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【ChatGPT活用法】実践例3つ+Webライターが生き残るには

何やら巷ではChatGPTが長文を扱えるようになったとかで。

「頼む〜!私の博論も生成してくれ〜!」とOpenAIのある方向に祈り倒しております、夏野です。お前の開発力が先か、俺の博論締切が先か。正々堂々戦ろうや卍。

冗談はさておき、仕事まわりでもいよいよ「AI……どうする?」みたいな動きが本格化してきました。同時に、業務委託の皆さんからも「実際のところ、どのくらいまで活用を検討されているのでしょうか?」とたずねられるようになりました。

結論から言えば、今すぐ誰かの仕事が減ることにはならないと思います。が、大きな流れとして、仕事の「内容」が変わることは充分ありえそうです。

というわけで今日は、自分の思考の整理と不勉強への反省がてら、AI活用の現在地点についてまとめておきたいと思います。


大前提:企業はAIを使いたくてしゃあない

そもそも論として、企業は「AIに置き換えられるならそれに越したことはない」と思っています。

それはそうでしょう。人間を雇えばそれなりの報酬が発生しますし、労務管理に伴うコストも無視できません。アウトプットは遅いし、予期せぬ離職のリスクもあるし、ネットであれこれ書かれて炎上するかもしれません。いろいろな面で「自動化できるもんならしたい」というのが企業の本音でしょう。

また、たとえ現場レベルの人が「いや、そうは言っても人間のほうがいい仕事をするよ」と思っていても、経営陣がそう思ってくれるかどうかは別です。そして意見が対立したとき、優先されるのは経営陣の意見です。これはもう、会社ってそういうものだから仕方がありません。

ただ、今のAIが「仕事を奪う」レベルに達しているかといえば、決してそうではないのも事実です。詳しくはこのあとに書きますが、現時点ではごく限られた領域でしか活用できず、あくまでも「ちょっと便利なツール」でしかないように感じています。(私の活用能力が低いだけかもしれませんが。)

活用法①サービス名・コンセプトなど、結論のない問い(ブレスト)

じゃあ、どういう場合に「ちょっと便利なツール」になるのかというと、「正確な回答じゃなくても良い」場合です。

というのも、現状のAIでは、こういう質問にはうまく答えてくれないんですね。

私:
友達と2人でおもろい飲み屋に行きたいから、京都市内のおもろい飲み屋を何軒か教えて。

AI:
京都市内には多くの面白い飲み屋があります。以下は、友達と楽しい時間を過ごすために訪れる価値のあるいくつかの飲み屋の例です。(以下、オシャレなバーの紹介が続く)

いや、確かにどれも素敵なバーなんでしょうけど。

私の言う「おもろい飲み屋」とは、かつて出町柳に存在した「村屋」とか、三条にあるマッチョバーとか、せめぇ路地にあるちっちぇ〜バーのことを言っているわけでして、決して「おしゃれなロフトでクラフトビールを試飲したい」とは思っていないんですよ。

ただこれは、AIがネット情報をソースにしている限りは仕方のないことです。いくらプロンプトを工夫したところで、これ以上の回答が得られることはないでしょう。

さて、これがNGケースだとして、「正確な回答じゃなくても良い」場合というのは、こういうケースです。

私:
京都で個性的なバーを開きたいので、店名の候補を20個挙げてください。その際、エリアは「祇園」で、「博打」に関わるキーワードを盛り込んでください。

AI:
「祇園」エリアで「博打」に関連するテーマの個性的なバーを開くアイデアは面白いですね。以下は店名の候補です。
 ・博打の夜
 ・一発逆転バー
 ・ルーレット&リキュール
 ・勝者の杯
 ・祇園賭博庵
  …(以下略)

どうでしょう。いい感じに危険な店名がたくさん挙がってきました。(「祇園〇〇庵」みたいなほっこりテイストの名称で「賭博」が入ること、絶対にないだろ)

あとはこのリストを見て、「お上品すぎます。もっと鉄火場っぽいネーミングはありませんか」とか、「『一発逆転バー』は良いですね。これに似たアイディアがあと10個欲しいです」とか注文をつければOKです。

