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私的ゲーム史4(1)PCエンジン

エキサイティングホビーマシン

 まだゲームセンターが不良の溜まり場としての域を脱していなかった頃、僕がアーケードゲームの動向をその目で見ることはあまりなかった。そんな浅い知識の中、兄が購読していたベーマガから伝え見るアーケードゲームのグラフィックスは異次元の美麗さで、ファミコンやPC-8801mkⅡでは到底太刀打ちなど出来るはずもなく、それを家庭に持ち込むことなど夢のまた夢すぎて想像すらしていなかった。しかし、それを可能にしたのがPCエンジンだった。もちろん実際には、アーケードゲームに劣る点はいくらでもあったのだが、そう思わせるだけの革新的な家庭用ゲームの進化がそこにはあった。8bitながらCPUのクロック速度はファミコンの4倍。同時発色数は後発の16bitゲーム機であるメガドライブやスーパーファミコンをも超える最大512色。それがわずか14cm四方の小さな筐体に収められ、HuCARDというカード型の媒体でソフトが提供される。それはむしろゲームセンターが家にやってきたというよりも、未来の到来を感じさせるモノに他ならなかった。

ローンチとは

 当初、PCエンジンのローンチタイトルはハドソンから「THE功夫(クンフー)」「上海」「ビックリマンワールド」の3本として発表された(発売されたとは言ってない。ビクトリーランやネクロマンサーもローンチを目指してはいたらしい)。

vol.1なのにvol.1じゃない「THE功夫」

 「THE功夫」は横スクロールのアクションゲーム。迫り来る敵をカンフーを駆使してなぎ倒し進んでいく。スパルタンXを進化させたような感じといえばわかる人にはわかりやすいか。特徴は何と言ってもファミコンでは真似の出来ない画面半分にもなる身長をした巨大なキャラクタが見せるダイナミックなアクションで、PCエンジンの圧倒的なスペックを見せつけるローンチ作品・・・になるはずだったのだが、発売直前にバグが発覚してローンチには間に合わなくなった。パッケージにはvol.1と明記されたまま修正されることなく世に出ているのが何とも切ない。ちなみに店頭サンプルなどとしてHuカードに穴が開けられているのがバグ版で、稀に中古市場に流出している。リアルタイムに購入した記憶はないのだが、どこかのタイミングで唐突に手に入れていた。何キッカケで買ったのか全く覚えていないが、正直クリアのコツというものがイマイチ判らないソフトで、やり込んでも大して上手くなれないし、デカキャラを見せつけるためだけのソフトだなぁと思っていたことはよく覚えている。


解けないパズル「上海」

 「上海」は整然と積まれた麻雀牌を一定のルールに従って取り除いていくパズルゲーム。分類的にはソリティアの派生型で、Macintosh向けにアクティビジョン社より発売された作品の移植作になる。このゲーム、移植元であるアクティビジョン版からそうなのだが、一見無造作に配置された麻雀牌、本当に無造作ランダムである。そのせいでゲームが開始された時点で絶対にクリア出来ない詰み状態という可能性を避けることができない。もちろん、そんなことは一言も言及されておらず、今考えると結構メチャクチャな話である。買ってないけど一応ローンチということで触れておく。


良作セガゲーム「ビックリマンワールド」

 ローンチの中でも注目のタイトルが僕も購入した「ビックリマンワールド」。本作はセガの「ワンダーボーイ モンスターランド」のキャラ換え移植で、アーケードでの登場からわずか2ヶ月後の発売にも関わらず、攻略法がほぼそのまま通用する高い移植度を誇っている。もしかしたら本家よりも有名だったかもしれない。本作の題材になっているのはもちろん当時小学生の間で大ヒットし社会現象にまでなったあのビックリマンチョコ。中でも人気の高かった天使ヘッドロココを主人公として、悪魔始祖ジュラを倒すことが目的となっている。ただ如何せんキャラ替え移植のため、物語はガン無視といった感じで、ボスキャラの悪魔こそ多彩なものの、それ以外はヤマト王子ら神帝すら出てこない始末。そもそもヘッドロココも説明書にそう書いてあるからヘッドロココと認識しているだけで、デザインはちっとも寄っていない。とはいえ、前述の通り良移植だったこともあってか、それらの問題点が気にされることはあまりなかったように思う。面白ければ多少の矛盾など許された、そんな時代だったのかもしれない。むしろビックリマンワールドが面白かったことで、問題というか悔しい思いをしたのは本家であるセガユーザで、移植元タイトルのマークⅢ/マスターシステム版に比べ本体性能の差が如実に現れることになってしまった。そもそも、セガは競合他社の、しかもローンチにソフト開発の権利を与えること自体が異常なことで、似たようなことはメガドライブ発売後も続きPCエンジンは「セガの良作ゲームが遊べるライバル機」という訳のわからない状況として、一部では語り草になっている。

