自分でそっと取っておきたいことがあるーーー

最初から叶うはずがなかった夢
思い描いていた家
憧れていた男性との結婚
もっと続くと思っていた日々
彼自身もしらないような横顔
人知れず感じた、孤独感

そんなことにそっとひとつずつ
想いを這わせていくと
心の中が痛くなってくる。
じっとりと重くなってくる。

叶わずして散った悲しみ
というよりは
それを信じていた自分の小さくて
ピュアなハートが気の毒になって。

わざわざ思い出さなくてよかった
そんなことまで思い出すのは
やっぱりまだ後悔しているからか
まだ憧れているからか
まだ信じているからか
それとも
ただ、心に芽生えた気持ちを
一つだって忘れたくないからか。

指をテーブルに這わせるように
自分の気持ちも手で触れて
確かめて、感じられればいいのに。

あっちの道を選んでいたらどうなったのか
そっちの自分はどうなったのか。
一つもかなわなかったわけではないのに
かなわなかった気持ちになるのは
ないものねだりの自分にフォーカスしているから。

きっとそうなんだ。