こういうブレスト的な使い方はすでに何度かしていて、ときにはサービスのコンセプトすら考えてもらうこともあります。

もちろん最終的には人の目でチェックし、手直しをしなければならないのですが……

人間相手であればどうしても生じる「遠慮」がないので、ボツにしたり、「あと30個」と注文をつけたりできるのは、かなり嬉しいポイントです。

活用法②プレスリリース・メルマガなど、定型のテキスト作成

これもよく言われる活用法ではあるのですが、プレスリリースやメルマガのように、ある程度形式が決まっているテキストはAIの得意分野です。

ただこれも、最終的には人の目を介さなければならないので、最終的な成果物を作るためのツールではなく、非専門職の人が叩き台を作るためのツールと捉えたほうが良いかもしれません。

つまり、これまでであれば…

「いい感じにしておいて!」
「いい感じって何だよ!」

という争いがあったところが、

「(AIの出力結果を添えて)こんな感じにしておいて!」
「なるほど、これなら分かるわ」

というコミュニケーションになるイメージです。

活用法③文章の要約

これはAIの得意分野なのかな?と思いきや、少なくとも私が見た範囲では、あくまでも叩き台レベルのものしか出来ませんでした。

たとえばですが、やたらと体言止めを使うことで文字数を減らすので、ものすごく拙い文章に見えるとか。

おそらく汎用的な回答になるようなチューニングがされているせいで、「この要約なら、他の説明文にも適用できちゃうだろ」みたいな、毒にも薬にもならない文章が吐き出されるとかです。

もちろん、プロンプトを工夫することである程度まではチューニングできましたが、やっぱりここでも最終的には人の目が必要かなというのが現状の感想になります。

上記を踏まえて、ライターが生き残るには

さて、上記ではこれまでの実践例と肌感覚をまとめました。つまるところ、「使えるところでは使えるけれど、微妙なところは微妙」というのが現状の結論かなと思います。

そうはいっても技術の進歩は早いので、いつかもっとイケてるAIが登場しないとも限りません。

そのうえで、フリーランスのライターが生き残るにはどうすればよいのでしょうか。あくまでも私見ですが、自分だったらこう生き残る、という方向性をまとめてみたいと思います。

論理的な説明能力を鍛える(ために、人に依頼する)

上述したとおり、使いどころさえ分かっていればAIは強い味方になりえます。ただその場合に必要になるのが、理路整然とAIに依頼するスキルです。

AIは正直なので、曖昧なお願いをすると曖昧な答えしか返ってきません。求める答えを得るためには、こちらの側で詳細な要件定義を行う必要があります。

これを鍛えるには、まずは人間相手にお願いをする経験を積むのが良いと思います。それも「忖度」の余地がないくらい、丁寧にお願いする経験を積みましょう。

以下ではそれにあたっておすすめのトレーニング方法を2つ、ご紹介します。

①業務マニュアルを作る

私はいまの取引先で、新しく入ってこられた方にCMSの使い方を説明するためのマニュアルなどを自主的に整備しました。

その際、「あとは分かるでしょ」という部分は徹底的に排除しました。どのくらい詳細かというと、こんな感じです。

(さすがに本物のマニュアルを見せるわけにはいかないので、「noteへの投稿」をもとにイメージを見せます)

①noteにアクセスしていただくと、右上に緑色の「投稿」というボタンがあります。これをクリックします。

②クリックすると、「テキスト」「画像」「つぶやき」…などが出てきます。このうち皆さんが使用するのは「テキスト」なので、「テキスト」をクリックします。

※他の機能については、必要になった際にご説明しますので、今の時点では一切気にせず、忘れてください。

③「テキスト」をクリックすると、このような画面に遷移します。

④この画面になったら、まずは「タイトル」を入力し、右上の「下書き保存」をクリックしてください。

noteには自動保存機能もありますが、目安として3分に1回は「下書き保存」をクリックし、編集内容が消えてしまわないように注意してください。

もしも「戻る」ボタンを押してしまった場合、編集内容は消えてしまいます。

これをなんとか復活できないかというお問合せをよくいただくのですが、これは仕様上、私たちではどうにもできません。

そのため、皆さんの方で必ず3分に1回は「下書き保存」を押してください。

⑤ここまでできたら、一度Slackにて報告をお願いいたします。問題なく「下書き保存」ができていることが確認できたら、次のステップをご案内いたします。

このくらい詳細なマニュアルが作れるようになると、AI相手でも期待するアウトプットをそこそこ引き出すことができるはずです。

②取材記事の制作をご依頼する

フリーランスさんの中には、どうしても日中外に出ることが難しく、録音からの記事制作のみを受注されている方がいらっしゃいます。

そうなると、現場での空気感がどうしても掴めないため、「このあたりは熱量を持ってお話しいただいたな」といった勘所が掴みにくくなります。

その状態で、録音だけ渡して「あとはよろしく」では、なかなか希望通りの原稿をいただけることはありません。そこで私は、このくらい詳細な制作依頼を送るようにしています。(もちろん、慣れた方だともっと簡易にご依頼することもあります)

