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プロレスにおける批判的な考察 17

 武藤敬司が引退した。
 彼の膝の調子を考えれば、よく今まで続けてきたなあと感じる。彼自身続けたかったのだろうし、引退を許さない周囲の事情もあったのかもしれない。
 武藤が引退してようやく分かった。力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木、それに続いて・・・2023年2月21日まで、日本のプロレス界は「武藤敬司」の時代であったということに。

 もちろん異論はあるだろう。ジャンボ鶴田や藤波辰爾、三沢光晴、天龍源一郎・・・日本のプロレス界には数多くのトップレスラーが君臨していたのだから。藤波に至っては、まだ現役選手でもある。
 だが、世間への認知度やタイトル歴、会場人気、残した名勝負(武藤の言う「作品」)、カリスマ性・・・様々なことをトータルすると、猪木以後の日本プロレス界の象徴は、武藤以外には考えられない。
 タイガーマスクの時代は短く、前田日明は途中からプロレスの最北端へと行ってしまった。闘魂三銃士と全日本四天王、それぞれがトップレスラーであったが、現役を続け、作品を残し続けた武藤の輝きはひときわ光る。

 スペースローンウルフで叩かれた武藤。再度渡米し、グレート・ムタとしてアメリカで名をあげ、深紅のショートタイツで凱旋した姿は鮮烈であった。まばゆいばかりの輝き。彼の時代はそこがスタートだったのだろう。
 IWGPを獲り、高田との歴史に残る闘いを残し、NWOではヒールにもなった武藤。激闘と共に膝は酷使され、スキンヘッドになってからの彼は、全盛期の動きができない分、技を制限しながら作品を残し続けた。
 それと共にタレントとしてテレビでの露出も増え、歳を重ねても輝きは消えることが無かった。

 そんな彼も還暦。引退するにはちょうど良い時だったのかもしれない。

 お疲れさまでした。俺自身もあなたのファイトに何度も心躍らされました。間違いなく、俺はあなたのファンの一人だったのです。
 
 プロレス界は武藤敬司のいない時代になる。これからは誰の時代になるのだろうか・・・?
 武藤に肉薄したのは棚橋弘至。内藤哲也は残念ながらこれから下り坂に入りそうだが・・・やっぱりオカダカズチカしかいないか・・・?
 NOAHの塩崎がその座に行くかもと思ったが、どうもあの団体は清宮海斗に賭けるらしい。う~ん・・・新日本の海野はどうだろう・・・!?

 いずれにせよ、やっぱり日本のプロレス界からは目が離せない。
 武藤がいなくなり、プロレス界にぽっかりと空いた穴。だけど、今がチャンスなのだ。

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