女友達①。

最近壊れてしまった友達関係がある。

壊してしまった、と言った方が正しいのかな。

彼女とは小学校1年生からの友人で、高校を卒業するまでの12年間、ずっと同じ学校に通いました。毎朝一緒に通学し、放課後も遊んだり、電話をしたり、泊まりに行ったり。

小学4年生くらいからか、お互いがお互いに少し「嫌だな」って思う部分が出てきて、その「嫌だな」をお互い言わずに付き合ってたらどんどん膨らんで高校3年生まで抱えてしまって、些細なきっかけで爆発して、大ゲンカしました。

仲直りの第一声は「私たち、お互い嫌いだよね」でした。

そのケンカから本当に友達になれたんだと思います。その後、私は東京へ進学し、彼女は四国へ進学し、大学生になってもお互いの進学先へ遊びに行っていました。

彼女は年の離れた兄姉がいる末っ子で、割と裕福に育ち、とても依存心が強かった。私も年子ではあるけど姉がいる末っ子で、割と裕福に育ち、依存心もそれなりに強かった。恋愛に向けるパワーも相当なもので、お互いの話にいつも一喜一憂していました。

20代も後半になり、私は結婚し、妊娠をきっかけに九州の地元へ戻りました。ちょうど同じ頃、彼女も実家の家業を手伝うために地元へ帰ってきました。

地元に帰ってもランチに行ったり、うちに遊びに来たり、泊まったり。私は2人の娘を産み、彼女は独身のまま30代に突入しました。

彼女は結婚したい、子どもを産みたい、と言っていたし、依存心も強いので私もそうした方がいいと思っていました。ただ、少々甘やかされて裕福に育ったせいか、自身の収入も割と高いせいか、男性に求める年収基準が普通より高い上に、自分の容姿にコンプレックスがあるので遺伝させたくないから旦那さんになる人は美形じゃないと困ると言っていました。

正直、田舎でそんな男がいたらとっくに誰かと結婚していると思います。結婚してなかったとしても、その人が彼女を選ぶとは限りません。もっと条件下げないと現実的に結婚するのは厳しいよ、とか、長く一緒にいるんだったら顔はあまり重要じゃないよ、ということは言いました。でも、私は彼女が条件を下げられない理由も知っていました。

高校の一つ年上で、他校にもファンクラブがあったくらいモテていた先輩がいます。彼女はその先輩と同じ大学に進学し、大学時代とても仲良くしており、付き合ってはいませんが関係を持ったことがあります。卒業後、先輩も地元に帰ってきており、彼女と同業で年収も高く貯金も多額と聞いています。その先輩といまだに仲良くしており、過去に関係を持ったこともあって僅かな期待を捨てきれず、夜中に飲みに出て来いと呼び出されたり、帰る足がないからと家を宿代わりにされたり、はたから見ていて全くいいように使われていました。

そんな先輩がいつまでも彼女の周りをうろちょろしているから、無駄に条件が高くなり、諦めも踏ん切りもつかず、ずるずると年齢を重ねる結果になってると私は密かに忌々しく思っていました。

そんなある日、彼女から「やってしまった」とLINEがきました。

その先輩がまた例のごとく宿代わりに泊まりに来たと言います。でもその日はいつもと少し様子が違い、なんとなくそんな雰囲気になって、流れでそのまま関係を持ってしまったと。

「馬鹿じゃないの!」と言いました。20歳そこそこの時だったら笑い話でした。でももう30です。彼女も彼女ですが、先輩にとても腹が立ちました。頭にきて、先輩に「ふざけんな!」とLINEを送りました。「彼女の気持ちを知りながら、彼女は結婚願望も出産願望も強いのに、付き合う気も結婚する気もないくせに、30過ぎた女に軽はずみなことするな!」と。

もちろん私が言うべきじゃないということも、余計な御世話だということも重々分かっていました。このことで彼女との友達関係が壊れるかもしれないことも分かっていました。それでも言わずにいれなかったのは、余計なことをしてでもこの先輩との関係を断ち切った方がいいと思ったからです。

この頃、彼女はとても傷ついていました。長男で家業の後継者であるお兄さんが40間近になってやっと結婚し、子どもができました。兄夫婦が両親と同居を始め、遠回しに今までのように頻繁に実家に来るのはやめてほしいと言われ、実家に居場所がなくなっていました。落ち込んでいる彼女を見て、私は早く自分の家族を持った方がいいと思いました。そのためには、先輩の存在は邪魔でしかありませんでした。

だけど半分くらい、こう言うことで先輩が彼女のことを本気で考えてくれないかなという希望がありました。先輩は一時期、彼女のことをいいなと思っていたことがあるのです。これを機に真剣に向き合って、なんなら結婚しないかな、とさえ思っていました。

しかし先輩が彼女にとった行動は、「これ以上、面倒臭いことにならないようにして」というLINEを送り、無視するというものでした。

なんて残念な男だろうと思いました。顔は良くてお金は持っているかもしれない。でもそれらは私にとっては全く魅力的でも価値があるものでもありません。30も過ぎて人間的な魅力や価値を持ち合わせていないのかと、とてもガッカリしました。

彼女からは憤慨した連絡がきました。「なんでそんなこと言うの!私、自分で何とかしようと思ってたのに、私のこと信用してないの!」と。私が信用していないのは、彼女ではなくて先輩です。私がどういう気持ちで、何を考えてわざわざ余計なことをしたのかということを伝えました。彼女は理解はしたようでした。でも納得してはいませんでした。「それでもほっといてほしかった」と言いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?