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〔詩〕手のひらの恋

私たちは忘れてしまった
あの胸の鼓動
交わした約束
不器用な情熱

初めて手を繋いだ日
その繊細で強い手に包まれて
為す術もなく私は蕩けた
原形を留めぬほどに

なのに

あなたは忘れてしまった
あの日告げた覚悟を
私は忘れていた
あなたはそういう人だったこと

右肩の寒さに慣れ
背筋を伸ばし歩く夕暮れ
通り過ぎる恋人たちに
心がざわつくこともない

ただ

右の手のひらだけが
残り火のように
熱く震えている


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読んでくださった方、ありがとうございました。

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