まあ鬼畜ゲー「妖怪道中記」

 「ビックリマンワールド」に続いて2本目に購入したのがナムコの「妖怪道中記」だったと思うのだが、こちらもアーケードからの移植作。アーケード版は見た目の可愛らしさとは裏腹に鬼畜な難易度と理不尽なまでのエンディング条件に評価は難しいところだが、PCエンジン版では幾分か難易度も緩和され、長すぎたステージも程良くなった。ただPCエンジン版はコンティニューが存在しないため、難易度が緩和されたと言ってもまだまだ高難易度の部類に入るゲームとして、プレイヤーにかなりの苦行を強いるのは間違いない。それでもアーケード版の理不尽さとは異なり、上達してミスを減らすことが出来ればけしてクリアできないものでもないらしく、個人的にはアーケード版よりもむしろPCエンジン版をおススメしたい(とか言いつつ、下手の横好きな僕自身はどんなに頑張っても竜宮城で乙姫様の舞を堪能するぐらいまでが限界だったりする)。

Step By Step「魔神英雄伝ワタル」

 「魔神英雄伝ワタル」を知ったのは、学校からの帰宅後、テレビをつけた途端に始まったアニメの初回放送だった。ロボットアニメながら、どちらかといえばコメディ色が強く、気軽に見れる作品であり、それでいて勇気、友情、優しさなどを垣間見ることができる夢のある作品になっていた。個人的に思うのは主題歌が特に素晴らしく、今でも聴くたびに前向きになれる力をくれる。
 そんな作品がPCエンジンのゲームとして登場した訳だが、いかんせん微妙であった。何というか、何かが絶対的に酷いということもなく、特筆してここが良いということもない。ただ淡々としていたのが一番の印象。戦神丸やシバラク先生、幻神丸やヒミコ(と父上)との共闘もなければ、空神丸とクラマのエピソードも、虎王の駆る邪虎丸との熱いバトルもない。放送中のゲーム化なので、物語も中途半端(まあそこは特に意識することもないけど)。ゲームバランスもいまいちスッキリしないし、終始モヤッとする感じだったのはやっぱり残念だった。

セレブなゲーム機「CD-ROM²」

 さて、その後もHuCARDのゲームを買っていたかと思っていたのだが、ソフトの年表を追ってみると、次にはもうCD-ROM²の発売になっていた。意外と発売が早くてびっくりする。
 CD-ROM²(シーディーロムロム)は世界初のCD-ROMを媒体とした家庭用ゲーム機で、CDプレイヤーとインターフェースユニット(本体とプレイヤーを接続し、且つ保存用メモリの役割も果たすユニット)で構成される。定価32,800円+27,000円(もちろんPCエンジン本体24,800円が別途必要)という目を疑う程の価格設定だったが、パソコン向けのCD-ROMすら当たり前に10万円以上していた時代、メーカーとしては破格の値段設定だったはずだ。まあこの後も、スーパーシステムカードやアーケードカードといったアップグレードのための費用はかさむ訳だが。

スト1こと「ファイティングストリート」

 例によって、そんな高価な商品も、祖父の援助で発売日当日には購入することに成功する。同時購入は「ファイティングストリート」。タイトルこそ変わっているが要はストリートファイター1である。スト1はアーケードでも異彩を放つゲームで、1レバー2ボタン制の格闘ゲーム。そう聞くと、攻撃に強さの違いがないのかと思われるかもしれないが、そうではない。なんとボタンを押した(というか殴った)物理的な強さにより、ゲーム内の攻撃の強さも変化するのである。前述の通り、僕はほとんどゲームセンターに行かなかったので当時実際に見たことはないが、どこの筐体も強く叩かれたせいでボタンがイカれてしまっていたという話はよく聞くあるあるだ。流石にPCエンジンでそのシステムは再現できないので、アーケードの簡易版でも適用された、ボタンを押している長さによって強さが変化する仕組みが採用されている。ただこれよく考えて欲しい。ボタンの長さを判定するということは、普通に考えてボタンが押されてから離すまでを判定しているということだ。つまり押した瞬間にはコマンドは発動しない。ここにこのゲーム最大の問題がある。そう、格闘ゲームの醍醐味である技がことごとく出ないのだ(今の格闘ゲームに慣れた人ほど、この違和感は気持ち悪いので是非試してもらいたいところ)。その代わり、必殺技が当たった時の効果は凄まじい。昇竜拳の一発も当たろうものなら、敵に与えるダメージは体力ゲージの1/3をゆうに超える、まさに必殺技の名に相応しい威力を誇り、当たった時の爽快感はたまらなかった。
 PCエンジン版の移植度は完璧と言って良いと思うのだが、何も移植度の高さだけが特徴ではない。それがサウンドだ。タイトル画面こそ静かなものだが、RUNボタンを押した瞬間から流れるCD音源の迫力あるBGMと音声によるナレーション。それはゲームサウンドとしては聴いたことの無い未知の領域のものであり、音楽にそこまで造形の深くない僕ですらその衝撃に興奮を隠しきれなかった。それはCD音源の特徴でもあり、このゲームに限った話ではないのだが、ファイティングストリートではふんだんに生音が利用されており、それはCD-ROM2最初期の作品として技術的にまだ未開拓だったことも作用してのことだったので、ある意味で唯一無二な特徴に昇華していた。

