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春を楽しみに

「葉が落ちて、枝だけになり
まるで生きていないような樹木であっても
春になれば、新芽が出て
必ずまた緑豊かな木となるものです。」

私達はよく
「人生は、物事は、無常だからなあ」と
口にします。

大抵の場合は、物事が上手くいっていたのに
それがうまくいかなくなった時に使います。

例えば、とても有名で豊かな暮らしをしていたお人が、何かあって失落してしまった時。

歌や芸が流行って、時の人になった芸能人などが
時間が過ぎて、過去の話になった時。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。」
いつまでも、栄華は続かないものだ、と
嘆きます。

今、時は小寒の末候。
もうすぐ、一年で一番寒い時期、大寒です。

昔の人は、一番寒い時の水は腐らない、といって
大寒の早朝のお水を大事に貯めておいて
神様や仏様にお供えをしました。

そんな寒さの厳しい時ですので
森の木々も枝ばかりになっています。

枯葉が次から次へと重なり
冬空は曇り、雲は暗い色になり
お日様の光は弱く
手足はいつも冷えてまいります。

でも、そんな時期ですが
庭の梅の木は、もう花芽をつけています。

毎年、春の訪れを告げる梅は
いつも私を感動させてくれます。

こんな寒い時期に、もう花を咲かせようとしている!すごいなあ!と、思います。

辛い時、悲しい時、苦しい時、
私達は、それがまるで永遠に続くかのように感じます。

絶望にも似たような、もういっそ死んで消えてしまいたい、と思う時もあります。

でも、そんな苦しみも、それこそ無常です。
永遠に続くことはありません。

いつかまた、元の様に笑うことの出来る時が
必ずやってきます。

ですからどうぞ、今苦しい思いをしている方も
絶望をしないでください。

苦しみも、悲しみも、全ては移り変わります。

そして、また春が来たら
その苦しみを、いつまでも心に刻まずに
「そんな時もあったなあ」と
さらりと流してしまってください。

楽しく、嬉しいことを
沢山心に刻んで
毎日をどうぞ健やかにお過ごしください。

どの道、全ては移り変わるものなのですから。

「禿なる樹 定んで禿なるに非ず
春に遭う時はすなわち栄え 華さく」

弘法大師空海

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