【リード文】
録音10:07〜 昨今の〇〇市場についての所感をフックに、記事テーマにつながるような形でのリード作成をお願いいたします。
(過去記事:https:// 〜 を参考に)

【見出し1:〇〇の話 ←これは仮タイトルなのでライターさんの方で適切な見出しをつけてください】
録音17:45〜 〇〇が増えている、という話
録音33:56〜 このあたりの雑談も使えそうなので部分的に入れてください。
録音19:24〜 〇〇が増えている背景には〇〇がある、という話
 …

編集者といっても人間ですから、出来上がってきた原稿に手を入れるのは心苦しいものです。はじめからこのくらい明確なイメージを伝えておけば、主題から外れた原稿が上がってくるリスクを下げ、お互いに気持ちよく仕事を進めることができます。

このくらい明確な指示が出せるようになっておけば、いずれAIが長文を扱えるようになったときにも、取材記事の生成をある程度は手伝ってもらえるようになるでしょう。

聞き上手になる(ために、勉強する)

「聞くのは人間、書くのはAI」の時代が来る?

上記はどちらかといえば「AIを使いこなすスキル」につながる話でしたが、はっきり言って、文章を生成する部分についてはAIが代替するのも時間の問題かと思います。

というか、過去に公開された記事+上記くらい詳細な指示を与えれば、現状でもそれなりのものが上がってくるかもしれません。

その一方で、現状のAIにはどうにもならん部分も残されています。それは、「気持ちよくお話しいただく」部分です。

私も経験があるのですが、百戦錬磨のママがいるバーなどにいくと、不思議と秘密をベラベラしゃべってしまったりするんですよね。

これと同じで、「なんか今日はいっぱい喋っちゃったな、企業秘密もあるからちゃんとカットしといてよ!」って言われるくらいの聞き上手になれば、少なくとも「インタビューをする」部分はAIには奪われないでしょう。

逆に、「そうなんですね」「へえ〜」くらいしかリアクションができないのであれば黄色信号。なんならAIのほうが気の利いた対応をしてくれるかもしれません。

「聞ける」人間になるには

じゃあ、どうすれば聞き上手になれるのかというと、ズバリ勉強するしかないと思います。

たとえば飲み屋で見知らぬ人と出会ったとき、出身地が同じだと分かると、急に盛り上がったりしますよね。なんで盛り上がるのかと言うと、その地域に詳しいからです。

「知ってる!?池田駅の『(文房具屋)』、潰れてんで!」
「嘘やろ!?あそこで無限にシャー芯買ったのに!」

こういう話ができるからこそ、「池田といえば、水月公園で文化祭の練習してさあ……」などのエピソードを引き出せるわけです。

そうではなく、仮に「へえ、池田市出身なんですね。池田市ってどういうところなんですか?」と聞かれても、「いや……普通の田舎ですけど……」としか話せません。

これと同じことがインタビューにも言えます。

みなさん自身もそうだと思うのですが、自分が熱量を持っているトピックに対して、その領域に詳しくもなければ関心もない人に向けて語るのはなかなかシンドイものです。

逆に、その領域に少しでも詳しかったり、熱量を持って深掘りしてくれたりすると、「そうなんですよ。実はこんなことがあって……」とついつい喋ってしまうのではないでしょうか。

そして、このような立場になるためには、やはり勉強しかないと考えます。それもネットの情報を眺めるだけでなく、新聞を読むなどして骨太の情報を得ておくことをおすすめします。

成長に王道なし。耳障りの良い意見は警戒せよ

ついでに、これは私見ですが、昨今のネット言説などを見ていると、どうも「ありのままのあなた」を肯定する意見ばかり見かけます。でも、「ありのまま」である限り、「ありのまま」で得られる以上の成長もありません。

