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ドラゴンクエスト・ユアストーリー 感想 〜創作物は現実世界を生き抜く力になる〜

好きなところ
・ドラゴンクエストVを下敷きにしたシナリオで展開する、ボクたち(きみたちの)のストーリー
・ドラクエの世界が最新の3DCGで再現されているワクワク感
・沢山の定番モンスター登場&アクションの格好良さ
・愛、友情、勇気、夏休みにお子さんとお父さんが見るのにぴったりの要素満載
・王道的な数々の展開(ピンチに助けに来る仲間、勇者の覚醒、などなど。特に天空の剣が鞘から抜かれるシーンはグッときた)
・短めの尺でドラクエVを展開すると言う無茶なことを、多少強引なテクニックを使ったとはいえやりきった
・声優さん(俳優さん)たちの演技が自然
・スラリンかわいい
・ビアンカかわいい

イマイチだったところ
・ラスボスのデザイン
・全体に尺が短いのでダイジェスト感が強い(シナリオ上の理由があるとはいえ)
・一人だけ声のミスマッチングを感じた
・あのエンディングの主張をゲーム内世界だけで描けていたら完璧だった(とても難しいが)

まとめ
全体的に見て、満点ではないがとても楽しめた。
あのエンディングに関して『原作をバカにしている』と捉える方もいるようだが、私はそうは思わない。
『所詮ゲーム、されどゲーム』と言いたかったのではないだろうか。
たとえフィクションのゲームの中のことであっても、それは確実に現実世界を生き抜くための力になる。
監督はゲームをバカにはしていないと思う。
これはレディープレイヤーワンのエンディングでの論争にも通じるものがあると思うが、長くなるのでそこは割愛。

この映画はドラゴンクエストVのストーリーの映画化ではない。
ドラゴンクエストVを遊んだゲーマーそれぞれの体験を描いた映画なのだ。
ちゃんとタイトルにも書いてある。
もちろん『ゲーム内の世界だけで完結して欲しかった』と言う気持ちもわかる。
なんといっても主人公一行の冒険がとても魅力的に描かれているからだ。
父との別れ、幼馴染との再会、信頼できる友たち、強大なモンスター、天空人の末裔を探す旅はわくわく感に満ち溢れている。


しかしいくつかの違和感を感じさせながら話は進んでいく。
それがエンディングで『そういうことか!』と納得するか『台無しだ!』と思うかはあなた次第だろう。
作り手側もこの反響は想像していたはずだ。
それでもあえてただそのまま映画化することをしなかった監督、製作の決断には拍手を送りたい。
もちろん映画的テクニックに走りすぎたと感じる部分もあるから、若干の作り手のエゴが見えなくもない。
それを原作への愛にかけると判断するのは早計だろう。


でもそれも含めて私はこの映画が好きだ。
低学年のお子さんだと結末部分がうまく理解できないかもしれない。
でもそれでいいと思う。
少し大人になってから理解できる映画だって沢山ある。
お子さんと親御さんそれぞれに見えかたが違ってくる映画、素晴らしいじゃないですか。
一人一人の自分だけのストーリーがそこにはあるのだから。

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