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国立国会図書館の来た道、行く道

機会をいただいて、「帝国図書館の遺産 国立国会図書館に引き継がれたもの」というお題で講演してきました。

ご一緒させていただいたのは、『夢見る電子図書館』を上梓された中井万知子さん、出版関係の本を多数執筆されているライターの永江朗さん、収集書誌部の竹内さん。

2023年にNDLの歴史に関する著作が立て続けに刊行されたので、それを踏まえてNDLの将来について考えようというものでした。

私自身は、帝国図書館設立に賭けた人たちが国立図書館にどういう思いを寄せていたか、また実際の帝国図書館がどういうことをしていたかについて話しました。

サービスよりは、どちらかといえば国立図書館としての機能に関わる納本制度や全国書誌の作成、さらにこれから出てくる多様な形態の資料のデジタル化といったことが話題の中心でした。

私自身としては、あそこやここではもう少しうまく喋れたのではないか…という思いが残ってはいるのですが、NDLの皆さんが、退職された方も含めて、ほんとうにとても大切に拙著を読んでくださっていることを目の当たりにして、とても感謝しております。

またパネルでは、「今後の図書館はどうなっていくか?」という問いかけに対して、きっと想像の上をいくと思うのでここで述べるのは難しい…と上手くこたえられなかったのですが、紙の本もデータも、形態がどんどん多様化していくところまで話したのだから、どうせなら「かつては図書の館だったものが集めるものがどんどん拡大してきたわけだから、未来は、図書館って言わなくなるかもですね」くらい言えばよかったのでは…と最後の最後で思ったりしましたが。

閉会の挨拶のなかで「納本制度というのは、完成したかたちが あってそれを守っていくというよりも、時代の変化や書物というものの概念が変化していくのに対応しながら、日々更新されていくべき制度なのだ と思う。納本制度はいつも新しい」という永江朗氏の「納本制度と私」の一節が披露されたとき、ああ、そうだ、これが今日の話に一番しっくりくる言葉だと思ったのでした。

目視で確認した範囲に限りますが、何人か授業をとっている学生さんも来てくれていたみたいで、嬉しかったです。元同僚は抽選だったようですが、それでも聞いたよとメールをいただいて、励みになりました。

ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

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