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「silent」おなじ世界にいるのに

高速で相方のいる街へ遊びに行ってから体調がすこぶる悪くて、休み明けも仕事を休んでしまったときのこと。
昼ごろからすこし楽になってきたので、せっかくだからとずっと満足いかなくて気になってた髪を切ってもらいに行きました。

そこで、ドラマ撮影に地元の駅が使われたという話を耳にしました。
なんとその駅は相方が勤めてた店舗の最寄駅。
ちょうどその日の夜の放送なので観てみたら、劇中でわたしの大好きなスピッツが主人公たちの聴く音楽としてでてきました。
ストーリーもとても揺さぶられるものがあり今期はこのドラマを観ています、silent


*****


初めて番宣CMを観たときから気になってました。
でもまさかスピッツの楽曲がでてくるなんて、ましてやこんなに愛おしくおもえる作品になるなんておもいもせず。


ここからネタバレしますが、大好きだった人と再会したら大好きだった人の耳が聞こえなくなっていたというもの。

以前はおなじものを共有できていた紬と想。
でも紬にスピッツを教えてくれた想はもうスピッツを聞けなくなっていて、想は紬が好きだと言ってくれる自分の声を聞かせることができなくなっていました。

好きなものをいっぺんにうしなう。
つないでいたものが失くなる。
好きな人とおなじでなくなる。

こんなに悲しいことあるのかなっておもったら、涙が溢れて止まらなくなりました。
しかも想は紬と会わないあいだに、手話で話す“音のない”世界にいて…。
紬は想の手話がわからず、まるで交わることのない別々の世界の人になってしまったかのようでした。



わたしたちは体質が正反対です。
もとは二人とも化学物質過敏症のようだけど、わたしは体に不要なものを入れないことで、相方はあえて体に負担のかかるものを摂取することで安定させています。
わたしにはだめな場所も相方には平気だったりします。
価値観も家庭環境もだいぶ違います。
波動の重いものを食べたらとたんに気が合わなくなったりすると、別の世界の人のようにかんじたり。

けれどほかの人にはない特別な安心感や、言わなくても通じるような感覚があって…。
違うことがあることで補いあったりできるということは頭ではわかっています。
でもやっぱりドラマで聴者と聾者のように現実問題として改めてみせられることで、違う人同士はいっしょにはいられないのかなと考えてしまいます。
どうしてこんなに違うのに出逢ってしまったのか…。

以前にも似たようなことを書きました↓


ドラマの中で主人公の紬は、耳の聞こえなくなった想とまた話せるようになるため手話を勉強するなどして歩み寄っていきます。
わたしも自分なりに相方へ歩み寄ろうとしたことがありましたが、焦らせてばかりで歩み寄りにはなっていませんでした。
それに体質については、丈夫な相方の世界へ歩み寄るのは体への負担がかかりそうで、相方から歩み寄ってきてくれるしかないようにかんじています。
歩み寄れるようになるのかな…。


でもその不安は主題歌であるヒゲダン「subtitle」のワンフレーズによって救われました。

もう少しだけ待ってて
Official髭男dism「Subtitle」


紬と想が歩み寄っていくことで、二人のまわりにも変化が起きていきます。
わたしたちもまわりに変化を起こすために出逢ったのだとしたら…。

劇中でスピッツ「魔法のコトバ」がドラマのキーのように使われていましたが、きっと手話が二人をつなぐ「魔法のコトバ」なんだとおもいます。
そしてわたしたちにも「魔法のコトバ」があります、“誰も知らない”「魔法のコトバ」が。
きっと本来それが紬と想にとっても「魔法のコトバ」なんだとおもっています、声や手話とは別の。

まだまだ歩み寄るには準備が必要なんだろうし、わたしだって受け止める器としてはまだまだ。
でも「魔法のコトバ」がつないでくれる限り応えていたいとおもいます、“もう少しだけ待ってて”に。


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