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髙橋海人の弟力がどうかしている

GW中にWOWOWで放送されていたので、映画『アキラとあきら』を観ました。

池井戸潤原作の同名小説の映像化作品で、WOWOW制作のドラマ版と映画版の二つがあることは知っていたのだけど、この映画版の方に我らが海ちゃんが出ているということで少し前から気になっていたのです。

タイトルになっている2人のアキラ(あきら)を演じるのは横浜流星と竹内涼真。
実に豪華なW主演。
作中フルネームは漢字の彬(横浜)と瑛(竹内)だったのでどっちがカタカナでどっちがひらがなかは不明。

大企業の御曹司・横浜流星と零細工場の息子・竹内涼真。
共に東大卒の期待の新人としてメガバンクに同期入社した2人がそれぞれの立場で悩み苦しみ成長し、物語のキーとなる一つの案件を手を取り合い解決に向かって奔走する……というthe池井戸潤ストーリー。
池井戸先生の作品はドラマにすると尺を稼ぐ都合で人間模様が色濃く描かれ、登場人物が増えるのでそこが面白くもあるのだけど冗長気味に思えることもあるので、池井戸節を2時間の映画で楽しめるのはとても良かった。
脚本も演者の芝居もとても巧みで、その2時間もあっという間でした。
どっちのアキラ(あきら)も本来感情移入しづらそうな主人公なのに、主演2人やバイプレイヤーの皆さんの巧みなお芝居に感情がガンガン揺さぶられっぱなし。
映画館でお金を払ってみる価値は多分にあること間違いなしの作品ではあるのだけど、私はおそらく黙って見ていられない。
いや、実際劇場なら黙ってるんですけど、悲鳴を上げたくて仕方なくなるやつでした。
なので、お家のテレビでヒィヒィ言いながら楽しく観られてよかったです。
最後はちゃんと大団円、清々しい気持ちで鑑賞終了できるものいいね。

年齢、名前、社長の息子という共通点はあるものの育って来た環境、家庭の経済状況はまるで違う。
そうして育まれた価値観は相反するものだというのに、共に東大を出て社会に出て、メガバンクに優秀な成績で入社してくる2人のイケメン。
この設定だけでオタクは最高に楽しい。
ニコニコしちゃう。
友達じゃない、同僚じゃない、同期。
気のおける仲でもないし、切磋琢磨した仲間でもない、でもお互いの考え方や人間性に惹かれて最後は手と手を取り合う同期。
実にエモーショナル。
ニコニコしちゃう。

何から目線の物言いだと百も承知で言いますけど横浜流星と竹内涼真、2人ともめちゃくちゃいい役者さんになりましたね!
ちょっと前に再来年の大河ドラマの主演が横浜流星に決まったとのニュースがありましたけども、期待大で2025年が待てます。

で。

でよ。

この映画に我らが海ちゃんが出てるという話なんですけども。

海ちゃんの弟力がフルパワーで発揮されててびっくりした。

海ちゃんは横浜流星の弟役、つまり彼もまた大企業の御曹司です。
お金持ちでお高いスーツを着る海ちゃん、かっこいい。
幼い頃はお兄ちゃんとなかよしだったのに、年齢を重ねるにつれ優秀な兄と自分を比較してしまい……とまあ、ドラマによくある経営者一族の典型的長男次男の次男の方をとても真摯に演じていました。

弟・海ちゃんが見られるドラマといえば『姉ちゃんの恋人』がありますけども、あちらは言わば姉ちゃん思いのかわいい弟でした。
ステレオタイプの理想の弟、光の弟なんです。
『アキラとあきら』の海ちゃんは、兄に対するコンプレックスバリバリでちょっと反抗的な闇の弟です。
フィクションに登場する兄弟大好きオタクとしてはズルズルベタベタなかよし兄弟も好きだけれど、ちょっと拗らせてるバチバチ兄弟もやぶさかではないのですよ。
もともとなかよしだから何やかんやあって最終的には素直にお兄ちゃんに従っちゃうのは、もう……もう!
身も蓋もなく言えば萌えポイント。

この映画には全然関係ないけれど『鬼滅の刃』では不死川兄弟が好き……といえば私のヘキが一番わかりやすいかと。

海ちゃん、とてもよかった。
とてもいい『弟』だった。
途中途中叫び出したくなる原因も、だいたい海ちゃん。

親族争いに咬まされる次男坊・海ちゃん。
お兄ちゃんへのコンプレックスからやることなすこと裏目に出る海ちゃん。
頑張りすぎて倒れちゃう海ちゃん。
あんなに逆張りしていたお兄ちゃんにすんなり助けられる弟・海ちゃん。

……正直、刺さる。

ごめんね海ちゃん。
ベッドで弱ってるシーン、刺さる。
海ちゃんの病院着、何度見ても刺さる。
今気づいたけど海ちゃん、今まで出演したドラマでもかなりの頻度で病院のベッドにお世話になってるね。
ありがたいね。
現実の海ちゃんは元気でいてね。

……とまあ話が少しズレましたが、弟とはこうなんだよ。
弟とはかくあるべき、そんな姿を海ちゃんは私にこれでもかと見せつけてくれる。
海ちゃんは“ただひたすらにかわいい”弟という幻想だけにとどまらず、“何だかんだ言ってかわいい”弟まで演じてくれちゃうのかよ。
悪態を吐こうが態度が反抗的だろうが、弱った時には当たり前のように頼ってくるのもまた弟。
何だかんだの部分があるからこそ、しょげたりデレたりした時がかわいいんだよ!

海ちゃんが想像以上に美味しい役でとても良い仕事をしていたので、本当にこの映画を観てよかったと思う。

この映画に海ちゃんをキャスティングした人、ありがとう。
天井知らずの髙橋海人の弟力に乾杯。

ここから先は映画とは関係ない話。
個人的に、いつもの海ちゃんが最も弟力を発揮していると思う超絶弟ポイントは「一人称は僕…と見せかけて不意に出る俺
これ、弟ポイント採点基準に於ける最高レベルの芸術点の高さ。
別に隠してる訳でもないし明確な使い分けがあるでもないのに、ぽろっと「俺」がこぼれるあの瞬間。
「弟」という年下の、強か弱かで言えば弱の存在からチラと垣間見える「男」という強の気配を第三者目線で観測するの……最高ですな。

まったく、髙橋海人の弟力はどうかしているぜ。

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