可能性の端緒を手放す。

本を所有することは、私にとって可能性の端緒を握りしめる行為なんだ。

成りえたかもしれない自分、この先成るかもしれない自分の可能性という名の亡霊が心に住んでいるから、なんとなく本は手放しがたい。

この本を、この本にある言葉を、いつか使うかもしれない。
だけど、使うような場面が今の自分の生活の中にあると思う?
否。否だなぁ。

たくさんの自分でいることはできなくて、一番心地いい自分が今だから、今つかわないものは手放していこう。
誰かに捧げたい言葉もたくさん吸収してきたけど、一番捧げてあげたい自分にはもう捧げたから。ウチに来た本の役目は終わったんだ。

捧げたい言葉の魂はもう自分の中に入ったから。
今度は私の心を通って変化した言葉を、大切な誰かに捧げればいい。

そう思いながら箱に詰め、次の誰かへ届ける準備をする年末。

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