筋トレだってそうじゃないですか。「ありのまま」の生活をしていたら、「ありのまま」で得られる筋肉しかつきません。それどころか、加齢によって衰えてしまいます。だったら、ほんの1回でもいいから腹筋したほうが良いのではないでしょうか。

世の中のインフルエンサーやスクール講師、メンター、コーチ、なんでもいいですけど、そのあたりの方々は耳障りのいいことしか言ってくれません。なぜかというと、そっちのほうが儲かるからです。

下手に指摘をして恨みを買うくらいなら、「ありのままのあなたで、良いところを見つけて伸ばせばいいんですよ」とか言っていたほうが、気持ちよくお金を払ってくれて合理的です。

(もちろん、それを分かった上でモチベ維持に利用するなら良いと思います。私だってジムのトレーナーさんに、「今日はなんかメンタルがダメなんで、良いことだけ言ってください」とかお願いすることもあります。)

何が言いたいかというと、質の高い仕事をするためには、やはりどこかで汗をかく必要があるんですね。

どんな汗のかき方が良いかは人によりますが、少なくとも、耳障りのいいこと「だけ」言ってくれる人をアテにするのは良くないんじゃないかなと。

私もまた、苦言を呈してくれる人こそ大切にし、謙虚に成長していきたいと思います。

積極的に提案する(ために、勉強する)

さて、最後にご紹介するのも、今のAIではどうにもならない範疇です。

現在のAIは、こちらが「これやっといて」と頼んで初めて動き出します。まさに究極の“指示待ち”です。

それに対して人間は、相手の状況を読んで積極的に提案することができます。たとえば私は取引先に、わりと頻繁にこういうメッセージを送りつけています。

我ながらなんじゃこりゃ

このときに大切なのは、提案に情熱を「持たない」ことです。ひとつひとつの提案にアツすぎる思いを抱いていたら、断られたときのショックも大きいからです。

そうではなく、なんならX(Twitter)に投稿するくらいの気軽さで、「こんなアイディアを見つけましたよ」「こんなのどうですか」と提案し、無視されても気にしない。こんな感じで100個くらい提案していけば、そのうちのいくつかは仕事につながるでしょう。

じゃあ、そのアイディア源はどこから湧いてくるの?というと、これも地道に勉強して、アンテナを張っておくしかありません。

発見できるアイディアの量は、持っている知識の量に比例します。

私はそれをヨーロッパの旅で実感したのですが、歴史や建築に関する知識がないと、「わぁ、ヨーロッパっぽい街並み〜」くらいの感想しか抱けないんですよね。

ところが実家に帰って弟に写真を見せると、「ウォォ、ナミュールやん!これはアツい」とかいって盛り上がっていました。ああ、この知識があればもっと充実した旅になったのに、と反省した次第です。世界史、勉強しよ。

人間ならではの良さを押し出していこう

というわけで今回は、AIの活用が本格化したけれど実際問題どうなん?という話を中心にまとめました。

ただこれは大いに自戒というか、せっかく面白いツールが出てきているのに思うように使いこなせていないとか、最近、過去の仕事の延長ばかりしていてバリューが出せていないかも、みたいな危機感から書いたものです。

まとめながら反省の気持ちが湧き上がってきたので、引き続き精進して参りたいと思います。もしもこれ以外にイケてるAI活用法をご存知でしたら、ぜひぜひ教えてください。

フリーランスさんを随時募集しています

というわけで弊社では、優秀なフリーランスさんとのご縁を常に待ち望んでおります。とくに最近は年末に向けて忙しくなってまいりましたので、力を貸してくださる方はいつでも募集中です。

取引先でも、年末に向けてライターさんを募集しています。取材ライターさんはもちろん、SEOライターさんも大募集中なのだとか。ご興味のある方はぜひ、リンク先からご応募ください。(なんかOGP出てないけど、怪しいサイトではないです!)

ならびに、いろいろな方とのご縁を得るためには、いろいろな場所で顔を出しておくことが大切だなと実感しています。つきましては各種イベントへの登壇や寄稿など、どのようなことでもお気軽にご連絡ください。

登壇料などはもちろんいただきませんし、気難しくない人間なので、やりとりで煩わせることもないかと思います。

とくにフリーランス系のイベントに呼んでいただければ、多分いくらかはニュースバリューのあるお話ができるかと思いますので、ぜひ前向きにご検討ください。

ご連絡先:natsuno.kaoru@natsuno.biz

とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。