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人災派遣RPGリプレイ最終話『仇星、闇を駆ける時』07

●07

カヤカ:今日もよろしくお願いしまーっす!

GM:君たちはラスボスのアダシを倒しました!エンディングが始まります!!

柳沢:はははこやつめ。

秀史:うそくさい。

GM:ラウンド最後、おじさんの手番となるのですが、アダシを倒したことにより、『調査項目:管制塔エリアの奪還』が完了。演出が入ります。

カヤカ:む。確かに、倒したことにはなる、んだよな……。

GM:カヤカくんの攻撃を受けたアダシこと小菅さんが「ああっ!」と倒れ伏したちょうどその頃。

紗綾:キルマークを上げますぅ。

カヤカ:ジャージにつけんの!?(笑)

GM:管制塔の防衛部隊と、奪還に向かっていたC国大校の率いる部隊は鮮やかな手際で連携!ついに、包囲していた『共工』の部隊に大ダメージを与え、管制塔を奪還するのであった!

紗綾:政治家のボンボンとはいえ、普通に軍人としては優秀だったんですね。

カヤカ:う、うーん?

GM:『指揮官』のスキルを持っている人が見れば、大校は口だけではなく、かなりしっかりした戦術家だということがわかる。「状況クリア!」「ルート確保しました!」などと言いつつ、救出部隊は管制塔の中に入っていく。

紗綾:「終わったんです?」

柳沢:「……妙だな」

カヤカ:「いやでも、……相手は『竜』だぜ……?」

秀史:「……向こうの作戦が次フェーズに移行した、くらいに考えておいたほうがいいだろうな」

チシャ猫:これ管制塔が爆破される流れや!(笑)

柳沢:なにせ『共工』の読みは『ピラーブレイカー』だからなぁ〜。

カヤカ:逃げ出してえ~~!(笑)

GM:「どうやら君たちも無事だったようだな」「あーやっとオワタアルー。砲弾使い切ったアルヨー」と、MBSの二人も駆けつけてくる。

紗綾:お二人も無事で何よりですぅ。

GM:こちらはずっと、大校を影でサポートしていたようだ。「これから管制塔の安全を確保した後、宇宙ステーションとの通信を確保、島の掃討戦に入ることになる。君たちも塔の中に来るといい」

柳沢:「油断しなさんな。……相手は『異能殺し』の異名を持つ『共工』だ。どんな罠を仕掛けているか知れたものじゃない」

GM:「……うむ、我々も最大限の警戒はしているが……」

カヤカ:「えっえっマジでホントにあれだけ?」(うろうろ)

GM:「各種ゲート確保!」「フロア1-3F クリア!」「管制塔中枢、連絡回復しました!」

柳沢:「敵の狙いもまだ未知数なところがある。今、ウチの『剣擲手』が手がかりを見つけたところなんだが、検分が終わってないんだ」……他社の人がいないとなかなかコードネーム呼びしないね(笑)。

一同:それな(笑)。

GM:「よくやってくれた!諸君!君たちの武功は今後我が国の歴史に永く語り継がれるだろう!」と言いつつ、大校が管理等の中枢に入ってくる。

カヤカ:おれとしては、ウチの仕事がこんなに簡単に終わるわけがない…!」という予感がひしひしと。

柳沢:大丈夫、みんなもだ(笑)。


 「宇宙ステーションとの連携は?」
 「は、問題ありません!」
 「この塔は中央政府とのリンク以外、完全に通信がスタンドアローンですので」

 ……粛々と戦後処理が進行してゆく。


GM:……すると、大校に従軍していた情報士官と思しき人が……(一同笑)。

柳沢:あちゃー!そこかあ!(笑)

紗綾:あらら。

GM:……「我が目的は果たされた」と言いつつ、ふらふらとメインコンソールに歩み寄り。……隠し持っていたUSBメモリを差し込む!


