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理解度の段階について


前に、勉強・学習の基本的な考え方として、「インプット」と「アウトプット」について記事にしましたが、
私が個別塾講師時代に意識していたことは、それに加えて、相手の「理解度の段階」がどこにあるか。
相手の「理解度の段階」に合わせてアプローチ法を変えていく。

「理解度の段階」は教育に携わる方には勿論必須事項ですが、
教育以外でも人に教える立場にある人や、人と接する機会がある人にも是非おさえてほしいと思います。

0.わからない、理解していない


まず、第ゼロ段階としてあげるのが、
「わからない、理解していない」状態。

生徒がテストの点数を取れないケースとして、
「わからないので解けない」か
「理解しているけど点数に繋がらない」の2通りが挙げられると思います。
前者がここで紹介する第ゼロ段階にあたります。

この段階の生徒に「問題を解け」といっても解けません。
まずは「インプット」あるのみです。
とりあえず「わからない」から「わかった」へ持っていく。この辺の手腕は教える立場の人達には最低限持っていてほしいです。

ただ、問題は「わかった」状態に達しても、そこから先で何もせず放置していれば、また「わからない」状態に戻ってしまいます。

底辺レベルの生徒相手にありがちだったのが、授業で「わかった」状態に持っていくことができ、それを定着させるために復習の内容を宿題に出すが、
当の本人はここでわかったことに満足して、授業が終わった後から次の授業まで何もしてこない。
なので、次のときには前回の内容を忘れていて、また同じ内容の繰り返し。
なかなかもどかしかったです。

大学受験の予備校の授業も同じです。
予備校講師は教えることのプロ。
授業を聞けば「わかった」という感じになりますが、その後自分で何かしらのアクションを起こさなければ自分の実力にはなりません。

1.わかる、理解できる

先程、点数が取れないケースとして「理解しているが点数に繋がらない」と述べましたが、もしかしたら、わかっていれば点数も取れるんじゃないかと思う方もいるかと思います。

断言します。「わかっている」ことと「できる」ことは別のことです。
点数が取れない=わかっていない、とみなしてインプット中心のアプローチを続けていては何も変化は現れません。

例えば、速く走れるようになりたい、という目標を持っているとします。
速く走るためのフォームを本で完璧に理解し、また、足の速い人の動作解析まで行い、そのメカニズムを完璧に理解しました。

それで速く走れるようになるでしょうか?
答えは「No」です。
速く走れるようになるには、頭で理解するよりも、実際に練習する方が重要です。

私が塾講師をやっていて感じたことは、
点数が取れないケースとして、内容を一応理解しているけど、それがなかなか点数に繋がらないケースの方が多いように感じました。
その原因としては「アウトプット」が全然足りていない。
なのでとにかく「アウトプット」の練習をさせる。
「アウトプット」をさせる中で、躓くポイントが見えてくるので、それを見逃さず、適切なアプローチを仕掛ける。

この辺はなかなか難しいですが、教える側の力量が試されるところだと思います。

2.できる、解ける、実行できる

テストの点数を取れるようになるには、とりあえずこの段階まで到達すれば十分です。

「できる」段階にいる子は、放っておいてもどんどん先に学習を進めて、成長していきます。

ただ、稀にいるのは「理解していない」けど「何故かできる(解ける)」というケース。
この場合、放っておくとどこかで躓きます。
(プロスポーツ選手でよく見られるケースのように思います。)

それを発見する方法としては、次の章で述べる「説明させる」こと。
説明したり教えるには、まず、「理解している」ことが前提となります。
理解していなければ、説明することができません。

3.説明できる、教えられる

テストの点数を取るだけだったら「できる」段階までで十分ですが、
レベルアップをより図りたい場合、
また、社会人として仕事をしていく上では
「説明できる、教えられる」ことがより大事になってきます。

説明したり、教えたりするには、
まず自分が「わかって」いることが前提です。

教えるとき、中には自分の分かっていることをそのままただ垂れ流す人も見られますが、
大抵の人は、どうやったら分かりやすくなるか、どうやったら相手に分かってもらえるか・伝わるか、を考えるかと思います。

そこが、教えるときの肝です。
ここで考えることによって、自分の頭の中が整理され、自分の理解がより深まり、ときには新しい発見もある。
教える・説明することが自分自身のレベルアップにつながります。

教えることは、教えられる側以外にも、教える側にとってためになります。
私が塾講師時代には、生徒に「説明させる」ことを取り入れていました。

4.研究できる、企画立案できる

以上で解説した理解度の段階については、
対象は主に答えがあるもの、答えがわかっているものとなります。

理解度の最終段階として、題名に「研究できる、企画立案できる」と挙げましたが、
簡単に言うと、答えがまだ分かっていないものや、答えのないものに対してアプローチできる能力のように思います。

仕事や実際に生きていくうえでは、
答えのないものに対応する場面の方が多いと思われます。
そのときにどう立ち向かうか。
本記事で説明した理解度の段階を踏んでいくこともそのヒントのひとつだと思われます。

まず、分かるものを拾っていく。
些細なことでもよいので、できることを尽くす。
それらを他の人が分かるように説明する。

それでは。

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