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紙の本とワイヤレスのイヤホン

本がすきです。
紙の本がすきです。

単行本でも文庫本でも雑誌でも辞書でも、なんでもいいのですが、あの1ページをめくる感じがすきなのです。
三浦しおんさんの「舟を編む」の中で、辞書づくりに懸ける方々が描かれていました。
その中に登場した製紙会社の方とのシーン。たまらないですね!
辞書特有の〈ぬめり感〉。分かります分かります。

めくりたい。ただひたすらに、めくりたい。
紙の本がすきです。

先日、久しぶりに電車に乗る機会があって、ここぞとばかりに読書をしていました。
周りを見ればスマホを触る人の多いこと。
なんてこった!
と嘆いてはみたものの、ひょっとしたらスマホで本を読んでいるのかもしれませんね。
それはもはや本とは言わないのか。ナントカブック。
残念だけど仕方ないよなぁ。

そしてもうひとつ。
周りを見ればワイヤレスのイヤホンをしている人の多いこと。
なんてこった!
音楽はコードのイヤホンをしてこそでしょう。
なんならヘッドフォンで「音楽すきです!」をアピールするべきでしょう。
私、読書をやめ、おもむろに〈コード〉のイヤホンを装着です。
最初に流れた曲はザ・ハイロウズ「月光陽光」でした。泣ける。

わずかな優越感に浸りながら友人との待ち合わせ場所へ。
その先で友人がしていたのは、ワイヤレスのイヤホン。

おいおい、なんだよー

イヤホン談義を交わしました。
すると、友人が言うのです。
「でも、紙の本がすきな君がコードのイヤホンをすきなの、わかる」

あぁ、なるほど。そういうことか。
CDもいいけどレコードがすきとか、
エアコンもいいけど灯油ストーブがすきとか、
おにぎりの具はツナマヨもいいけどおかかがすきとか。

ただの好みではあるけれど、そういうことか。
私は「紙の本がすきだからコードのイヤホンがすき」なのだ。

友人に別れを告げ、なんとなく上機嫌で鼻歌をうたいながら帰宅しました。
おいしいごはんを食べ、あったかいお風呂に入り、布団を敷いて、夜な夜なパソコンをいじりながら思うのです。

あぁ、もう!マウスのコード邪魔だなぁ!
あしたワイヤレスのマウスを買いに行こうっと。

音瑚ひらり

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