今も大好き「ソンソンⅡ」

 アーケードでも比較的有名だったカプコンのソンソンは西遊記を元ネタにした横スクロールのシューティングゲームで、ファミコンに移植された際にも可愛らしい雰囲気を良く再現していたと思う。そんなソンソンの続編としてPCエンジンオリジナルで発売された「ソンソンⅡ」は、アーケードゲーム、ブラックドラゴンのキャラ換え移植であることはあまり知られていない。まあ言葉で追っていくと少々ややこしいが、遊べるのはPCエンジンだけくらいに覚えておけば差し支えないだろう。何せブラックドラゴンの無骨なバタ臭ささえする雰囲気に比べ、ソンソンⅡは当時の女の子層にも十分に受け入れられそうな可愛らしさを持っていたし、マップも違えばシステムの変更点も多く、ステージクリアに必須なアイテムの追加があったり、コンティニューにもアイテムが必要だったりと、別ゲーと言っていい程に異なる。
ソンソンと比較しても、向こうはシューティング、こちらはアクションと、ジャンルも違うし、そもそもゲームタイトルのソンソンは主人公の名前から来ているのだが、ソンソンⅡの主人公はソンソンではなく、孫悟空だったりする。この辺りは当時のユルさ、戦略性の薄さが垣間見える。
 原作も本作も高めの難易度である点は共通する部分ではあるが、どちらも理不尽さはなく、やり込めばクリアできない難易度ではないので、歯応えのある良作と言える。久しぶりにプレイしたら全然進めなかったが、それでも当時は僕がクリアできる数少ないアクションゲームの一つだったので、個人的には良い印象しか持っていない。

渋さが目立つRPG「アウトライブ」

 「アウトライブ」は、ジャケットに描かれたサンライズ顔負けの90年代風ロボットがめちゃくちゃ格好良い、ジャケ買い必至のSUNSOFT製HuCARDゲーム。ジャンルはまさかの3DダンジョンRPG。コックピット視点によるメイン画面の構成はセンスが良く、敵との遭遇時など演出もワクワクさせてくれる。ただ本作は残念ながらチャレンジングな作品とは言い難く、ゲーム自体は割と淡々と進む。原因としては、まず3Dダンジョンが街から街への移動を邪魔する迷路でしかないこと。途中でアイテムを発見するだとか、イベントをこなしていくだとか言うこともほとんどなく、複数の街への分岐路などもない。
 次に戦闘。戦闘はランダムエンカウントで、襲われた方向を向いてしまうので戦闘後に迷いやすく、戦闘自体も1:1なので戦略性に乏しくなってしまうのはどうしても避けられない。
 街にはデュエリストと呼ばれる対戦者が待ち構えており、この出会いが毎度の物語進行の中心となる。このゲームを楽しめるか否かは、ここでのやり取りを如何にモチベーションとして持続できるかだろうか。
僕としてはけして嫌いではなかったのだが、人に勧められるかと言われるとやはり唸ってしまう。今となっては、淡々としたレベル上げがまだギリギリ許された時代の残り香、ジュブナイル的なSFへの陶酔、そうしたものへの
寛容さがプレイの持続、クリアへの鍵かもしれない。

