借金トレーダーKEN 第3話【幸か不幸か】


※この話はフィクションで実在する団体や個人名は関係ありません(そりゃそーやろ!)
完全に気まぐれで書いてるので見られなくなったらいつ辞めるかわかりませんw

第3話【幸か不幸か】



年末年始をダラダラと過ごしていた健太はTwitterに投稿される損益グラフを見て驚愕していた。

「…月次2000万…この人は日次500万!?これって1日の利益だよな…」

健太はベッドの上で寝転びながらTwitterを見ていると、おもむろに起き上がり手元にあったマルボロに火をつけ煙を吐きながらもう一度画面を確認する。

健太が今まで1年ほどコツコツ時間をかけて増やした金額を(とはいっても放置していただけだが)ものの数日や1ヶ月で稼ぐような化け物たちの存在に気づき動揺を隠せない健太は日次500万を稼ぐアカウントの過去の呟きを一心不乱に読み返し、そのアカウントと相互フォローのアカウントなどをとにかくフォローしてツイートを読み返していた。



どれくらい時間が経っただろう。
テレビからはどちらのワインが高いだとか安いだとかそんな番組が流れる中ウーバーイーツで吉野家を食べながら淡麗を飲む。


「俺もFXを勉強したらもっと稼げるのかなぁ…でもFXって怖いって言うしなぁ。」


健太はFXについて調べると破産や退場などネガティブな情報も嫌と言うほど目に入った。

しかし人というのは不思議なもので何故か【自分ならうまくいく】という考えが抜けない。

健太は学歴があるわけではないが決してバカではない。
この1年出来るだけ読書を行い努力をしたつもりだし自分のできる範囲で投資に関する本や自己啓発本を読み人生、お金を稼ぐ事に対するマインドは変わっていた。


「とにかくまずはFXに関する本を読んで勉強しながらやってみよう」

健太はAmazonでFXに関する本を10冊ほど購入しお店の営業日が始まるまで自宅に引きこもり、その間チャートを見ることを忘れ読書に熱中した。

一週間が経ち、ある程度の知識を吸収した健太は久しぶりにコインチェックを開きリップルの価格を確認する。



「嘘…だろ…」


リップルの価格は12月の高値から大幅に下落していた。


急いでTwitterを確認すると同じリップラーの仲間の阿鼻叫喚の声が聞こえる。


しかし人間とは都合の良いもので

【ここは買い増し】
【押し目だから今のうちに買っておけ】

ポジティブな投稿を見て健太は心を落ち着かせた。

しかしその中で

【ショートで儲けた!】

という呟きも目に入るようになっていった。
FXを学び始めていた健太はその意味を理解しまたFXがどれだけ稼げるかを理解していった。


健太は覚悟を決めてリップルを利確し
手元にはおおよそ1800万円ほどの資金があった。この資金をビットフライヤーFXに送金した。

健太の初トレードはショートだった。
まだFXの知識もなかった健太だが、せっかく覚えた知識を使って過去にしたことがなかったショートポジションを保有した。
よくわからなかったが本に書いてあったMACDがデッドクロスをしているから下がるのではないか?という単純な理由と本で読んだ知識やTwitterをやっているトレーダーのまだ下がるだろうという声を信じてショートポジションを保有したのである。

幸か不幸か健太のポジションはものの数分で大きな含み益となる。

ビットコイン市場は大きく売られ一気に5%
ほど下落し健太は15分ほどで+31万の利益を手にすることとなる。

「これは…凄い」

健太の1ヶ月の給料以上を15分で稼ぐことに成功したのである。
胸の奥が高揚する
心臓がバクバクする
自然と笑みが溢れる

健太は冷蔵庫から淡麗を取り出して1人祝勝をあげる。




健太はFXに夢中になっていた。

仕事先に嘘をつき仕事が始まってからも一日中チャートに張り付きトレードをしていた。

奇跡的にも月次は100万を超えていた。
こうなると心は浮かれていたし自分には才能があると思いはじめていた。


そして遂にその日を迎える


2018年1月26日
コインチェックネムハッキング事件


続く

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