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[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] サントリー ~「角」÷H2O~

好きな広告を勝手に解説するシリーズvol.6は、サントリーの広告「角➗H2O」です。

今回は勝手に解説する前に、まずはボディコピーをじっくり読んでいただきたい。

いかがでしょうか。「あ~、なんかいい」と思いませんか。おそらく、ほとんどの方が似たような感情を抱いたのではないでしょうか。僕は初めてこの広告を知ったときにそう感じましたし、改めて読んでも同じように思います。

勝手に解説シリーズですが、解説なんて不要なほどです 笑。でもそれだと話が続かないので、あえて「なんでだろう?」を設定してみます。

不変の真理を突く

とにもかくにも不変の真理を突いているからだと思っています。あまりにも味に問題があるケースはさておき、「結局は誰と飲むか」が重要、というのは、誰でも共感できるのではないでしょうか。

高級レストランに、全く気の会わない人と行くか。その辺の安い居酒屋に、気心しれた人と行くか。罰ゲームか、致し方なくか、を除けば、みんな後者を選ぶはず。それは時代も場所も文化も年齢も性別も立場も関係なく。たぶん江戸時代も平安時代も、ブラジルでもスペインでも、信じている宗教が違っても、男でも女でも、団塊の世代でもゆとり世代でも、次長でも係長でも。

読み手の想像を支配する

水割りなのに、水入らずで、というオシャレ?な着地は、それはそれで巧みなのですが、そこまでの伏線がすごいのです。

まず、「水割りだから水が重要」から始まりますが、そうは言いません。「水」は「H2O」となり、「割る」は「➗」となり、「重要」は「問題」となる。読者は少し思考しないといけなくなります。想像活動のスタートです。そもそも、いきなり「その」という指示語から出発。指示語はそれ以前を示す代替ワードなのに「その」が一番初めというのも「どれ?」と思わせる妙技です。

そこから、水に対するあらゆる意見が延々と続きます。延々とあれこれ続くのが実は重要で、いろんな人がいることを想起させています。その上で、「よろし、よろし、なんでもよろし…」に。これは前述の「結局は誰と飲むか」に刺している。

そして最後の着地。「今夜あの方と、水入らずで角」。「水入らず」はひねりがあって面白いのですが、着目点は「今夜あの方」です。普通に考えると、「恋人と」「夫婦で」「親友と」など、水入らずの対象となりそうなワードを使ってもよさそうですが、「あの」を使った。これまでの流れで、多様な人を想像をさせながら進んできたので「あの」が来ると、読者その人にとっての「あの」が、すーっと浮かぶのです。ちょっと前に「結局は誰と飲むか」で刺し直前に「さて、あなたは?」とあえて問いかけているのも効果てき面。読者その人にとっての、最も大事な人が「あの」になる。

読後は、「角」は自分にとって最も大事な人と飲むお酒。というわけです。

以上、広告好きの私見でした。

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