.&Rap Skaai(FINE LINE)
Vo. SUMIN(Keep In Touch)


なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」