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カスライフ、神戸に着弾

プロローグ


金がねえ〜!!
遊びに行きて〜!!

大学二年の夏、他の友人たちと行く予定だった台湾旅行が部活の予定によって頓挫した私は狭い部屋でVALORANTをしながらそんな嘆きにも似た叫び声を上げていた。
八月ももう半ば、夏らしいことをするには取り返しのつかないような時期になっていたのである。
一人旅に行くには自動車教習所の期限が迫っていたので、他人とちょろっと旅行に行って、その同伴者の誘いを言い訳にしないことには旅なんてできる身分ではなかったのだ。もちろん身から出た錆である。だが自分の非を認めることはQOLを下げる行為につながるのでここでは私のせいではないことにしておく。私のせいである。

だがしかし、金がないのである。
台湾旅行のキャンセルを行なった時期が悪かったせいで、支払った旅行費の半分ほどしか帰ってきていなかったのである。君死にたまへ。
他人と旅行に行こうにも、皆真面目にバイトをしている人間ばかりで、彼らは金がある分旅行先で金を使いまくるのである。そんな奴らと旅行に行こうものならば即刻破産だ。旅先の皿という皿を洗っても帰って来れはしないだろう。
まあ金がある奴は金持ち旅行するだろうし、金がない奴は旅行なんかしな

アホおった

いた。
アホの高校同期が。
ろくに金もないのに遠方旅行(ユメ)見てる漢たちいた。

18きっぷを使用した旅ならば金額もまあまあ瀕死くらいで抑えられよう。
宿代も車中泊とか言ってるくらいだしほぼ0だろう(脳内スーパーコンピューターは5000円以下の宿代はタダと計算しているので)。
もうこの時点で行かない選択肢は私の中にはなかった。
いざ、旅行である。

アンダーグラウンド東京

怖いよ〜!!
駐車場への道が既にアングラだよ〜!!

怖すぎて撮った写真が[Alexandros]のジャケ写みたいになっちゃったよ〜!!

鍛冶場橋駐車場という東京駅の駐車場でバスに乗ると聞いて来てみればこれである。
闇討ちとかされそうな雰囲気。ここが日本じゃなかったら財布は少なくとも無くなっていただろう。有楽町といえば飲み屋街が有名だったんだっけか。

来てみれば意外と普通

途中地図のバグで取引とかありそうなビルに入らされそうになったりクソ大回りさせられたりしながらやっとの思いで辿り着くと人人人。
身体に優しくない夜行バスを選ぶ人間がこんなにいるとは。
日本の政治家は早くこの現状をなんとかして私に現金を給付すべきだと思う。
(ところで夜行バスで旅行すること自体が好きな人間はこの世に果たして存在するのだろうか。コスパ以外見るべきところはなさそうだが)

しかし私は、ネット予約というやつが苦手だ。
まず第一に、詐欺かもしれないという危惧。
私の場合は最も安いものを予約している都合上常に「これ詐欺か?」という悩みと切っても切り離せない関係にある。じゃあネット予約じゃなかったらこの心配がなくなるのかといえばそうでも無いのだが、人と顔を合わせた方がわかりやすいことの方が多かろう。実際に係員が私の名前を搭乗者名簿から発見するまで、私は非常に情けなく、わかりやすくオロオロしていた。

これは愚地独歩(おろち どっぽ)

そんなこんなでバスに乗り込み、スタート地点の神戸へと向かったのである。

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