以前はよく通った
ある路地に

美人の、猫さんがいた。

真っ白で。

見た目も美しかったし

顔は
割と険しい系だったけど

美人だな、と、思うのは、

動きが、
なんだか、優雅な
猫さんだった。

美人、と書いてみたものの
彼、なのか、
彼女、なのかも
わからない。

そのまんまで

「白猫さん」

と呼んでいた。

白猫さんはどうやら、
1Fが商店になってらっしゃる
一軒家のおうちの子、

らしかった。

人が通りかかっても
あまり意に介する様子はない。

逃げることもなく
見ている。

その路地を通る機会があるたびに
その白猫さんに
会えるかどうかを

いつも、楽しみにしていた。

あるときは
お店の前にちょこんと座っていて

あるときは
お店の前で
ゆったりと伏せていて

あるときは
向かいの家の塀の間から出てきて

こちらの目の前を
ゆったりと
歩いていく姿を
見せてくれることもあった

あるときは
後ろ姿だけが見えて

あるときは
路地中に目を凝らしても、
いなかった。

今日は、
会えるかな♪

何かの占いのように

白猫さんを
探しながら、

通る路地。

住宅街の中の
これと言って何もない通りが

白猫さん一匹のおかげで

いつも楽しみな場所だった。

とても、

懐かしい。

いろんな生活の変化で

今、その路地を通ることは

めったになくなってしまった。

今、あの白猫さんは

どうしているだろう。

元気だといいな。

今日も
お店の前で
ちょこんと座っている
白猫さんを

勝手に思い浮かべて。

自分が飼った猫ではないけれど

素敵な思い出を、

ありがとう。

美人な

白猫さん。

#猫のいるしあわせ