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堕胎を頭ごなしに否定出来ない話



私が初めて妊娠したのは


20代前半の頃。


卵子を自分で作れない私が


超奇跡的に妊娠した。


嬉しいけど動揺もした。


初期症状は下腹部のチクチクした痛み


胸の張りと体温が高く熱っていた。


風邪の症状も少し


職場の先輩の薦めで妊娠検査薬をすることに。


次の日、出勤前にドラッグストアで検査薬を買い


制服に着替えてから職場のトイレで検査


みるみる陽性に変わった。


職場環境がとても良く
従業員は皆仲良しだった。店長も。


目がおかしいのかと思い
バックヤードにいた店長に検査薬を見せる



「うん、おめでとう」


と検査薬を返された。


次々と出勤してくる従業員に

検査どうだった?と聞かれ


ポケットに忍ばせてた検査薬を見せては


皆んなに祝福された。



当時の彼氏に画像付きでLINE。



「申し訳ないけど堕してほしい」



と言われた。



その時から私のメンタルは崩壊を始める



産んではいけないのか。


望んではいないのか。


私はどうしたい?


当時は好き勝手に働いて遊んでそして全然貯金もない


おまけに当時付き合ってた彼氏は
成金でブランド物ばかりにこだわり
パチンコ依存症で借金が1200万円あった



これ産める状態じゃないんじゃない?



産んではいけないんじゃない?



堕した方がいいんじゃない?



私の未来はどうなるの?


不安しかなくなった。


仲の良い友達に泣きながら相談


私達じゃ子どもを幸せに出来ない。



「そもそも堕胎って行為は俺は許せる事じゃないと思ってるし、子どもの幸せをお前が勝手に決めるんじゃねぇよ。幸せは子ども自身が決めるんだよ」


と怒られた。


その言葉で私の固定概念は崩れることになる。


風俗嬢の先輩には


「お金も貯金もないのに子ども育てられると思ってるの?考えが浅はかだ。」


とも言われた。ごもっとも。


でも子持ちの売れっ子風俗嬢のその友達は続けてこう言った。


「私はお金ならある。時間にも融通が効く一緒に育てよう」


泣いた。凄く泣いた。


それでもメンタルが崩壊していた私は



本当に5分置きぐらいに考えがコロコロと変わるし、ずっと泣いてばかりいた。


産みたい。

堕したほうがいい。

産みたい。

堕したほうがいい。


繰り返し繰り返し
コロコロと頭の中を過ぎる。


検診に行くと子どもはちょっとづつ大きくなっていて


エコーの写真を見ると嬉しかった。


でも怖い。自信がない。お金がない。


ある夜勤から帰宅した日


ルームシェアしている友達に


「どうしたい?」


と言われた。



もう爆発した。



声にならない声で
私は産みたいと言った。


その友達にも私がいるから、私が父親になるから一緒に育てよう。と言われた。


初めて声に出した「産みたい」に


どこか逃げれないような
逃げたくないような感覚を持ちつつ


覚悟が決まった。


風俗嬢の先輩にも
私は産みたい!と伝えたら。


じゃあ一緒に頑張ろう!と言ってくれた。


検診も一緒に来てくれた。



だけど


順調に育っていると言われてたのに



急に茶色のおりもののような出血



すぐ病院へ。


トイレ以外は立たないで欲しい。
それが出来ないなら入院してほしい。


と言われた。



日々出血量が増えている。


茶色の血液。



絶対安静の日々を送っていた。


けれど当時住んでいたマンションは



6階建のエレベーターなし6階の部屋。



子育てに向いてもないし
絶対安静の私には厳しすぎる生活環境


すぐに引越しをすることにした。



安静の生活も良かったのか
出血は少し収まっていた。



ある内見の日


彼氏と駅まで向かう途中に
コンビニのトイレになんとなく様子を見に向かった。



鮮血が出ていた。



慌てて病院に電話したら
今すぐきて欲しいと言われ


内見をキャンセルし


タクシーで病院へ。



非常に危ない状態。


とにかく安静にして欲しい。


鮮血が茶色に戻れば
まだ安心はできるから頑張ろうね。


と言われ帰宅。


エコーを見ると子どもは育っていた。



唯一の安心材料。



ある日鮮血の量が多く強い腹痛
またすぐにタクシーで病院へ行くことに。


とんでもない量の雪が降っていた。



病院につきエコーを見てみると



胎盤から子どもは脱落し
子宮口へ向かって流れていた。


もう3日以内に流産します。
お腹痛いでしょう?鎮痛剤処方しますか?


あぁ。終わってしまうんだ。


脱落しているこの子はそれでも少しずつ育っていた。


雪が降る中、傘もささず、寒さも感じず
病院の外で、ただひたすら泣いた。


どれだけ時間が経ったかはわからなかったが


あと3日で私がこの子に出来ることはなんだろう。


泣かないこと


笑ってること


私を通して美味しいものを食べること


だった。



とにかく何か良いものを食べよう。



タクシー使おうと彼氏に言われたが



なんだか歩きたい気分だった。



その足でお気に入りの焼肉屋さんへ



1番高いものを頼んで食べた。



正直味は全くしなかったが



どうか届いて欲しい。と思った。



帰りにイチゴ買って帰ろう。なんて話をして帰路の途中のスーパーへ




なんとなく咳払いをした瞬間




ズルっと私の中から何か出た。




流れてしまった。すぐにわかった。



もう帰ろうと何も買わずに帰宅



すぐにトイレへ



ティッシュで救うように拭き取った



見ることは怖くて出来なくてそのまま流した。



次の日また病院へ。



キレイに流れてくれたね。


手術も必要ないよ。


お母さんに負担かけないようにしてくれた親想いの子だったね。


と言われまた泣いた。



初期の流産は大体が染色体に異常があるらしい


それを身体が異物と捉えて排出しようとしてしまうそうです。


それが自然の原理なんだよと言われた。



ある日うたた寝をしていたら


小学生ぐらいの男の子が夢に出てきた。


直感であの子は私の子だと思った。



なので私は勝手に最初の子は男の子だと思い込んでいる。


そんなこんなで



堕胎をしてしまおうか。


堕胎をしよう。


産みたい。


そんな色んな考えがあると思うけど


私は一瞬でも堕すことを考えた人間なので


その考えに否定はしない。


でもどんな理由にせよ堕胎は殺人と一緒な事を忘れないで欲しい。



望まない妊娠を避けるために



避妊をする。


大人としてのエチケットを守る。


悲しい思いをしてほしくないから


簡単に殺めることはしてほしくないから


これは徹底して欲しいと心から思ってる。





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