 途端、管制塔のシステム群が不審な挙動を見せ始め、次々とダウンしていく。

 「メインコンソール、アクセス不能!」
 「緊急時システム、ロックされてアクセスできません!」
 「非常停止ボタン、回路物理ショート、動作しません!」
 「防衛システム、ダウン!隔壁もロックされています!」
 「メインシステムから宇宙ステーションへのコマンド送信を確認!」
 「異常な軌道が入力されています!こ、このままでは……」

 「宇宙ステーションが落下してしまう!」 


カヤカ:「猫!猫ーッ!あっだめだ接続ないんだっけか!?」

柳沢:「ないなら繋ぐんだッ!今すぐにッ!!」

秀史:「『何のために撃破できる程度の戦力で襲撃したか』をもっと考察すべきだったな」

GM:「こ、これは一体……!」と狼狽する大校さん。

秀史:「『共工』の目的は最初からC国部隊の殲滅。自分たちが狩られる側に回る可能性に思い至らなかったあんたのミスだ」

柳沢:うーむ。どうすりゃいいんだろ?(笑)

チシャ猫:まぁ正直なところ、出てきたタスクをクリアするだけかなーって(笑)。

カヤカ:身も蓋もない(苦笑)。

チシャ猫:依頼人側の動きは干渉できないからね。何かありそうとわかってたけど戦ったし、状況が動いたから対処する。

紗綾:派遣社員のつらいところですぅ。

GM:……ここで、一言だけ管制塔のコンソールに、文字が表示された。


『関門捉賊計』


柳沢:「……門を関(と)ざして賊を捉(とら)う、か。やられたね」

カヤカ:「何だそれ?えーと、こーし?そんし?」

紗綾:『城内に誘いこんで一網打尽にする策じゃな』

柳沢:「『兵法三十六計』の一つさ。山や森に潜む賊を捉えるには、追いかけまわす必要はない。城を空にして敵をおびき寄せ、入り込んだところを門を閉ざしてそのまま殲滅してしまえば良い。C国主力部隊はまんまと誘い込まれたというわけだね」


 「だ、大校!こちら軍港エリア!奪還したはずの施設に、突如敵部隊が逆襲して、ぐわああ!」
 「こちら砂浜エリア、同じく敵の逆襲が……!」
 「管制塔周囲、囲まれています!」
 「隔壁、稼働しません!」
 「防衛システムもダメです!」
 「こ、これでは部隊を展開できず、各個撃破されるだけに……!」


秀史:門も弓も壊された城に押し込められ、兵力差の利点を殺されているな。

GM:ということで!調査項目が変わるぜ!

●【調査】システムダウンした管制塔を復旧させよ①

 システムダウンした管制塔を復旧させ、宇宙ステーションの軌道を回復させよ。……まずは現状を把握せよ!
 必要達成値:2
 目標値:20 ハッカー

 判定条件:管制塔エリアに居ること(超遠スキル不可)

 達成後、システム復旧の具体的な手段が開示される。

●【管制塔エリア】真・『共工部隊』の攻撃

 管制塔エリアは再度テロリストの包囲攻撃にさらされる。
 兵士達の数は変わらないが、S級エージェントであるゲリラ戦術家『共工』の指揮を受け、遥かに戦闘力が上昇している!気をつけろ!

兵士×4による攻撃
 スキル:
 『共工の指揮』
  イニシア:15に上昇
  防御、命中、威力にボーナス

 『戦術:禹屠陣』
  四回攻撃のうち、もっとも命中の達成値が高い攻撃を範囲攻撃とする

 『戦術:蚩尤陣』
  四回攻撃のうち、もっとも威力の達成値が高い攻撃をGP貫通とする

 一人倒すと、次のラウンドのメインフェイズラストに補充される。

●【軍港・砂浜エリア】真・『共工部隊』の防衛

 軍港エリア、砂浜エリアの兵士たちも復活。
 下記のスキルによって強化される。GP:8

 スキル:
 『共工の指揮』
  基礎能力が上昇する

 『戦術:凶鎖陣』
  半包囲による超集中砲火
  3回攻撃の後半ほど命中、火力が上昇する

 『戦術:龍鱗陣』
  兵士のHPが0になったとき、一回だけHPが1になって耐える(一人まで)

柳沢:うーむ……。

GM:管制塔にいるメンバーには、本気を出した『共工』の部隊による集中攻撃が待ち受けている。しかも倒しても無限湧き。

カヤカ:ちょっと!?

紗綾:むぅ、雑魚どもに無限に沸かれてものぅ。大将首はどこじゃ?

秀史:兵士を全滅させれば、次の補充までは一息つけるということか。

紗綾:城攻めがいつの間にかタワーディフェンスになってたですぅ。

チシャ猫:C国軍の大元は何やってるの!?

GM:作戦開始時、重要拠点とはいえ一つの島の奪還に全軍を動かすわけにはいかないので、十分に勝てるだけの兵力と機動性を備えた部隊を向かわせていた。今から本国が慌ててスクランブルで増援を動かしても……間に合う気がしない。

カヤカ:(チェック)……ってことは、とりあえずシタナガさんの洞窟調査結果を待ちつつ、おれらは管制塔の障害の状況を把握、になるかな?

