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しゅわっとする日々 カレーうどんについて

◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。


こんにちは、松竹梅です。よろしくおねがいします。

先日お酒を呑んでいた時、あることに思い至りました。それは、カレーうどんは陰陽師が考え出した食べ物だということ。
以前からカレーうどんと陰陽道の繋がりについては薄々感づいていたのですが、やはりそうだったかと膝を打ちました。
このひらめきを裏付けるため、私はさっそくはなまるうどんへ向かいました。

おしゃれな洋楽の流れる店内に入りカレーうどんを注文したところ、あたりの空気がふいに変わったのがわかりました。黄昏時のような独特の空気。
いつの間にかBGMも洋楽からかごめかごめに変わってました。でも、よく聴くとそれは空耳で、やっぱりおしゃれな洋楽が流れてました。

カレーうどんができあがり店員さんが私のお盆にことんと置いたその時、ふと気づきました。この店員さんは式神だと。
私の思考を読んだのか、
「よくわかりましたね。」
と笑顔で言う式神の店員さん。でも、なぜか口の動きと言葉が合ってません。
厨房を覗いたところ、どうやら他の店員さんも半分ぐらいは式神でした。

支払いを済ませて空いてる席へ。
この日はけっこうお客さんが入ってたのですが、なぜか談笑してるはずの家族連れやカップルの声は聞こえず、聞こえてくるのは、おしゃれな洋楽と切れぎれのかごめかごめ。それと、何処からか幽かに口笛の音も聞こえました。誰が吹いてるんだろうと思ったら私が吹いてました。

席に座り七味を振ろうとすると、
「七味は途中で入れなよ。」
小さな子どもの声が聞こえました。でもまわりを見渡しても子どもなんていません。
それでももっともな意見だと思ったので、七味をテーブルに戻しました。
そしてカレーうどんを食べ進めていると、
「そろそろ七味入れなよ。」
また子どもの声が聞こえました。
声に従い七味を振り入れると、カレーうどんは澄んだ淡い光を放ちはじめました。その光はみるみる強くなり、幾筋かの光が天井に伸び模様を描き出しました。
よく見るとその模様は北斗七星でした。
陰陽道において七という数字には特別な力があるとのことですが、なるほどこういうことか、と得心しました。

まばゆく光るカレーうどんをすする私。食べれば食べるほど、胃の腑のあたりがあたたかい何かに満たされていくのがわかります。気がつけばスープも飲み干してました。
程よい充足感を感じつつお盆をカウンターに戻し、店をあとにしました。背後からは、ありがとうございましたという式神たちの声。

令和の世の今なお、人知れず脈々と受け継がれる平安の陰陽道。その息づかいを今回カレーうどんの中に感じ取ることができました。

はなまるのカレーうどんおいしかったです。ごちそうさまでした。

【今回の執筆担当者】
松竹梅/好きな食べ物は麺類と鍋もの、好きなチューハイはキリン本搾りレモン。幸せになりたいです。

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