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4年間のポケなぞが終了しました!【アニポケ】

 ついに長く続いていたポケなぞのコーナーが終わりました。終わってしまいました。放送問題で140問、書籍オリジナルまで含めると158問!なんて問題量でしょう。本にして3巻分です。ここまで続けられて、感無量です。
 まさか同時にサトシの物語も幕が閉じるとは思いませんでした。私は「アドバンスジェネレーション」を見て育っていたので、ほんと衝撃を受けました。
 今、最終話を見ながらこの文章を書いています。これまでの4年間、いろんなことがあったなと振り返っています。

はじまりのポケなぞ

 ポケなぞの始まりは、RIDDLERの始まりとほぼ一緒でした。
 当時はまだRIDDLERが立ち上がり始めたばかりだったかなと。思い返せば、オフィスが狭い一部屋だけで、個人デスクもないような状態でしたね。
 そんなある日、社長松丸が「ポケモンアニメの謎解きが始まるかも!!」と駆け込んできました。
 うおおおおお!と熱狂するオフィス。さっそく戯れにポケモンの謎解きを壁面のホワイトボードに書き殴る社員一同。もう大はしゃぎです。そんな中で、私が一番謎を量産していたからか、私がポケなぞの担当に指名されました。

最初に戯れで作ったポケなぞのうちの1つ

 まさか私が担当になるとは思わなくて、あわてて未履修のサン・ムーンを買いに行って遊びましたね(ちなみに私は私はダイヤモンド・パール世代です)
 アニメのW主人公のゴウがヒバニーを選んだから、それにあやかって自分もゲームのソード・シールドでヒバニーを選んだりしてました。

 最初に放送されたポケなぞは、これでしたね。

  フシギバナが進化するという回で、それになぞらえたギミックにしました。「『せいかいは』を加えたらちょうど偶数になるし、アナグラムっぽさが減ってなんとなくフシギバナってエスパー(メタ解き)されなくなるじゃん!!」って深夜に発見した記憶がります。

 ただ、上の問題は放送順が最初ってだけで、最初に作られたポケなぞは、たしかこれでした。

 この草むらの表現、時代を感じますね。
 もう今だったらこの謎は出せないと思います。このマス目状の草むらが小さい子に通じなくなってるので。
 ゲームの3DCGの進化ってすごいですね。

昔はこういう草むらだったんですよ。
アイテムアイコンのモンスターボールが草村から覗いててね。


ポケなぞとシナリオと謎

 ポケなぞの制作は、事前にシナリオが私に共有されての制作でした。
(つまり私は、マスターズトーナメントの結果も、サトシの優勝も、ゴウとの別れも、全部事前に知ってました。すごいムズムズしてました。)
 これは大変ありがたいことで、アニメのシナリオとシナジーのある謎解きを作ることができました。これはポケなぞにおける一つの強いこだわりでした。

 例えば、上のポケなぞは、答えのポケモンであるメッソンの初登場回でした。シナリオ上でメッソンが水に隠れてしまうっていうシーンが印象的だったので、それを謎のギミックとしておとしこみました。
 こういうのをポケなぞにはいっぱい盛り込みました。この辺の詳しいことは、ポケなぞ本の巻末「ポケなぞができるまで」で熱く語ったので、是非本を手に取って読んでいただけると嬉しいです!。

 こんど3巻が出ます。3巻か……ほんと長く続いたね。

 答えにするポケモンも、こだわりがあって選んでいます。
 まず何より、(パルデア編を除いて)答えはその回に登場するポケモンから選んでいるのですが、その上で、140問もの放送問題を作っていて、答えが被っていないんです!
 どのタイミングで「エースバーン」や「ピカチュウ」などの頻出するポケモンの手持ちを使うかにはすごい悩まされました。最終的に、「エースバーン」はサトシがダンデに勝利した回、「ピカチュウ」は年末の最終話と、最高のタイミングで使うことができて良かったです。

  放送に関連せずにパルデア地方のポケモンから選んだパルデア編も、けっこう構造を仕込んで答えのポケモンを決めました。特に、最終話のポケなぞは、「次」に繋げるような答えになっています。

 答えのポケモンのことや、「何故ひまわりなのか?」ということに考えを馳せながら次のポケットモンスターアニメシリーズをお待ちいただければと思います。。


ポケなぞのデザイン

 ポケなぞのデザインは、アニメの映像チームの方々が作ってくださっています。
 だからこその、素晴らしい味のある見た目になっています。
 謎制作者ならこのとんでもなさがよりわかると思うのですが、既存の素材を使わずに全て描き下ろしでデザインされるんですよね!

 ポケなぞを作っている途中で、このデザインの「強み」を実感した私は、途中から問題の作り方を意識的に変えました。「もっと楽しげな景色になるような構図にできないかな?」「どこかにポケモンやキャラクターを忍ばせられないかな?」という観点を重視した制作にしました。アニポケファンの方々もそれに呼応するするような反応をしてくれて嬉しかったです。

 また、映像の力でより謎解きがわかりやすくなるという嬉しいことも多々ありました。たとえば以下の問題、冒頭の映像のおかげで注目するべき文字が明瞭になってくれています。しかも、謎の仕組みに邪魔にならずにシナジーのいい表現なんですよねこれ!

 焦げた文字というギミックから、実際に燃え上がる演出を加えてくださるなんて!
 こういう工夫は映像のプロからじゃないと出にくいアイデアだと思います。そういう化学反応が多く、大変楽しい制作でした。


謎解きを作る人へ

 ポケなぞ本は、ある種の謎制作者たちにとっては、めちゃめちゃ参考になる本だと思います。「見た目のデザインにこだわりがある問題が揃ってる」「謎解き初心者が挑みやすい工夫がされてる」といった特徴もありますが、何よりほぼ唯一の「単一の制作陣が4年続けた謎解きシリーズ」なんですよね。

 例えば、私が今ディレクターをしてるナゾトレシリーズですが、これは制作陣が時折交代します。アナビは大学卒業がありますからね。実働部隊の製作陣も、価値判断を下すディレクターも、時代と共に交代して、その時々に傾向が変わっていきました。(そうやってアップデートされていくから、ナゾトレは長く続いているんだろうなと思っています)

 ポケなぞは、最初から最後まで、松丸が監修し、私が作問ディレクターを担当しました。デザインの映像チームも一緒です。その4年間の積み重ねの中で、どう進化し、どうバージョンアップしていったか。作問に大切なヒントやエッセンスが、本を網羅的に見ることでわかるようになると思います。

そこに 3さつ ポケなぞが ある じゃろう!
(1冊と言わずに全部揃えて欲しいです!)

 あと、謎解きデザイナーにとってもかなり参考になるみたいです。私の隣の席であるなぞのデザイナーが、「ポケなぞすっげぇ……」って絶賛してたので。


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