GM:以上、ほぼ判定としては出揃った感じです。なんとかして管制塔をハッキングし返してください!

●メルジャヒ島 戦況図

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●柳沢のターン

柳沢:むう、正直デジタル関係はおじさん苦手!ここはシタナガくんの報告をもとに、アダシの調査を進めよう。倒れてる小菅さんの体調確認も含めていいかな?

GM:よしとしましょう。

柳沢:では、ミスティック、『魔力制御』で(ころころ)28、問題なく成功!

GM:君は混乱する情勢のなか、シタナガくんから送られてきた情報を分析していく。まず、破壊された像ですが、材質はちょっと特殊だ。メルジャヒの名産、『絹黒檀』という木からできている。

柳沢:その名前には記憶があるな。もともと、特産品であるこの樹木を伐採するための開発だったんだよね?

GM:イエス。だがもう一つ、この『絹黒檀』というのは呪術的な特性を持っていることが判明する。この木はいつぞや戦った魔剣のように、自らの内部に『回路』を生成することができるのだ。

カヤカ:んー……。USBメモリとか、SSDドライブみたいに、ソフトの代わりに呪術を入れておける感じ?

GM:そのとおり!この像の中には、『復讐神アダシ』……というより、太古の呪術師によって作られた、『復讐によって無限に規模を拡大するアダシという名前のプログラム』がインストールされていたようだ!

柳沢:面倒臭いなあそれ!小指ぶつけたくやしい→いろいろあった→人類みなごろし、ってなるやつじゃん!

GM:正確には、小指ぶつけたくやしい→復讐判定に挑戦、成功、レベルアップ→さらに難しい復讐判定に成功、レベルアップ→挑戦→……、……人類滅亡 って感じだ。

紗綾:負のわらしべ長者ですぅ。

柳沢:言いえて妙だね。

GM:そして、先にシタナガ君が調べたように、この像には欠損している箇所がある。……ずばり、アダシの正体、というかコアは、『木像が持っていた、絹黒檀製の槍の穂先』だ!

カヤカ:穂先にプログラムが刻まれてたのか……!

秀史:というより、像から穂先にプログラム本体を移して、移動した……?

GM:さてクイズ。おじさんは判定に成功してるからわかるんだけど、穂先は今、どこにあるでしょう?

柳沢:小菅さん、だろうね。

GM:いえす!

秀史:ですよねえ。

柳沢:妙齢の女性の身を探るのは少々気が咎めるが、まあ、カヤカ君がやるよりは外聞がよかろう。

紗綾:私がやりましょうか?

チシャ猫:……触った人、次に乗っ取られたりしない?

カヤカ:紗綾さんはナシで!乗っ取られるとやべーわ!

紗綾:柳沢さんが是非やりたいというのであれば(笑)。

柳沢:キャラ的にそんなに気にしないかな。ビジネスだし。必要であれば汚れ仕事も辞さないので、割とへーぜんと身を探ります。「緊急事態だからね、ごめんねえ」

GM:君は倒れている小菅さんの背中をあらわにする。……すると、背中から胸にかけて、槍が貫いたと思われるエグい傷跡を発見した。

柳沢:「これは、酷いね」

GM:さらに観察すると、傷に同化するように、木の欠片が埋まっている……!

柳沢:……ふむ、摘出は出来るかな?

紗綾:触ると判定、失敗すると乗っ取られるとかないです?

GM:……摘出は、できます。判定も不要。

紗綾:出来るんだ?

GM:だが。君がよく見ると……既に半分ほど、外科手術で摘出された跡があるね。

柳沢:はぁん?

紗綾:おや?

カヤカ:ワケミタマかーいッ!?木が本体だから、自分を物理的に分割させたと!

柳沢:カヤカくん鋭いね!

紗綾:……じゃあ、これはアダシの残り物?

柳沢:では、残り半分は……?

GM:いっぽうその頃、同じ管制室では「こいつ!何ということを!」「貴様、テロリストに内通していたのか!」等と、USBを突っ込んだ情報将校が取り押さえられてるのですが……。

秀史:その人かぁ……。

GM:……おじさんがよく見ると、その男の手にも傷がある。

カヤカ:これガチのワケミタマ、本体が増えてます……?

