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こどもの日に人口減少について考える。

昨日はこどもの日でしたね。

伊万里市に住む0~18歳の人口は10,070人(2020年4月現在)。

20年前と比べると3,000人以上減っています。

伊万里市の合計特殊出生率は2.04(2017年)で全国の1.43に比べて高い水準ではありますが、20~44歳の女性の人口も20年前と比べて2,000人近く減少していますので、晩婚化や未婚率の上昇、自然減(死亡数ー出生数)や社会減(転出数ー転入数)などの要因も加わり、子どもの数は増えていないのが現状です。

元総務大臣の増田寛也氏の著書「地方消滅」の冒頭では、人口減少が日本にとって慢性疾患のようになっており、既に今、全国794の市区町村で高齢者すら減少しつつあり、このままでは2040年までに全体の約半分にものぼる896の自治体が消滅する可能性があると述べられています。

この人口減少問題、東京をはじめとする都市部に住む人はあまり実感がわかないと思いますが、東京の合計特殊出生率は1.20で全国最低です。

人口の再生産能力が低い都市部に人が増え続けているのは、地方で産まれた人が集まっているからであり、このままいくと最終的に都市部でも人口が減少し衰退していきます。

人口、特に若年層が減ると町はどうなるのか。

子どもの数はその親の数の影響を受けますので、子どもが減っている=働き盛りの人(生産年齢人口)も減っているということです。

労働力の低い地域に企業や施設、店舗はきません。企業誘致どころか撤退が始まります。

公共交通機関も撤退が始まります。バスや電車の本数はだんだんと減り、最終的に廃線になります。

ガソリンスタンドがなくなったらその町は終わりだとよく言われますが、そうなってくると更に人口減少は加速するでしょう。

働き盛りの人が減り、企業が撤退すると、市を維持する税収も落ち込みます。市民生活の向上を目指していても、できないことが増えていきます。

こういった現実、伊万里に住む人は薄々感じてはいないでしょうか。

でも大丈夫です。私はみなさんを暗い気持ちにさせたいのではありません。

私は地方消滅に出てくる896の消滅可能性都市に伊万里が入ってるとは思えませんし、実際入っていません。なんといったって、伊万里は出生率が2.04もありますから!

しかしこの2.04という数字、伊万里市の子育て施策が他市と比べて抜きんでて素晴らしいからでしょうか?

・・・違いますよね?

子育て世代にアンケートをとったわけでもないので私個人の完全な私見ですが、たまたま両親と同居したり近くに住んだりする人が多くて、たまたま子どもを2人以上産む人が多いだけではないでしょうか。

それでもなんとか持ちこたえている伊万里市。でも理由なき現状は大変危ういものだと思います。

今回の新型コロナウイルス感染症に関する市の独自支援策で、素早く手厚い支援策を打ち出し剛腕をふるったとされる兵庫県明石市の泉市長。「なぜあそこはできて、なぜうちはやらないんだ」という明石市外の方の意見をたくさん耳にしました。

なぜでしょうか?

2011年に明石市長に就任した泉房穂氏。所得制限なしの医療費や保育料の無償化、児童扶養手当の毎月支給、小学校区全てに子ども食堂を開設するなど、行った「子どもファースト」の政策は数知れず、右肩上がりに人口が増え(しかも子どもと働き盛りの人口が)、保育園が足りない事態にまでなったのですが、元々は決して財政的に余裕があったわけではありません。

お金がなかったから、市の職員を減らし、給料も減らし、総事業費600億円規模の公共事業を150億円にまで削減して、議員にも総スカンをくらいましたが、それでも「やった」結果が今の明石市にあります。

これは伊万里市と明石市の財政状況を比較した図です。

小難しくなるので詳しくは説明しませんが、財政力指数は収入と支出のバランスを表しており、1がちょうど真ん中で、1より大きいと収入の方が多く、1より小さいと支出の方が多いので国の財源に頼っているということです。将来負担比率は将来財政を圧迫する可能性の度合いを表しているもので、危ないとされるボーダーライン(早期健全化基準)は350%です。※都道府県及び政令指定都市は400%

2つを見比べると、両市とも頑張っていることが分かると思いますが、明石市の財政状況の方がより健康的です。そしてその大きな要因は、子育て世代人口の増加にあります。

「なぜあそこができて、うちができないのか」

財政状況が健康的であることは「市ができること」に直結しています。そしてそれを支えているのは他でもない私たち市民であり、人口問題は大変重要です

市がどういう未来に向かっていくのか、市長の裁量は重要でしょうが、何を求めどういう道を選ぶのかは市民だと思いますし、そのために選挙があり、私たち議員や市長がいます。

道をきれいにすることも必要でしょう。立派な施設もほしいでしょう。いろいろな手当があれば負担が軽くなり暮らしやすいでしょう。

何かを抜きんでて良くはできなくても現状維持はできるのかもしれません。しかし現状維持は衰退です。じりじり死に向かっていくと私は思います。全てを一気に良くすることは難しいですが、まず一つ良くなった結果、その他のものも順番に良くなる可能性は大いにあります。

人口を増やすことは結果が出るのに時間がかかります。時間がかかるからこそ、一日も早く取り組まねばなりません。

何を選び、何をやるか。

未来のための、大切な選択です。


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【参考】

統計伊万里(平成16年)

伊万里市令和2年4月1日年齢別人口統計表

地方消滅(増田寛也・編著、中公新書)

子どもが増えた!(湯浅誠・泉房穂・編著、光文社新書)

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