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「『NMLは使えないのですか?』と尋ねてくる卒業生がとても多いんです」- NML利用者の声 - 東京音楽大学・図書館スタッフ編

信時 裕子さん(東京音楽大学付属図書館事務長・司書)

ー図書館側の手間をかけることなく、膨大な音源の提供ができていますので、とても助かっていますー

膨大なクラシック音楽の音源を収録し、楽曲に関連するデータも豊富に登録している「ナクソス・ミュージック・ライブラリー」(以下、NML)は、今や音楽の勉強・研究には不可欠な存在となっています。特に音楽大学では、国内の大半の機関に導入され、多くのご利用をいただいていますが、その中でも、2023年の上半期の利用数のトップが東京音楽大学でした。
本インタビューは、その東京音楽大学の教育の現場で実際にどのようにサービスが活用されているのかについて、図書館のスタッフの方にお話をお伺いしたものです。

(学生編 Vol.1はこちら/学生編 Vol.2はこちら

■東京音楽大学付属図書館はどのような図書館でしょうか?

音楽大学の図書館ですので、まずは楽譜を多く揃えることをめざしています。研究熱心な学生も多く、また最近は博士課程もできましたので、全集や洋書も揃え、結構利用があります。
オンラインサービスにも力を入れています。最近では海外の音楽書が多数電子書籍で出されるようになりましたので、そういったものを購入したり、学術情報データベースを導入したりしていますが、NMLのような音楽配信もその一環として入れています。

■NMLはどのようなきっかけで導入されましたか?

私がこちらの図書館に来た当時は、図書館内に設置された特定の端末のみで使用できる状態で、同時アクセス数も限られていました。その後、学内のネットワーク環境が整ってきたことと、また学生が自分のパソコンやスマートフォンを持つことも当たり前になってきましたので、学生は全員、NMLにいつでも自由にアクセスできるようにするべきと考え、現在の契約(同時アクセス無制限・スマートフォンプラン)にアップグレードしました。

■学内ではどのような形でNMLをご提供されていますか?

利用端末を学内のWi-Fiに接続している場合は、サービスに(ログイン操作なしで)ダイレクトにアクセスできるようにしています。学外のネットワークや、あるいはスマートフォンのアプリから利用する場合は、ログイン操作が必要ですが、学生ごとに用意された図書館システムの「マイライブラリ」という専用ページから、ログインIDが入手できるようになっています。

ログインIDは、以前は図書館内で、対面で渡していましたが、2019年に中目黒・代官山キャンパスがオープンして、図書館の利用者対応窓口がこれまでの池袋キャンパスと二か所になった時に、IDの一元管理を続けたいという理由から、この方法に切り替えました。切り替え当初は、アクセス方法がわからないという学生もいましたが、このようなお得な情報は口コミですぐに広まるようで(笑)。今では多く使われるようになっています。
新年度になるとIDも新しいものに入れ替えるのですが、その作業もオンラインで済ませられますので、図書館の作業としてはかなり楽になりました。

■従来のCD貸出と比較して、NMLを導入したことで生まれた図書館業務上のメリットがあればお聞かせください。

CD貸出の場合、購入し、検索ができるように目録を作成し、ラベルを貼り、貸出ができる状態にします。そして、貸出をする時も書庫から出してきて、そして貸し出した後は、きちんと返却がされるように、時には催促もする、といったように、管理の手間がかなりかかります。NMLでは、このような図書館側の手間をかけることなく、あれだけの膨大な音源の提供ができていますので、とても助かっています。かつてはCDを借りる学生が図書館に行列を作っていましたが、そのようなこともなくなりました。

また、CDの購入には予算面での制限もありますが、NMLにはこれまで図書館で購入した全CDの数倍の枚数の音源が入っていますので、すごいですよね(笑)。CDの購入は現在、NMLに入っていない演奏家やレーベルのものを中心に行っています。

■学生や教職員の皆さんから、NMLに関して寄せられているご評価やご感想などがありましたらお聞かせください。

現在、音楽を聴く主な方法の一つとしてYouTubeがありますが、上がっている音源は玉石混交です。その点、音源の品質が保証されているNMLは安心して使える、という声は聞きますね。
我々の図書館では卒業生向けの支援も行っており、図書館の一部のサービスは卒業生にも提供しているので、「NMLは使えないのですか?」と尋ねてくる卒業生がとても多いんです。残念ながら卒業生にはNMLは提供できませんので、在学中に大いに使っていただきたいですね(笑)。           

■図書館スタッフとして、NMLでよく活用いただいている機能、便利とお感じいただいている機能はありますか?

作曲家ページや作品ページからリンクされている「この作品を検索(Google)」機能は便利ですね。調べ物をする際にこれで助かる学生は多くいるのではないかと思います。また、最近は海外から来る学生も多いので、検索が日本語だけでなく、英語にも対応しているのは有難いです。

■NMLのサービス全体についてご要望がありましたら教えてください。

プレイリストが、機能的により作りやすくなり、また教職員だけでなく学生も作れるようになるといいなと思います。現在は作り方がやや難しいため、作成のハードルが高くなっている状況ですが、これがクリアされれば、図書館お薦めのプレイリスト、授業やイベントの内容に沿ったプレイリストなど、いろいろなものを作りたいですし、学生にも作ってもらいたいです。
また、気に入った曲に印を付けて、後ですぐにアクセスして聴けるようにする「お気に入り」的な機能もあるといいですね。

(2023年7月取材。所属・肩書はインタビュー実施時点のものです)