小学校から大学まで
なんならもっと先も
お前と一緒にいられたらいいな
だって俺たち最強じゃん
抜群の相性じゃん
教科書貸し借りするし
今何考えてるかわかるし
部活じゃコンビだし
家に泊まりにだって行くし
布団奪い合ってくだらない小競り合い
したもんな

暇だったら
三つクラス跨いで
会いに行くよ
席空けとけよ
ないならお前の膝の上
座るけど
そういや体操服忘れた
お前のやつ貸してくれって言い終わり
いや名前ついてんだからバレるわと
ツッコミ入れられて

なんとかランド行こうぜ
絶叫マシン試してみたくないか
俺は余裕だしお前のビビる顔見とくわ
当日ふたりそれどころじゃない
怖いというより気持ち悪くて
カップル横目にベンチで死んでる

新作のゲームやろうぜ
お前金出せ
バカかアホ
結局ふたりない金出して買ったんだけど
なんで同じバージョン買ってんだよ
こういう時意思の疎通取れないのな
やっぱお前とはやってられんかもしれない
おい相棒のモンスター一緒の選ぶな
ネタバレするな
先々行くな
本気でボコボコにしてくんのやめろ

「なあ、流石にキモくね？」

後ろ指さされて気がついた
俺たち結構有名人
くだらない
相手にするのはやめりゃあいいのに
お前顔真っ青で

「俺たちキモくね」

お前が言ったらおしまいなんだよ
俺が産まれる前
染色体からやり直したら
気持ち悪くなかったのか
親友になったら気持ち悪いのか
お前のことはそりゃ気に入ってるし
相談事も笑い事も失敗談も下ネタも
言い合えてきたのに
今更気持ち悪く
なったのか

「お前気持ち悪いよ」

目も合わせないで言いやがる
俺たちの十数年
なんだったんだ？
深い意味なんてねぇよボケ
勘ぐってんじゃねぇよ
後悔してんじゃねぇよ
俺と誰かを交代させようとしてんじゃねぇよ

深い意味なんて
なかったのにな
どちらにせよお前とは
これっきりの縁だ

深読みしてんじゃねぇよ
お前こそ気持ち悪いんだよ
吐き捨てるしかできなくて

→「藍色の心臓」（連作2/2）へ続く

https://note.com/nefne/n/nc2891966c2c5