181208_木を守り、木を活かす。(ウッドデザイン賞)

自然が豊かと言われる日本。
国土の70%以上が山林で緑に溢れ、山林の持つ保水機能から川の水も豊か。
元来、里山と呼ばれる多種多様な雑木の集まりであり、生態系も豊か。

その里山はある時期、一斉に杉や檜を中心とするほぼ単一種の針葉樹植林に変わっていきました。「宝の山」と呼ばれ、建材を中心とする木材利用需要に応えるためでした。
一斉植林によって、植生が変わり、生態系が変わり、保水機能が失われ、花粉症が大きな社会問題となり、宝になるまでに何十年もの時間と手間もかかる山林は、手入れが行き届かずに良質な材料へと育てるのも難しく、困難な時期を迎えていました。

しかし今、数十年を経て育った樹木が一斉に伐期を迎え、その利活用が問われる時代に。
そのような流れの中、林野庁は「木づかい運動」や「ウッドデザイン賞」を創設。
木材利用促進に大きな力が注がれています。
山や自然を守り、活かすことに繋がり、SDGsなどでも話題の持続可能な社会へ向けての大きな一歩にもなります。

講師Sが大川市で、大川インテリア振興センター、建具事業協同組合と取り組んでいる大川TATEGUMIの活動も、ウッドデザイン賞2018・奨励賞(審査員長賞)を頂き、東京ビッグサイトでの授賞式に出席しました。
全国400点あまりの応募から、上位30に入る賞を頂け、嬉しかったことはもちろんですが、授賞式後の懇親会で、賞の主催者側である林野庁のご担当者や運営しているユニバーサルデザイン研究所の赤池学さん、そして何より、全国から集まった受賞者の皆さんとお話しできたのは大いに励みになりました。

受賞者の皆さんはいずれも、日本の木を守り、活かそうと各地でビジョンを持って奮闘されている方々ばかりで、木の分野での最先端の取り組みの集まり、でした。

特に印象的だったのは、徳島に東京ドーム450個分の山を持つという19代目の若き林業家さん。東京渋谷のビルを一棟まるごと買い取って改装し、一本の丸太から内装を構築したレストランとゲストハウスを作って、自社で運営。徳島の魅力、味力を発信する場を作っていることでした。

もう一つは、家具会社のwisewiseさん。地域の材料を使った製品づくり。全ての材料産地や流通、生産を把握しながら家具を作っているといいます。SFC認証を家具屋として初めて取得し、林野庁のお墨付きも受けている企業。

自然資源のソーシャルデザインと考えると、非常に意義のある現場に立ち会うことができました。

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