見出し画像

私の独り言⑨その2 訪問ヘルパーをしていた頃の話~記憶に残っている利用者様~

今から約20年も昔になるがヘルパー2級養成講座の講習を受けその後訪問ヘルパーとして登録していた頃の話その2。

もうひとつの、ヘルパーとして登録していた頃の話はこちらからどうぞ。https://note.com/nchisyo/n/nc374c0fe110e

思い出すのはほとんど優しい高齢者の方ばかりだった。

ヘルパーを依頼する方はキチンとしたいと普段から思っている方が多かった。

失敗も沢山してしまった。利用者様と一緒に移動した際、利用者様の指をドアに挟んでしまったり、掃除の時物を壊してしまったりきりがない程。

今考えても…ぞっとする。

皆様優しく許して下さった。

ごめんなさい。

許して下さってありがとうございます。


中でも一番苦労したのは、担当した方から持って帰って欲しいとお菓子や品物、現金まで差し出される事が。

事業所より、諸々の理由で受け取ってはいけないと指導があっていた。

断るのは一苦労。ある時は断りを言うと品物を下げてくださるが、悲しそうな目で私を見ておられた。

中には機嫌が悪くなる方もおられた。


またどのヘルパーさんも続かず、私も漏れずに続かず苦い記憶となった事も。

記憶に残っている方を幾つか綴ってみたいと思う。


◎透析に週3回通う一人暮らしの元料理人の男性。週3回掃除の為に訪問。

病気の為なのか痒みが続き全身の皮膚が動く度に剥がれ落ちていた。その事も苦にしておられヘルパーには毎回まず床を隅々雑巾で水ぶき、その後掃除機をかけて欲しいと希望がある。

それ以外にも壁から10センチ離して家具を置いてあるのでその隙間にも必ず掃除機をかける事やカーテンにも掃除機をかける、隅々は掃除機の部品を付け替えて吸い取るなど細かい取り決めがあった。難しい方と聞いていた。

大変ではあったが私はその方のお陰で掃除が少しだけ上手になった。


◎同じヘルパー養成講座に通っていたかたの同居中のお母様で寝たきりの方、とても穏やかな時間が流れていた。不定期で訪問。

本当は仕事らしい仕事は何もしていない。何故ならば家族の外出する時間確保の為の見守りヘルパーだった。今はそんなサービスが可能なのかは不明だが。

訪問するとすぐに家族は外出。仕事や買い物、銀行や役所などの用事、友人知人に会う為の貴重な時間。

私が出来る事といえば乾いた洗濯物を畳む位だった。他に何か出来ないか?

その利用者様は寝たきりで言葉も発声できなかった。しかしアイコンタクトは取れていたし、耳も聞こえていたようだったので新聞を隅々読んだ。暫く通うようになり私も慣れてきたある日、私の好きな唱歌を歌ってみると少し表情が和らいだ気がした。

それからは歌が沢山載っている本を家から用意し毎回歌った。他の家族がいたら恥ずかしいが不在の時の訪問だったので私も楽しみながら歌った記憶がある。

中でも『富士の山』『故郷』は毎回歌っていた。毎回業務報告を兼ねて家族が見る連絡ノートを記載するようになっておりその日歌った曲も書くようにしていたので家族も私が歌っていたのは知ってはおられた。

後に家族からご本人が楽しんでいたと伺った。寝たきりの方の介護の様子、寝たきりであっても誠意は伝わると教わった。


◎10年前に病気で全盲になり杖歩行。1人では外出は出来ない。娘、孫と同居の女性。盆も正月も365日毎日ヘルパーは訪問しており私は週3、4回訪問。

全盲になって時間が経過しているので部屋の中では伝い歩きで移動し出来るだけ自分の事は自分でやろうと意欲がある方だった。

入浴の見守りがプランに上がっていたが浴室の椅子に座るまで見守れば後は全部自分で行っていた。

家事もプランが上がっていた。

簡単な調理の下ごしらえ。

仕事に行って不在の娘様よりメモが置いてあり、例えばサラダの為にキュウリをスライサーでスライスし塩で揉んでおく、ジャガイモ ニンジンを1cm角位に切るなどその通りに行う。本当に簡単な調理だった。

また気候の良い日には車が余り来ない付近の道を散歩する事もプランにあり、短時間だが実行できていた。

しかし徐々に足が弱ったり、熱が出たり体調不良の為今までできていた事が出来なくなり、ベッド上で過ごす事が増えてしまった。入浴も出来ない日が続く。

清拭もしていたが毎回、足の感覚がない程痺れ冷たいとの訴えがある。

訪問ヘルパーは3人が担当し必ず毎日誰かが訪問していた。新しいヘルパーが来るのをとても不安がっていたが、私も他の方も運良く何年も続いた。

事業所のサービス担当責任者に相談し出来る時は足湯を実施することに。

結果「足が夜までぽかぽかしている」と、とても気に入って下さり毎回の様に行っていた。

全盲のかたの事や、足湯についての勉強になった。


私の介護の基本はこの頃の訪問ヘルパーで担当した利用者様から学び、それをデイサービスで更に磨き、今の母の介護が出来ている。感謝しかない。


もし、介護の資格を取ろうかどうしようかと迷っているかたがおられたら、是非勉強する事をお勧めする。

家族が…知人が…友人が…道を歩いている人が…目の前で困っている時に手を差しのべられるかも知れない。

自分が困っている時にどうしたら、誰に相談したら良いか分かるかもしれない。

私はとても助かった。


読んで頂きありがとうございます。

今日も明日も良い事がありますように