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イラストMVのイメージを起こす。

動画師という仕事をしています。依頼があれば、企業やイベントのプロモーション、CM動画なども作りますが、9割に5分はYouTubeに投稿するためのイラスト素材をベースにしたミュージックビデオ(以下MV)を制作しています。今日はILLUSTRATION*STOREさんのイラストがあまりに美しくてアイキャッチに使ってみたかったので、MVについて書こうかなと(動機が不純すぎる)

MV依頼時のプランニング


基本的にMV依頼は以下の3プランで受けています。

①ご依頼元のイラスト持ち込み
②イラスト代を頂きこちらで発注(割引対象)
③イラストなしで制作(割増対象)

①ご依頼元のイラスト持ち込み

私に限らず基本的にMVを依頼するときはこれが当たり前です。ご依頼元がイラストを用意します。ご依頼元のイメージと動画師のイメージが剥離しないよう、お預かりした素材をベースに世界観を作り上げます。特にVtuberさんの場合はキャラクター投影にこだわりがあるので、立ち絵をご自身で準備されるのが普通です。
但し、イラスト発注、動画発注でそれぞれスケジュールを組まなくてはいけないので、最低でもイラスト1ヶ月、動画1ヶ月くらいの期間を想定することをおすすめします。

②イラスト代を頂きこちらで発注

完全お任せ(丸投げ)プランです。普通の動画師さんは受けない手法ですが、私の場合は好きに動画を作れるので割引でお受けしています。最初に楽曲をヒアリングして、イラスト発注からイメージまでお任せ頂くプランです。私が懇意にしてるイラストレーターさんに発注する、及び依頼元さんとイラストレーターさんとのディレクションを省くことができる分、期間を短くすることができます(6週間ほどを想定)基本的にお預かりしている予算内で発注・制作しますが、私の方で作り上げたイメージを優先するため動画代を割引してイラストを多めに発注することも多く、予算よりも動画のクオリティが上がることが多いです。その分リテイクは受け付けていません。

③イラストなしで制作

イラスト素材なしでMVを作ります。リリックビデオをベースとするのか、世界観を3Dモデリングで作り上げるのか、モーショングラフィックを使うのか、依頼元とじっくり相談して作り上げます。素材がない分制作側の負担が大きいので割増料金でお受けします(私が苦手だからもある)イラスト発注のスケジュールがないので、1ヶ月くらいで納品します。

本家動画がある時

VOCALOID(以下ボカロ)の歌ってみたMVの場合は「本家動画」と呼ばれるカバー元のイラストMVに寄せて作ります(素材イラストもそこに寄せて発注されたものが多い)素材の点数が本家動画ほど無い場合がほとんどなので、本家の世界観を保持しながら、オリジナル要素を掛け合わせて作っていきます。ボカロ以外のカバーの場合は本家が実写ではありますが、基本ベースはそこに寄せます。ただし、アーティストが歌ってるだけの映像の場合はオリジナル寄りの制作になることもあります。
ご依頼元もカバー元のイメージでMVを依頼するので、リテイクも少なく、比較的作りやすい案件です。

本家動画がない時

ご依頼頂いたMVがボカロやオリジナル楽曲だった場合は、元になる動画がないのでお預かりした素材を元にヒヤリングしながら作っていきます。お預かりした素材が立ち絵のみの場合、もしくは素材なしの場合は、ヒヤリングしながらご依頼者様と一緒に世界観を作り上げます。ご依頼者様がイメージをお持ちでない場合は私の方でイメージの叩きを作ってお持ちします。歌詞を読み、楽曲をそらで歌えるくらい聴き込んで、頭の中にイメージを作ります。私はイラストが描けないので絵コンテは難しいですが、イントロ、1番Aメロ、1番Bメロ、1番サビ…ラスサビ、アウトロ、までの場面展開を資料に書き起こし、参考画像を載せて依頼元とのイメージの統一をはかります。

ディレクション代は発生しない

イラストレーターさんへの発注のやり取りや、イメージの叩きとなる資料の制作時間、もっといえば私が楽曲を聴き込んでイメージを膨らます時間(概ねうんうん唸ってるだけ)には金額が発生しません。制作にかかった時間ではなく、あくまで成果物に対しての金額として料金を頂戴しています。これはこの界隈特有というか、イラストレーターさんもヒヤリングをしたりラフを描いて描いて描き直したりみたいな作業が発生しているとは思うのですが、そこを金額に含めてしまうと個人に払える金額では無くなってしまうので、個人向けと法人向けで金額を変えてる方が大半だと思います(私もそう)

私の今携わってる案件はイラストの完成待ちステータスなのでお預かりした楽曲を延々聴いているところです(夜中の授乳中とかに)頭の中ではイメージのフル回転ですが、いまいまの時点で何か成果物があるわけじゃないので金額は発生しないですよね…このイメージを沸かせる作業が実は一番大変なのに、成果物が何もなければ側からは仕事してないように見えるのがクリエイターのつらいところです。

それでもこの仕事が好き。

界隈でのクリエイターはみんな採算度外視、趣味半分で頑張ってる人達がすごく多いです。もちろん一流の腕があれば個人相手でもディレクション代を請求するし、法人しか相手しない人もいます。でもそれ以外の人達は一流になるためにせこせこ今日も何かを作っています。大好きじゃなければできない仕事です。

だから、たまにテレビCMとかで界隈出身のクリエイターの作品をみるとすごく嬉しくなります。ちゃんと一流になって表の世界でスポットライトを浴びれるようになったんだね!直接存じ上げない方ですら、なんとなくタッチで、あ、これは界隈出身だなとわかる不思議。いつか日の当たる場所を夢見て、勝手に仲間意識を持ちながら、今日もせこせこ一人で作り続けます(クリエイターって結局ぼっちなものなんよ)

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