Ep.6 夢追い人は正しい判断ができなくなる
これは夢見るアラサーが映像クリエイターにホイホイされて後悔だらけになった話(言い方)。
ちょっと時間を戻して、引っ越し作業の話。
埼玉で、1LDKの広めの部屋で暮らしていたわたし。
(これは確かにハングリー精神ないどころじゃないわ)(でも家が居心地よくないと嫌なんですもの)
貧乏性かつ収集癖のあるわたしは、こまごましたものを買っては捨てられずにいた。
ようは一人暮らしのわりにめちゃくちゃ物が多い。
なんとか収納しようと思って棚なりカラーボックスなり買い足していったから家具も多い。
これ…自分たちで運ぶの無理じゃね…?
と思っていたわたしに彼の一言。
「この日に俺そっちの家行くから、その日までに絶対に捨てられないものだけ選定しといて。段ボール1箱分ね。」
・・・・・ぴぃ?
いま、なんて????
段ボール1箱分・・・・・・・・????????
無理無理無理無理無理むりむりむりいやいやいやいやえええええ
さ、さすがに無理です・・・って言うと
「こんなごちゃごちゃしたもの持ってて演技うまくなるの?」
そういうこと言うのずるくなああい???モノってそういうことじゃなくなあああいいいい?????
…でもそう言われちゃうとそうなんだよなあ…文房具とかつい買っちゃうからペンとかレターセットとかあふれてたし…捨てられないし…使わないけど…
大泣きしながらずんどこずんどこゴミ袋に捨てていく。
ああーーーーごめんねごめんね、わたしが買ってしまったばっかりに…ごめんねええええあああああ神様ごめんなさあああああい
400冊入る本棚買って並べてた漫画も、もちろんその棚も全部廃棄。
(崇め奉っている遊戯王だけはなんとか死守した!)
机も、タンスも、食器棚も、こたつも、ベッドも、
ぜーーーーーーーーーーーーんぶ廃棄。
がんばって勉強してきた資格の方に関係する書籍も、2冊まで。
(「普通に働きたいんだったら残せば」なんて言われちゃって。)
虚無。
もうこんなに心がスコーーーンと落ちたのは初めてかもしれない。
もともと物捨てられない人間が、ドッサドッサ捨てていく。
お金もそうだけど、これまでの時間も思い出も努力も、なにもかも一緒になくなっていくような感じがして。
ツラいなんてもんじゃなかった。
いや、おかしいおかしい。
普通におかしいでしょ。
何をそんなに洗脳されてんねん、って突っ込んでる自分もいたんだけどさ、「声優がー」とか「演技がー」とか言われると、「やっぱりそれぐらいしなきゃだめなんだ。このままじゃどっちみち人生詰むだけなんだから、モノでごちゃごちゃ言ってる場合じゃない。」って思っちゃってねー。
なにこれ、洗脳?盲目すぎん?笑
新人声優と言うには恥ずかしすぎるくらいの年齢だから、危機感とか焦りとかめちゃくちゃあって、こういう選択に関しては本当に冷静な判断ができない。これは今でもそう。本当に気をつけなきゃなあと思っている。
服やカバンに至っては9割ほど捨てられる。
理由はダサいから。笑
(映像のお仕事してるだけあって美的センスはあるらしいんだ、これが。わたしにゃ分からんけど。)
まあ確かに、わたしはファッションセンス的なものは皆無だし、いかにしてデブを隠すかくらいの拘りしかないし、いい歳してずっと使える良いモノみたいなのをひとつも持ってない。から、いいっちゃいいんだけど、
さすがに、いくら安くても買ったばっかりのニット捨てたくないじゃん?笑
めちゃくちゃおしゃれ~!と思ってるわけじゃないけど使い勝手のいいリュックとか簡単に捨てられるわけないじゃん?????
彼が帰った後、一人で作業してるときにこっそり何着か回収して段ボールに詰めたよね。笑
そしたらさ、後日また彼が来た時に、
ばれた。笑
んで、
大噴火、再び。
「こんなことするマインドの奴が成功するわけねえだろ。もういい。何も手伝わない。今後のことも知らない。一人で東京で生きて行けよ。」
って、帰ろうとする。
しかしここでひとつ問題が。
彼がうちに来るときって、彼は免許持ってないからわたしが彼の家まで行く→彼の車で埼玉に来る、という方法をとっていたので(これも片道1時間半から2時間でめちゃくちゃしんどい)、
・・・どうやって帰るん・・・???
ってなるよね。
わかった、送っていく、って言ったら「電車で帰る」っていうからさ、じゃあ車はちゃんと戻しに行きますんで…って言って彼が出ていくのを見てる。
いや、引き留めへんのかーーーい!
第三者的視点はこうですよね。笑
でもなんかさ、いっぱいモノ捨てろ捨てろって言われて、あーこの人無理だーって思っちゃったからさ、ここでさよならできるんならそれでいいやって思ったのよ。引っ越しはこれから業者呼べばなんとかなるし、とかのんきに考えてた。
多分、彼的にも引き留めるというかわたしが謝ってくる流れを想定してたんだと思う。
電車で帰る、って言った後わたしが「そうですか…」って玄関に向かいもしなかったから
「いいの?本当に帰るよ?もう今後一切何も手伝わないよ?」
って言ってきて。笑
でも虚無ver.のわたしは「はい。はい。大丈夫です。はい。」しか答えなくて(もちろん一歩も動かない)、
そのまま彼は出ていきました。
ハァアア~~~~~~…と大きなため息をついて、
さて、どうしようかなーーーーって考えて、
・・・数分後。
ご帰還されました。
「…車のカギ貸して。」
え、まさか無免許運転ですか!?
と思ったけどどうやらほかに言葉がなかったみたいで。
車のカギは受け取らず、話し始める彼。
「…どういうつもりなの?演技うまくなりたいんじゃないの?声優としてやっていきたいんじゃないの?何の価値もないだっさい服残してそんなもんにすがって生きていくつもりなの?」
はい、始まりましたー。
もうこの流れうんざりしてるよね。うん、わたしも。
あなたには関係ありません!って突っぱねてもよかったんだけど下手に反抗するとまた「この時間に対して事務所に請求する」とか言うんだよね、絶対。このモードに入ったときのめんどくささはもうイヤというほど体感してるから、ここは謝って従って場をおさめることを選択しました。
謝って従順な感じだしてると、ほら、彼、瞬間湯沸かし器だから。わりとすぐ冷めるのよ。で、「厳しいこと言ってごめんね、がんばろう。」って言って抱きしめてくる。わおDVの流れ。
段ボールは東京ー埼玉間を車で往復して運んで、
廃棄する家具はごみ処理場に車で運んで、
家電は持っていけないから全部買い換えて、
新居がけっこういい家だったから彼がいつか撮影で使いたいから家具もそれなりのもの置きたいとか言うからソファーやらチェストやらトータルで30万くらいかけて、
家賃クソ高いうえに初期費用びた一文まけてもらえなかったから初期費用50万くらい払って。
ああ・・・
わたし、
なにやってるんだろ・・・・・・・
と、思いながら5月を終える。
6月からの生活に、微かな希望を抱いて。
続きは、また。
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