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物もまた、物を呼ぶ。

最近古本で漫画を買いました。
まあまあおもしろかったです。1巻がかなり面白かったもので、2巻(完結)で割とすぐみんながハッピーになってしまったのがちょっとだけ物足りない感じだったけど…

というのは前置きで、その漫画をどこにしまおうかな〜と本棚を見つめていたら、昔動画の師匠からもらった本を発見。

「手塚先生の思い出」

「月刊広場」という同人誌に載せてた小林準治さんの連載、その名の通り「手塚先生の思い出」をまとめた一冊です。

市販されてないから貴重なのかな…ずいぶん前にいただいてたのに、ずっとちゃんと読めてませんでした。

さて、私はただ今ようやくきた育休(?)中です。

実際は休んでなんかなくて、企画をアレコレと考えたり、作品を夜な夜な作ったりしてるんですが、とりあえず今のとこすぐ形になるものや発表できるものがないので、人によってはニートママだと思ってる人もいるようです。が、それって要するにご自分の鏡なので、時間さえあれば常に何かを作ったり表現してきた人は、おーそれは成果物がすぐに出ない中での作業、孤独だし辛いし、何やってんだろって気分にもなるだろうけど頑張れ〜と言ってくれてるような気がしています。そんなイマジナリーじゃないフレンドがいると信じて頑張っています。(実際いるんですけど、はっきりそう言われてるわけでもないのに、そうさせてもらっちゃうのはなんとなく後ろめたいからイマジナリー属性つけています)

とまあそんな状態でこの本に再会できたのはかなりよかったな、と思ってます。

手塚さんとの思い出がもちろん中心なのですが、小林さんがこれだけの文章と絵を残してこられたというのがすごい。

たぶんですけど同人誌だし謝礼とかなかったのではと。謝礼とかなくても小林さんは常に書くし、描いてます。

あまりに呼吸するように普通に描かれ続けてるので、ついそのすごさを忘れてしまうんですが、本当に人生ってこれだけのものを残せる時間が本来はあったんだな、と思わせてくれる量のものを描かれてます。
それを言うならそもそも手塚治虫さんの仕事量がすさまじいのですが。
その仕事量を垣間見れるという意味でも大変刺激になってます。

それから、近年自分の記憶力の良さを煩わしいものと周囲からは思われてるのではないか、という漠然とした不安がありました。でも、小林さんの記憶量もすさまじい。というか、簡単にSNSとかにあげられたり写真をパシャリと撮れなかった時代、人が残していた記録とか記憶って実はものすごくちゃんとしてますよね。
私も2010年〜2016年3月まで勤めていた学校の非常勤講師時代の授業記録、結構ちゃんとしてるんです。データに頼らずプリントとかちゃんと取ってある。記憶はしていいものなんだな、と思い直すことができました。

さて、実はとても大切に思っていたコミュニティから、最近締め出されてしまったような気がしています。そんなつもりはない、と言われるかもしれませんが、私の感じ方としてはそんな感じ。

自分の何が悪かったんだろう〜と思い返したりしてみますが、そこをつっこまれても例えば海の生き物と山登りするのは相当な負担がかかるわけで、つまりは無理な話ですよね…と思ってしまう部分だったりして、もうどうにも修繕不可能なんだろうなという答えに行き着くばかりです。

でも、そんな気持ちもこの本に再会してちょっとだけ浮かばれた気もしたりして。

だってやっぱり鏡なんです。
同じ時間を持って生まれてきた人が、これだけのものを残している。それに対して自分は何をしてきただろう?そう自問したときに、堂々と「それでも精一杯だった」と返せる自信、私はあるな、と思うんです。
実を結ぶことはなかったり、蕾までいったのに花を咲かせられなかったことも多々ありました。それでも、私、常に精一杯やってきました。

だから、堂々としていられます。
そんな私を邪魔者だと思われたのならば、もうどうしようもないな、そんなふうに思えました。
なんせ、同じように頑張ってきた人達からは、そんな扱いは受けていないのです。頑張ってきた人は、頑張ってきた人の苦労を知ってるから、そりゃ辛かったこともあるよね、と思える。文句言い過ぎでは?と一度は思っても、そういう考えもあるよね、ここまでやってきたら…と再度戻ってきてくれる。

今はひとまず、さよならする人にはさよならを告げ、そばにいてくれる人たちについては、いい友人に囲まれてるな、と実感する日々です。

そんな大切な友人のひとりが勧めてくれた漫画から、今この同人誌にたどりつけたのって、ちょっと運命を感じました。人は人を呼ぶというけれど、物もまた、物を呼ぶ。

とりとめもない内容となってしまいました。

が、今はひとまずこの本にとてもいいタイミングで再会できたことをちょっと喜びたくて、書き記しました。

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