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たゆませて

確かにあの小橋を渡ったのだった。

急な展開に実は
少しの期待と疑念を見ながら
私はぎゅっとショルダーバッグの紐を
つぶすように握って、掛けた。

触れる時の体温と
目を合わせる時の2人の間の気温と
どちらがより温かいだろうか。
彼と私は、果たして2人だけの
陽だまりを作れる人間同士だろうか。
そう考えながら私は
ロイヤルミルクティーを飲むと、
少しだけ入れたはずのハニーが
喉の奥に一瞬だけ触れた気がして
顔がほころんだ。

延びるだけ間延びすればいいと
思わせるだけの気だるくて苦手な午後の部屋。
窓を開けておくと、寒すぎて
左手でカーディガンを抑え
右手で手荒くピシャリと閉めた。
乾いた音がなぜか
「言語道断」という言葉のひびきと
よく似た音だと思った。

厳しいだけの言葉はいらないし
冷たいだけの関係なら許さない。
甘ったるいくらいに、ごゆるりとした
関係をたまには紡いでみたい。

私だって小橋を渡ってもいい。
隙間風のなくなった冬の部屋は
陽だけが差し込むと
そこはまるで、まどろみの空間だった。
初恋のようにゆるくて自由で
不器用で
それだけで希望をもらえる
それだけで前を向ける。
そんな理由になるような。

たゆませて、私を。

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