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しゅわっとする日々 本当の想い

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。


こんにちは、松竹梅です。よろしくおねがいします。

もうすぐ卒業式の季節ですね。
この季節になると毎年、中学生だった時のことを思い出します。
私が今よりももっとバカだったあのころ。

ひとつ上の学年に憧れの先輩がいました。
同じ部に所属していた、すごく大人な人。
先輩は私にも優しく接してくださいました。
その先輩の卒業式の日に私は本当の想いを伝えようと心に決めたのです。

式も終わり帰路に就く先輩の後をつけ、ひとりになったところで声をかけました。
「…先輩!」
「あ、松竹梅さん。…どうしたの?」
先輩の声を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった私。その口からは、こんな言葉が。

「先輩!先輩は……、湯豆腐と麻婆豆腐、どっちが好きなんですかっ!!」

「……湯豆腐、かな。」と先輩。

「……そう、です…よね……。おいしいですよねっ湯豆腐!あははっ!ご卒業おめでとうございます!」
そして私は逃げるように家に帰りました。

あの日以来、先輩には会ってません。

あの時、私が先輩に伝えたかった本当の想い。

──私、湯豆腐より麻婆豆腐が好きなんです──

時はたち、私は今、念願の中華料理屋でバイトしてます。
まかないはいつも麻婆丼。ここの麻婆丼がうまいのなんの。

私の夢は、バイトでお金を貯めて四川省の重慶に行き本場の麻婆豆腐を食べること。
そんな私を店長やバイト仲間は「マーボー」と呼びます。


【今回の執筆担当者】
松竹梅/好きな食べ物は麺類と鍋もの、好きなチューハイはキリン本搾りレモン。幸せになりたいです。

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