見出し画像

転調は最高のエンタメ

みなさん、音楽は好きですか?
好きな曲はありますか?
その曲に転調はありますか?

今回は「転調最高!」という事と、個人的に好きな「転調が似合う曲」をまとめてみたいと思います。

転調とは?
曲の途中で調が別の調へ変わることを「転調」といいます。転調をすると曲の雰囲気が変わり、音楽に幅が出ます。カラオケの曲の後半でサビのメロディーがそれまでよりも高くなったりするのが、身近な例ですね。

https://www.ays-vocal.net/news/742/

・きっかけ


僕の大好きなiriが新曲を出しました。
JR SKISKIのCMソングという、大型タイアップを背負った曲です。
その曲「hug」はピアノから始まる、冬に聴くと心が暖まるような優しい曲です。

「昔のことは忘れてしまったような気がしてセンチメンタルになる事もあるけど、ちゃんと自分の中のどこかに大事にしまわれている。それが引っ張り出された時の様々な思い」

を描いた曲だそうです。(ぜひ聴いてみて下さい!)

この「hug」が、最後のサビで転調をするんですよね。
iriには珍しい「転調」なので、とても印象的で。
それを聴いていて、心が揺れる気持ちがあって、転調は感情を揺さぶる効果があるなーと改めてしみじみ感じました。

・転調する曲


前述したとおり、「hug」をきっかけに僕は、「転調がたまらん!」な曲たちを思いつく限り書き出してみました。
基本的に転調は「バラード曲」の「最後のサビ」で使われる事が多いです。そして普通のサビより「+1」キーが上がる(#1)のが定番です。
ですが、必ずしもそこにしか使われない訳ではなく、今回はその「王道」ではない使われ方をしている曲も後半にまとめてみました。


・まずは「王道」の転調曲

すぐに思いついたのは、あゆ。
End roll、POWDER SNOW、Dearest、no more words、Voyage、、、挙げ始めたらきりがなさそうです。

他には、
プラネタリウム/大塚愛
月光/鬼束ちひろ
Precious Memories/globe
奏/スキマスイッチ
my graduation/SPEED

これらは分かりやすく最後のサビで転調しています。
「さぁ、いよいよ最後のサビだ!」というように、分かりやすく盛り上がります。
基本的にはこの王道パターンが一番シンプルで良い。

・良い転調は王道だけにあらず


ところがです。
王道のパターン意外にも、良い転調をしている名曲が思いのほか多かったのです。

ちょっとこれは、丁寧に紐解いていきたいのです。

①王道外(アッパーチューン)の転調

先ほど、基本的に転調はバラード曲にあると書きましたが、思い返すとバラード以外にもミディアムロックやアッパーチューンな曲にも良い転調をしている曲たちがありました。

まずはあゆ。
NEVER EVER、Free&Easy、Because of You、Trauma、NO FUTUREなど

そして他のアーティスト。
Feel Like Dance/globe
Perfume of Love/globe
Sa Yo Na Ra/globe
SWEET PAIN/globe
I Believe/華原朋美
the meaning peace of love/倖田來未&BoA
PIECES OF A DREAM/CHEMISTRY
掌/Mr.children

こちらも挙げたらキリがありません。
まず特筆すべきは、「TK(小室哲哉)プロデュース曲に転調曲が多い説」です。
そして、転調曲が多かったのはなんとなく、90年後半〜2010年くらいまでかな?という感覚があります。
しかしこれは自分がその年代に思い入れが強すぎるからかもしれません。
真実はともかく、この時代って名曲が多いですよね。

②王道外(転調タイミングが絶妙!)


ここまで書いた曲たちは基本的には最後のサビで転調する基本パターンが多かったと思います。
ですが、ここから紹介する曲たちは、ちょっとひと工夫された転調をしています。

⚫︎Anything for you/浜崎あゆみ
・4:10〜 普通のサビ
・4:35〜 キーが「1上がった」サビ
ここまでは普通の転調ですが、この曲はなんともう一回さらにキーが上がります。
・5:35〜 キーが「2上がった」サビ

これはゲームに例えるなら、「ラスボスのあとに真のラスボスがいた」
食事に例えるなら、「メインのあとにもう一品メインが出てきた」
くじ引きで例えるなら、「1等のダイソンに加えて副賞でテレビも貰っちゃった!」くらいの感じです。