満を持して登場の「天外魔境ZIRIA」

 この頃のPCエンジンユーザならば誰しもが期待していた新作、それが「天外魔境ZIRIA」。CD-ROM媒体ということで、ドラクエの数百倍の容量でどんな物語が描かれるのかと話題となり、PCエンジンユーザのみならず、ゲーム好きな人々からは大いに注目を浴びた。個人的には、それまでHuCARDゲームが基本的にセーブ機能を持たない構造だったこともあり、RPGの発売がそこまで自由活発ではなかったことも期待を寄せる要因になっていたのではないかと思う。
 当初の目論見では、NPCがみんな顔グラ付きだとか、戦闘にアクションが組み込まれるだとか、いろいろなことが期待を込めて語られていたが、誰も作ったことがないゆえの机上のナントカでローディングの問題などから、公開されていた開発中の画面とは、大きく舵を取った別モノのゲームとなる。結果的にはテレビアニメのようなグラフィックスのキャラが活躍する比較的無難な作りに収まる形となった。メインテーマを含む3曲を坂本龍一氏が作曲したことが大々的に謳われていたのが印象的で話題性もあり、ここでゲーム自体に天外魔境Ⅱに匹敵するような魅力を引き出せていれば、世の中もっと変わっていたかもしれない。
 とはいえ、圧倒的なボリュームとビジュアル重視な演出は、その後の大作志向を方向付ける一つの指標になった。オーソドックスだからこそ、ベースとなる面白さも地に足の付いたもので、本作は良作と言って間違いはない。いまいち盛り上がらなかった和風RPGというジャンルにおいても、外国人から見た誤った日本という、スパイスの利いたテイストを持ち込むことで風穴を開けた作品になっていたのではないだろうか。
 さて、そんな天外魔境、もちろん発売日にはバッチリ手に入れ、満を持してプレイを始めた・・・かったのだが、ここで大問題。なんとまあ、動かない。読み込み始めるんだけど先に進まない。ファイティングストリートはなんの問題もなく快適に動作するというのに、待ちに待った天外魔境はウンともスンとも言わない。これは初期不良に違いないとお店持っていくも在庫がないのでメーカー対応待ち。どれだけ待たされたか待たされなかったかはよく覚えていないが、ちゃんと手に入れていたのに1日でも待たされるのは蛇の生殺し状態だった。そして改めて届いたパッケージを開封してゲームをセットするも、なんとやっぱり動かない。これはもはやCD-ROM2本体の問題に違いないと、今度はCD-ROM2を修理に出すも帰ってきた診断書には、問題ありませんでしたの文字が。こうして僕は襲いくる絶望感と虚無感に苛まれ、しばらくの間、Pエンジンから離れてしまうことになる。
 結局、何がきっかけだったのかは忘れてしまったが、壊れていたのがCD-ROM2ではなく、PCエンジン本体だと気が付くのは、確か1年近く先の話で、当然の如く、天外魔境への熱はだいぶ冷めていた。要所要所で流れるアニメーションとそれに合わせた音声による表現はこれまでにないRPGの姿を示したと言っても過言ではないのだが、目新しさというものは、やはりリアルタイムで触れなければ感動は薄い。遅れてプレイしている分、先が長いというもの微妙な感覚であったりする。もちろん、前述の通り良作であることは疑いようはないのだが、個人的にはなんとも腑に落ちない理由で熱意を奪われた思い出となってしまった。

ゲーム小休止のアイドル期

 PCエンジンから距離を置いて1年近く、そういえばあの頃は何をしていたんだろうと思って調べてみたら、ちょうどこの頃は僕がハマっていたアイドルの増田未亜が歌手デビューした年だった。地球防衛少女イコちゃん2で主演を務めたことで、コンプティークの記事を通して知り、木曜パオパオチャンネルで毎週見れることに至福の時を過ごしていた。当時はアイドルといえども、その動向を知るのはなかなかハードルが高く、テレビも出演するかもしれない番組(要するにアイドル枠がある番組)を片っ端からチェックして、彼女が登場した時には何度も繰り返しビデオを見たりして、結構な時間をつぎ込んでいたのかもしれない。

滅びし平家の恨み忘れた訳ではあるまいな「源平討魔伝」

 ナンヤカンヤでPCエンジンに投入する小遣いもなく、天外魔境から1年近くも間をあけて買ったのがナムコの「源平討魔伝」。当時のナムコといえば、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、アーケードゲームに見る作品群は、名作しかないのではないかという程の黄金期だった。そんな時代にあっても尚ひときわ異彩を放っていた存在が「源平討魔伝」である。横、平面、ビッグの3つのモードで構成されるアクションはいずれも操作性がよく、軽快で且つ豪快。高品質なグラフィックも見る者を魅了し、特にビッグモードの美麗さは他に類を見ない程で、驚愕の眼差しで迎え入れられた。何より、その世界観が秀逸で、復讐のために蘇ったダークヒーローな主人公というのも作品の人気に拍車をかけた。
 と、まあPCエンジン版はそこまでの深い思いがあって購入した訳ではないのだが、雑誌などの前評判も高く、少なからず見た目の移植度も良好だったこともあり、久しぶりに期待値の高い作品だった。アーケード版の攻略パターンが通用しないなどはあるものの、そもそもアーケード版をほとんどプレイしていない僕にとっては何のマイナス評価にもならず、むしろプレイしやすくなっているらしかったのもあって、僕をPCエンジンに引き戻すには十分すぎるタイトルとなった。まあ、相も変わらず、クリアなんて全然出来てないんですけどね。

