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〔雑記帳〕我が家のクリスマス

今年もクリスマスが近付いてきた。イブには母と二人、静かにチキンを食べる予定だ。外は若者やカップルばかりなので、家で過ごす方が疲れなくていい。

もう10年以上前、小学校高学年か中学生だった息子と二人、クリスマスイブにパスタを食べに行ったことがある。普段はパスタと言えば家で適当に作ることが多かったが、せっかくのクリスマスなので、美味しいパスタを食べに行くことにしたのだ。

息子がもっと幼いときは、近所の洋食店に定食を食べに行っていた。母と3人で行ったこともあれば、息子と2人で行ったこともあった。クリスマスになるとサンタさんやキャラクターのイルミネーションで店頭を飾ってくれるので、それを見に行きがてら、クリスマスのささやかなごちそうを食べて帰るのだ。エビフライ定食のエビは揚げたてのサクサクで、たっぶりの野菜サラダといただくととても美味しかった。
だが、マスターが体調を崩したそうで、それ以降、イルミネーションも夜の営業も無くなってしまった。しばらくは平日のランチのみ営業していたようだが、やがて閉店。年々少しずつ増えていたイルミネーションも、店内でたくさん泳いでいた白くきれいな金魚たちも、美味しかったエビフライやオムライスも、全部思い出になってしまった。

そこに行けなくなってから、洋食を食べに行くのは、とあるチェーン店とこのパスタ屋さんのどちらかになっていた。チェーン店よりもパスタ屋さんの方が近く、また静かで雰囲気も良かったので、息子と二人で久し振りのディナーに向かったのだ。留守番を希望した母には、別の店の中華を買って帰ろうと話しながら。

遅くなると混むかも知れないので、夕方の開店と同時に店に入った。が、流石のクリスマス、すぐに店内は満席に。そして見渡すと、私たち以外は全てカップル!お一人様はもちろん、男同士や女同士の客も全くいない。こ、これは居づらい。
「なんか、失敗したな」
「ほんまやな」
コソコソと息子と言い合いながら、そそくさとオーダーを決めたはずだが、何を頼んだかすら覚えていない。後はほぼ無言で必死に食べ、周りと目が合わないようにして逃げるように店を出た。別に、何も悪いことなんてしていないのに、あのばつの悪さは何だったのだろう。

この年以降、クリスマスはチキンを買って家で食べることに。息子が巣立って、家でツリーを飾らなくなってからも、その過ごし方は変わらない。平日なら、会社近くの焼き鳥屋さんで「クリスマス限定チキン」を買っているのだが、今年は日曜だ。さあ、どこのスーパーで買おうか…とまだ考えている。

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