村上春樹 「風の歌を聴け」

『今、僕は語ろうと思う。もちろん問題は何ひとつ解決してはいないし、語り終えた時点でもあるいは事態は全く同じということになるかもしれない。 結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。
しかし、正直に語ることはひどくむずかしい。 僕が正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんでいく。
弁解するつもりはない。少なくともここに語られていることは現在の僕におけるベストだ。つけ加えることは何もない。それでも僕はこんな風にも考えている。うまくいけばずっと先に、 何年か何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれない、と。そしてその時、象は平原に還り僕はより美しい言葉で世界を語り始めるだろう。』

村上春樹さん第1作。
いきなり現れる「象は平原に還り」のところの表現がとても美しくて好きです♪
何故、こんなにも惹かれてしまうのか?
この世界があるべき姿に戻って行くというイメージでしょうか。

My favorite sentencesの一つ目にさせていただきました。

#村上春樹
#風の歌を聴け

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