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【フランス詩】ネルヴァル『4月』

9月に入り、パリに注ぐ陽も柔らかく黄金色を帯びて、秋のものになっています。

直近の1、2週間は、雨や雷雨の予報に反して天気が良く、気温も明日までは30度近くに上がるようです。
その後は本格的な秋雨の到来か、しばらく雨マークしか見当たらず、一気に涼しくなりそうです。



プロヴァンスで暮らしていた頃、春に数か月ぶりで雨が降った時に書いたものを見つけたので、季節は異なりますがこの機に載せてみます。

4月の雨。

今日、プロヴァンスは数か月ぶりに雨が降っています。窓からは見えるか見えないかという程度の、小さく細かい雨。午前中に部屋の電気を点けるのが随分と久しぶりで、なんだか新鮮なリビングです。
 
昨年の11月に散々雨に見舞われたと言っても、以降こうも降らないとさすがに水不足が気になっていました。数日雨模様が続くようで、自然にも私たちの生活にも良いだろうなと少し安心しています。雨も必要だなと思えるくらい普段たっぷり太陽を浴びているから。

 
「4月」と題されたジェラール・ド・ネルヴァルの詩。
ぎこちなくて恐縮ながら、素人の拙訳も付します。

 
Gérard de Nerval, Avril
 
Déjà les beaux jours, – la poussière,
Un ciel d’azur et de lumière,
Les murs enflammés, les longs soirs ; –
Et rien de vert : – à peine encore
Un reflet rougeâtre décore
Les grands arbres aux rameaux noirs !
 
Ce beau temps me pèse et m'ennuie.
– Ce n'est qu'après des jours de pluie
Que doit surgir, en un tableau,
Le printemps verdissant et rose,
Comme une nymphe fraîche éclose
Qui, souriante, sort de l'eau.
 
 
すでに美しき日々――土ぼこり
群青と光の空
燃えるような城壁と、長い夕べ――
緑はなく――ほとんどまだ
赤い光の照り返しが
暗い小枝の大木を装飾する
 
この晴天は私には重く、退屈だ
――雨続きの後にだけ現れる
緑を増してゆく、薔薇色の春は画に
純真な、生まれたての
微笑み水から上がる、ニンフのように