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変わることも楽しいよ。20歳にして、私が新しい「私らしさ」を手に入れた話。

20歳の春。
それまでずっと長くしていた髪を、思いきって、ばっさり切った。

今でこそ「ショートヘアのなっちゃんしかイメージできない」と言われるけれど、20歳までの私はずっと「黒髪ロング」。むしろ、真っ黒で、長くて、つやつやしたこのバージンヘアが「私の大切なアイデンティティ」である。そう思って、20歳まで大切に大切に守ってきたのだった。

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これは2012年夏の写真。おそらく18歳か19歳の私。(8年前の写真なので当たり前だけど、)2020年12月時点の私とはずいぶん雰囲気が違うと思ってもらえるかもしれない。

今思えば、当時の私にとっての「黒髪ロング」は「私らしさ」の代名詞だった。

「私らしさ」を探す中で、唯一変わらず、揺るぎないものとしてそこにあったのが自分の「髪」であり、「黒髪ロング」は自分の中でのルールであり正解だったのかもしれない。


ところが、そんな頑な私にも、ついに髪を切りたくなる時がやってきた。


髪を切りたい!
それも思いっきり、短く!


そんな気持ちになったのは、20歳に入って初めての春のことだった。

19歳から、20歳へ。
10代から、20代へ。
子どもから、大人へ。

「成人するって、実感ないね。」なんて話していたような気もするのに、どうやら私は、新しい自分に変わりたがっていたらしい。それに20歳の私は20歳の私なりに、自分の将来についてや、目の前の恋愛で一生懸命悩んでいて…なんだかとっても苦しかった。


だから、純粋に「変わりたい」と思った。

このモヤモヤした感覚から抜け出したい。
自分の人生を変えたい。

少し大袈裟かもしれないけれど、当時の私は本気でそう思った。


そこで早速、私は美容室の予約をした。実家の近くにある、小さくて、やわらかな雰囲気の美容室。「明日、私は髪を切るんだ」と思うだけで、前の晩からドキドキしたし、なんなら美容室に行くまでの道も、美容室についてからもドキドキしていたのを覚えている。

その美容室で、私は髪をばっさり切ってもらった。

突然予約してきた20歳の女の子が、いきなり長い髪を切りたいと言い出したので、少し戸惑っていたようだった。「本当に良いですか?」と聞かれた。そして「初めてショートにするのであれば、まずはショートボブにしてみましょうか。」と優しい提案をしてもらった記憶がある。

 

とにもかくにも、私は髪を切ったのだ!

髪を切っただけ。たったそれだけのことなのに、キラキラしたパワーが自分の内側から漲ってくる感覚。ああ、変身できるって、こういうことなのか。

「よし、やるぞ!」

そこからの私は、もうなんだか"楽しかった"。明らかに、前よりもアクティブになった。新しい挑戦もできるようになった。自分の「知りたい」をかなえてあげるために、様々な場所へも1人で行けるようになった。

たった一つ、髪型を変えただけなのにね。

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当たり前だが、私の髪型一つで世界は変わらない。でも髪型一つで、世界の見え方が大きく変わることを、私はそのとき初めて知った。


20歳で初めて髪を短く切り、25歳で初めて実家を出た。いま振り返って思う。

「あの時、思い切って行動してよかった!」
「あの時の私、思い切ってくれてありがとう!」

勇気を出して行動したら、自分の人生が変わった。それも良い方向へ。だからね、みんなに言いたい。

「髪を切ったら人生は良い方向へ動きます。」

魔法みたいに聞こえるかもしれないけど、これ、本当なんです。


正直、大学に入るまでの私はずっと、自分の努力で「根拠のある自信」を積み上げてきた人生だった。その代わり「根拠のない自信」はずっと持てずにいて、「根拠のない自信」を持っている人(特にうちの弟!)がなんだか羨ましかった。

だから、今私がここで述べようとしている「髪を切ったら人生が良い方向へ動く」なんてことは、全くもって「根拠のない自信」でしかないんです。でもね、それでも良い。きっとこの先も、私は自分の人生に向き合い続ける限り、何度も悩んで、モヤモヤして、苦しい時間を過ごすと思う。

でもその度に、私は美容室へ足を運び、髪を切ってもらうだろう。だってあそこにいけば、心新たに自分の世界と向き合えるエネルギーを与えてもらえることを、ちゃんと知っているから。(もちろんそのエネルギーを行動に変えるのは自分次第だけどね!)

そして27歳になった今、実はもう一つ気づいたことがある。

それは20歳、髪の毛を短く切ったあの瞬間から、自分の中の「私らしさ」がガラリと大きく変わったということ。あの日あの美容室に行ったことで、私は今まで頑なに守り続けてきた「自分らしさ」をアップデートし、20歳にして新しい「私らしさ」を手に入れることができたのだと思う。

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変わらないことは大切だけど、変わることも結構楽しいよ。

なんて、今の私だったら頑なに黒髪を守っていた頃の私に言ってあげられそうな気がする。変わることは不安がつきものだけれど、やってみて「違うな」と思ったなら元の場所に戻れば良いんだし、「変わる」って思っている以上に楽しいものだったりするのよ。

年を取ったら身体が老いるのは仕方ないけど、大人になればなるほど、心はどんどん楽になっていく。今までコンプレックスに感じていたものも、一つずつ受け入れて、一つずつ好きになれているから安心してね。

もし、また今の自分に自信がもてなくなってしまったとしても大丈夫。そんな時は、髪を整えてもらおう。綺麗にしてもらおう。そしたらきっと、また今の「私」を好きになることが出来るだろうから。

あの日、新しい「私らしさ」を一緒に発見してくれた美容師さん。本当に、ありがとうございました。あの日の私の思い切りに付き合ってくださったこと、心から感謝しています。

最近また友達に「ショートヘアのなっちゃんしかイメージできない」と言われたのだけど、あのね、私だってそう。それに正直、今の自分が一番好きだし!これから先もショートヘアで年を重ねていきたいと(現時点では)思っている。

私にとってこのショートヘアは、20歳になって手に入れた「私の大切なアイデンティティ」であり、この7年間磨きをかけ続けた「私らしさ」なのだと思う。昔は「違う自分」になりたくて美容室へ行っていたけれど、今は違う。

私が「私」であるために。
もっと素敵な「私」になるために。

今日も私は美容室へ行くのだと思う。


大丈夫!きっと人生は、良い方向へ動くから。


この記事はミルボンさんよりご依頼いただき、「#私が美容室に行く理由」というハッシュタグと共に、美容師さんたちの仕事を応援するという企画です。いつもお世話になっている美容師の皆さんに感謝の気持ちを込めて。特設サイトはこちら

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