二回も転調(キーが上がる)のは歌う側も相当しんどいはず、、、作曲はやっぱりTK。歌い手泣かせですね。

⚫︎Moon/浜崎あゆみ
この曲は、「転調詐欺」とも言える曲です。(褒めてます)
この曲のキーの推移を見てみると、
・3:25〜 普通のサビ
・4:10〜 キーが「2下がった」←⁈サビ
・4:39〜 キーが「元に戻った」サビ
なんですね。
つまり、最後の4:39〜のサビは、実際には1番のサビと同じ高さなんですが、直前に2つ下がってたせいで相対的に「2つ上がってる」ように感じる錯覚を使った転調です。この詐欺はすごい。(褒めてます)

例えるならば、Amazonのブラックフライデーセール。
10000円のイヤホンをセール直前に定価を12000円に引き上げておいて、
セール中に10000円で販売しておきながら「2000円オフ!」と謳っているようなもんです。

もしセールなら「詐欺!」と言われますが、転調においては錯覚してるだけだし、別に転調する事に善悪はないので問題ありません。むしろすごいテクニックを使っているなーと感心したくらいです。

実はこのテクニックに似た曲が、他にもありました。

⚫︎夜に駆ける/YOASOBI
この曲のキーは、
・3:11〜 キーが「1下がった」サビ
・3:28〜 キーが「1上がった」サビ
これは一旦最後のサビ前3:11に1つ下げておいて、そこから2つ上げて最後のサビに入ります。
通常サビからは1つしか上がってないけど、直前に1つ下げておいたので、感覚的には「2つ上がってる!」と感じます。

いや〜さすがAyaseさん。この方の作曲スキルはすごいです。

⚫︎アイドル/YOASOBI
Ayaseさんはやっぱり天才でした。
この曲が世界的にヒットしたのには、ちゃんと音楽的な論理があったからだと思わされます。
この曲は転調が複雑で、言葉にするのが難しいのですが、通常サビがそもそも(AメロBメロと比べて)キーが「1つ」上がる転調をしています。
そして、後半は「転調祭り」です。

・2:31〜 キーが通常のBメロ、なんですが、、、
その途中で!
・2:38〜 キーが「1つ下がる」Bメロ
・2:45〜 キーが「1つ上がる」最後のサビ

ここの怒涛のアップダウンの転調は、感情を追いつかせるのが大変です。
例えるならば、「富士急ハイランドのFUJIYAMA」ですね。急降下したらまた急上昇して、途中で逆さまになったりしながらゴールへ辿り着く。そんな曲です。

⚫︎Wait & See ~リスク~/宇多田ヒカル
・3:47〜 キーが「1つ上がる」最後のサビ
この曲が秀逸だなと思うのは、「歌詞」との関わりにあります。
実はこのキーが1つあがるタイミングで、ヒカルさん、こんなふうに歌ってるんです。

「キーが高すぎるなら下げてもいいよ 歌は変わらない強さ持ってる」

Wait & See ~リスク~/宇多田ヒカル

自分で転調してキーを上げておきながら、歌詞ではその逆をいくという、なんとも天邪鬼なヒカルさん!!!

しかも通常サビとは全く違うメロディラインに変えて、更に通常サビより低い音域になっていて、聴いてる側からすると上がってるというよりむしろ下がっているように聴こえる、という、「上がってんの?下がってんの?」状態。

ヒカルさんの遊び心と共に天才的な作曲力を感じる一曲です。

・転調とは

ここまで書いたとおり、転調は曲の中で変化を生み出し、リスナーに何かを伝えるための手段です。

普段から「サビの歌詞はアーティストが最も伝えたい事」だと思っているのですが、
「特に転調後の歌詞は作詞した人の想いが強く込められた部分」なんだと思います。

そんな「想いが強く込められた」転調後の歌詞をいくつかピックアップしてまとめて終わりにしようと思います。

「ずっと守っていくよ その胸に抱えたものを 決して失くしてしまう事のないように」
「もしも君に差し出せるモノがあるとしたら 変わらぬ確かな想い ねぇここに」
「どうして時々こんなに苦しい どうしていつでもこんなに愛しい」
「それでもまだ 君と君にだけは言えずにいたけど やっと言えた」

Free&Easy/浜崎あゆみ
NEVER EVER/浜崎あゆみ
Because of You/浜崎あゆみ
アイドル/YOASOBI

みなさんもお気に入りの曲で転調する曲があったら、その部分の歌詞に注目して聴いてみて下さいね〜。
長くなりましたが最後まで読んでくれてありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?