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〔雑記帳〕騙すなら気持ち良く!

私は騙されるのが好きだ。いや、決して実生活の話ではなく、推理小説やミステリー限定で。終わりの方で「え?」と驚いて、読み返すと見事に伏線が張り巡らされているような上質のミステリー小説に出会うと、「神さま、ありがとう」と言いたくなる。

決して、意外な結末なら何でも良い訳ではない。今まで読んだ中には「何だそれ💢」と怒りしか残らないものもあった。奇をてらいすぎて、こじつけと消化不良感しか残らないような作品には、お金と時間を返して欲しいとさえ思う。また、トリックそのものには感心しても、人物描写などが浅すぎて、登場人物の誰にも共感出来ない作品も好みではない。

と偉そうなことは言っても、最近はめっきり読書量が減ってしまった。そんな訳で古い作品が多いが、私の中で「どんでん返し」が見事だった3作を挙げてみたい。

1.「アクロイド殺し」
言わずと知れた、クリスティの名作。今でこそ珍しくない仕掛けだが、発表当時は「フェアか、アンフェアか」で問題になったらしい。オリエント急行殺人事件と迷ったが、個人的な趣味でこちらを選んだ。

2.「Another」
綾辻行人著のホラー。アニメ化もされたが、先に原作を読んだ時は「映像化は無理だろう」と思った作品。けれど見てみると、アニメは予想以上に上手くできていて嬉しかった。
ホラーではあるが、謎解き要素がしっかりあり、見事に気持ち良く騙してくれる。あまりに見事で、思わずすぐに読み返してしまった。同じ作者の「十角館の殺人」も面白いので、もし興味があれば是非。

3.「R.P.G」
こちらは長編ではないので、手軽に読めると思う。大人気作家の宮部みゆき著で、流石の面白さ。宮部氏は本当に面白い作品が多く、ジャンルの違う時代物や怪談も好きだ。
長編ミステリーなら「ソロモンの偽証」も大好き。読むうちに、最初に見えていたものと違う景色が見えてきて、どんどん読むスピードが上がってしまった。


最後に。上記の作品に限らず、人気作は映像化されることも多いが、その出来は様々だと思う。原作の雰囲気やコンセプトを壊さず、本当に良く出来た作品もある。が、そうじゃない作品も当然あるし、中には「どうしてあんなに面白い本から、こんな駄作が…」と呆れる物も。
最近の事件からも思ったが、原作の良さを消してしまうような安易な映像化は止めてほしい。作者も、ファンも、誰も幸せになれないから。原作がある物の映像化は、オリジナル作品よりも難しいと考えて、決して自己満足に走って欲しくはないと思っている。

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