キャラバンの感動再び「スーパースターソルジャー」

 キャラバン系シューティングといえば、なんといってもファミコンのスターソルジャーだろう。かく言う僕も、当時は映画館に足を運び、高橋名人による伝説の16連射スイカ割りに狂喜・・・って、そうじゃない。まあとにかく、スターソルジャーは高橋名人の人気との相乗効果で爆発的にヒットした。そしてその人気に値するだけの面白さを持ったゲームだったことは疑いようもなく、懐古主義的なものではない、真に今プレイしてもハマれること請け合いのシューティングだった。そんな伝説的なゲームタイトルを冠した正当な続編としてPCエンジンに登場したのが「スーパースターソルジャー」であり、このゲームが面白くない訳がない。ハドソンとて面白くなければならなかったはずだ。開発は金子製作所の担当で、自機のネオシーザーすら前作のシーザーの面影をまるで感じさせず、マップの裏側に隠れることもないし、ゼグもなければ、ラザロも、デライラも出ない。ビッグスターブレインさえだ。「あまりにも変わりすぎた」という意見も少なからずあるのは甘んじて受け入れよう。しかし、それでもなお、本作はやはりスターソルジャーを受け継ぎし、スーパーなスターソルジャーなのだと言いたい。あのスターソルジャー以上のキャラバリズムとも言うべきプレイ感覚こそ、スターソルジャーの進化系に他ならないのではなかろうか。ただひたすらに撃って撃って撃ちまくり、尽きることのない敵勢をことごとく破壊していくあの爽快感。シューティングゲームを誰もが遊んでいた頃のあの楽しさがここには詰まっている。

合言葉はBee「出たな!!ツインビー」

 続いては「出たな!!ツインビー」。発売日的にはまた間が空いているが、正直この辺りは中古のゲームを買ったりもしていて、何をどのタイミングで買ったのか記憶がだいぶ怪しいので、とりあえず覚えているものをピックアップ。
 シリーズ5作目ながら、アーケード版としては初代から6年ぶりの新作シューティングゲーム。横シューのグラディウス、縦シューのツインビーとして90年代コナミの看板タイトルの一つと言って良いのではないだろうか。ファミコン、ゲームボーイではだいぶブレブレな感じもしていた設定も、本作から次第に整いはじめ、ポップな可愛らしさにも磨きがかかった。とはいえ、ライトやパステル、ミントと言ったパイロットらの名はまだなく、ウインビー国民的アイドル化計画などをしても、しばらくは機体とパイロットの名は同一視されていた。後にこうした設定が明確化するラジオドラマ、ツインビーPARADISEの登場までにはもう少し時間がかかる。
 ゲームの方は、地上と空中を撃ちわけて敵を倒していくところはオーソドックスなスタイルながら、過去作同様に、雲を撃つことで現れる色ごとに効果の異なるベルを回収することでパワーアップするシステムが特徴となっている。ただ、ベルは弾を当てるたびに色を変えるため、目的の色にするのが意外と難しい。そうこうしている間にも敵は攻撃を仕掛けてくるので、それに対応していると、ベルを撃ち漏らしたり、余分に撃ってしまったりと、なかなか思うようにはいかない。元々、難易度の高いゲームなので、クリアまで意識すると相当に苦労はすると思うが、けしてプレイヤーを裏切るようなものではなく、期待通りに進化した歯応えのある作品と言えるだろう。
 PCエンジン版はステージ6がまるっとカットされ、ボイス演出もなくなり、多重スクロールもしないなど、探せば違いは多く、アーケード版からのプレイヤーからは不評の声は大きい。ただ、僕も先立ってアーケード版を遊んでいた身ではあったが、面白さの本質的な所はけして削ぎ落とされておらず、敢えて比較するからこそ批判にもなるが、知っていても大して気にはならなかったというのが個人的な意見。難易度設定のオプションもあるので難しさも家庭用としては優れた作品だったのではなかろうか。まあ、サターン版とかプレステ版とかもあるので、普通の人は今からPCエンジン版触る理由はないんだけど。


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