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日本と中国 相続の違い⑤ 欠格事由

みなさんこんにちは。行政書士市川聡子事務所の市川です。
月曜日です。週末が終わりましたね~
当事務所の猫様は週末に頑張って下僕どもの相手をしてくれようとするので、月曜日は疲れ切って寝ています。猫様こそ「やっと週末が終わったー!」という人族の金曜日の夕方的な感覚だろうと思いますwww
猫様の下僕兼業行政書士です。

では本日は、先週からの続き日本と中国の相続の違いを読み解くシリーズの4回目の今日は「欠格事由」です。早速中国の民法典1125条から見ていきます。

中国 民法典1125条一から三
中国 民法典1125条つづき

(意訳)中国民法典1125条
以下に列挙する行為をした相続人は相続権を喪失する
(一)故意に相続人を殺害したとき
(二)遺産を争奪する目的でその他の相続人を殺害したとき
(三)相続人が(被相続人を)著しく遺棄(ネグレクト)、虐待したとき
(四)(被相続人の)遺言書を著しく偽造、変造、隠匿または廃棄したとき
(五)詐欺・強迫の手段により、著しく被相続人に遺言書の作成・変更または撤回をさせたり、またはそれらを妨げたとき
 相続人に上記(三)~(五)の行為が有ったときでも、確実に悔い改める表明が有り、被相続人が当該相続人を宥恕し、または遺言の中で当該相続人を相続人として列挙している場合は相続権を失わない。
 受遺者に上記の行為があったときは、相続権を失う。
#以上は私の意訳版です。正しい条文は中文をご参照ください

では、日本の民法で該当箇所はどうなっているのでしょうか?

(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(推定相続人の廃除)
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)
第八百九十三条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

(相続人に関する規定の準用)
第九百六十五条 第八百八十六条及び第八百九十一条の規定は、受遺者について準用する。
↓ 第886条
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

民法 | e-Gov法令検索

中国の民法典1125条では、日本の民法の「相続人の欠格事由」と「推定相続人の廃除」が合体しているのうな内容になっていますね。
ちなみに、欠格事由と廃除の違いですが。。。
日本の民法891条「欠格事由」では、被相続人の意思に関係なく、<欠格事由があれば法律上当然に発生する>のですが、892条の「廃除」では<被相続人の意思で家庭裁判所に申述する>違いがあります。
ここまで書くとご理解いただけると思いますが、「廃除」は<被相続人の意思で>行うため、被相続人の意思によって宥恕することは可能です。
ただし、相続人が「欠格事由」に該当する場合は相続権を回復することはできません。 ここは中国の民法と違うところになりますね。

今後も関連部分の法律の違いを掘り下げて行こうと思っていたのですが、当事務所のセキュリティーが本日アップグレードされまして。。。
中国語の法律解説サイト(裁判所などの公式サイトも含め)が全て「安全ではないサイト」としてブロックされてしまい。。。
条文のみは見られるのですが、「裁判所意見」や「司法解釈」と言ったような文章が見られないため、条文上の「表面的」な部分しか読み取れないんですね。。。もうちょっとトライしてみますが。。。
できないようなら、いったんここまで、という事になります。

それでは本日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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