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〔雑記帳〕蛙の子は蛙

まさかのコロナからやっと脱出し、昨日からは無事に仕事復帰。ここ4日は熱も出ていない。

最初、夜中にいきなり38℃台後半の熱が出たときは焦ったものの、翌日午前中には平熱に戻り「なあんだ、ただの風邪か」と甘く見ていた私。その後も、夜中にもれなく熱が上がること2日、さすがに気力も体力も削られて病院に行って初めて「陽性」と分かった。もっと早く診てもらえば良かったと後悔しても、あとの祭り。

家に帰ってから、取りあえず離れて暮らす息子に「コロナだったわ」「会社と家の往復しかしていないのに」とLINEしておいた。しばらくして、返信が来たようなので開けてみると、たった一言。「お大事に」。おい、もう少し心配するコメントはないんかーい!と打ちたかったが、何しろ体が怠くて面倒臭い。なのでこちらも一言、「ども」と返すと、薬を飲んで眠った。

夜になって、その息子から電話が。経緯を話すと「まあ、しゃあないやろ」と。続けて明るく、
「母さん、免疫が落ちそうなことしかしてないし」
ん?どういう意味?
「夜更かしの睡眠不足、運動してない、いつも食べ過ぎ。これで免疫が上がったら化けモンや」
…いやいやいや、間違ってはいないけれど、こんな時に言う?それ。
「いや、俺は前から言うてるやん」
そ、そうだけど!でも!言い返したいけれど反論が出て来ない。
「えー……」
不満げな私に、息子は容赦なかった。
「『えー』とちゃうやん。ほんまに」
「うー…」
「いや、『うー』ともちゃうから。もうちょっと気いつけた方がええと思うよ」
モゴモゴとまだ言い訳をさがそうと食い下がる私に、
「まあ、思てたより元気そうで良かった。はよ、薬飲んで寝とき」
と軽やかに告げ、お大事に~と電話は切れた。

布団の中で考えた。息子の言うことは正しい。正しいから余計に悔しいのだ。取りあえず今日ぐらいは、もうちょっと母を甘やかしても良くないか?何だか正論でやり込められるのは、面白くないー。ここで突然、ハタと気が付いた。これ、私が父親にやっていたことそのままだわ。

明るくて面白い父だったが、困ったところもある人だった。私や姉が繰り返し注意しても、生返事で誤魔化して逃げたり、逆ギレして怒り出したりするので、途方にくれたことも1度や2度では無い。私たちの言葉では効き目がないからと、弟にもキツく言うよう頼むと、
「言うことは分かるけど、みんなで理詰めで追い詰めてもしゃあないやろ。俺ぐらいは怒らんとくわ」
と言われた。あの時は姉と二人、大いに不満だったが、今は弟の言っていたことも分かる気がする。自分も本当は分かっていることを普通に指摘されると、逃げ場もなく反論も出来ず、とにかく面白くない。まあ、私も姉も必要に迫られて注意していただけなので、それが私たちの役割だったとは思っているが、弟は違うポジションでいてくれて良かったのだろう。

コロナで体調を崩した結果、過去に自分が正論をぶつけた父に、少しだけ申し訳なく思うことになった。仏壇を横目で見て、「なんかごめん」と呟いておく。それにしても親子って、似ていないようでも似ているようだ。ホカホカした布団の中で、少し笑ってしまった。

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