見出し画像

宇宙人日記8日目

✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼
これは、なぜか地球に生まれてきてしまった無職宇宙人・ぴーちゃんが綴る、日々の地球観察日記。
✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

ぴーちゃんはコンビニのレジに並んでいる。

出先でどうしてものりとはさみが欲しくなったからだ。
こういう無駄遣いも、ぴーちゃんは平気でやってのけてしまう。宇宙人だからね…。

コンビニは混雑していた。
時計を見て、そうか、とぴーちゃんは合点する。
時刻は正午を少し過ぎた頃。
どこのひとかは知らないが、きっと色々な会社のひとのお昼休憩なのだ。

綺麗に髪を染めて、綺麗にメイクをしたOL風の女性たちが、5〜6人、レジに並んでいる。
2つあるレジのうち、こっちのほうが早そう、というほうにぴーちゃんは狙いを定めて、OLさん(風のひと)の後ろに並んだ。

OL(風)さんの背後をとったので、ぴーちゃんはOL(風)さんをビカビカと観察した。宇宙人だからね…許されたいと思う。

見れば見るほど、OL(風)さんは綺麗だ。
きちんとしたオフィスカジュアル。くるんと上を向いたまつ毛。テロテロのブラウスと、テロテロのパンツ。足元は低いヒール。手に持つのは、パスタサラダとおにぎり。
このひとは、きちんと女性だな、と思った。

ふと、ぴーちゃんは我が身を振り返る。
今日はぴーちゃんもメイクをしていた。
それなりに小洒落た服を着て、前髪も一応くるんと巻いている。
まつ毛もくるん。
この列に並んでいるぴーちゃんは、きっと、この列に同化しているのだろうな、と思った。
前にいるOL(風)さんとも、その前にいるOL(風)さんとも、後ろにいるOL(風)さんとも、同じ。みんな同じ、ただの「若い女」。

ぴーちゃんは不思議な気持ちになった。
私は宇宙人なのに、この列を外から見た他の地球人にはきっと、この列に同化して見えているのだ。

私はまるで、地球人。

ぴーちゃんは自分の変身能力を誇らしく思い、地球人の列の中で、ニマニマと笑った。
でもなぜか、ほんの少しだけ、吐き気がした。生理かな。

ぴーちゃんのピクニック。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?