柳沢:自然にこうはならんだろね。さて、誰が摘出して移植した?

秀史:アダシが『共工』に依頼したんでしょう。自分を移植できるように。

GM:シタナガくん大正解!アダシは本日のために、『共工』に依頼して自分を分割、摘出して、他人に埋め込めるようにしたのだ。

柳沢:……それはわかったが、どうやって敵対しているC国の、しかも情報将校なんて如何にも身元チェックが厳しそうな人に埋め込んだんだい?

GM:「これは……以前、オフの日に街を歩いていたときに、暴漢に刃物で襲われたんです。その時は手に違和感があったくらいだったのですが……!」

チシャ猫:この場に来る情報将校の情報漏れてるやん。

GM:『共工』は自らの構築したスパイ網で、この作戦に参加する将校を特定、仕込みに入ったというわけです。

カヤカ:さすが『竜』。高難易度の諜報判定を盤外で成功させる。ずるい(笑)。

GM:おじさんは感じ取れるが、小菅さんと情報将校に埋まっていたコアはもう『抜け殻』のようだ。ごく簡単な魔術で取り出せるだろう。

柳沢:いざとなれば天美の切り札を使うつもりでいたけど。……成功なら何より。

GM:君は取り出した破片を検分する。……行方不明だった穂先のうち、小菅さんの体内に残っていたのが50%、情報将校の手に埋まっていたのが、25%だ。

カヤカ:やっぱりまだあるじゃん!!

秀史:当然そうなるだろうな。小菅さんが囮。情報将校がハッキング。肝心の『最後に復讐を実行する役』がいない。

GM:ということで、残り25%はどこにあるのでしょう?

柳沢:……パロカか?

GM:おっと。それは彼女と会ったシタナガくんが、それは無いと断言できる。

柳沢:となると誰だ?他に関係者いたっけ?

カヤカ:実はMBSの二人のどちらか……とか。

チシャ猫:『共工』本人が体内に埋め込んでブーストかけてるとか……。

カヤカ:例えば1%ずつ25個に分割されて、兵士達に埋め込まれてるとか無いですか?

GM:それはない。アダシのコアとして機能する限界の大きさが、25%のようだ。

柳沢:個人的には『共工』は、他人の異能を利用はしても、自分が異能をとりこむことはしないタイプであって欲しい(笑)。

GM:ということで、残り25%の行き先を考えてもらいつつ。それはそれとして調査の成果がある。……君は神の正体を見破った。これにより、復讐神の権能をひとつ大きく減じた。具体的には、『毎ラウンド一回の判定キャンセル』がなくなった!

紗綾:やったー!

カヤカ:いよっしゃぁー!!!

柳沢:あれほんとエグいんで勘弁してください(笑)。

GM:神秘を暴くことによって、神は弱体化していくのです。

●【済】アダシについて

 アダシの正体は、木像の槍のかけらに埋め込まれたプログラムだ!
残り25%のかけら『コア』を破壊すれば、アダシを倒せる。

 ・最後のかけらの場所を探せ!(プレイヤーに心当たりがあれば宣言しても良い)

 ・『神の呪い』(判定失敗)が解除される

GM:ちなみに、残り25%についてはヒントを出していたりします。

紗綾:んー!?

カヤカ:実は紗綾さんに埋まってた、とかのオチはホント勘弁してほしい。

柳沢:うーん、残り25%の行方はおじさんお手上げ。……それはそれとしてサブで治療、カヤカくんのSPを回復。高級傷薬+『魔力解析』で(ころころ)37点回復。

カヤカ:ありがてえーッ!

GM:……ちょっと説明が足りてないと思うので、カヤカくんがアダシのコアに触れると、当時の状況が映像として浮かんだ、としましょう。

カヤカ:おお、では遠慮なく。ちょっと怖いけどな!

 カヤカが欠片に触れると、当時の状況が脳裏に浮かびあがってくる。

 洪水で崖の洞窟まで追い詰められたメルジャヒの女性、子供たち。

 そして、そこにはたまたま現地でボランティアで来ていた小菅女史の姿もあった。

 どんどん上昇してくる水位。

 追い詰められた者たちは、アダシ神の木像を発見。

 すると彼女たちは、木像に自らの血を塗り込み始める。

 メルジャヒの人々の血を吸うと、神像は動き出し……。

 手近にいた女性……小菅女史に対して、槍を突き刺した。

 槍……コアは折れて小菅女史の体内に留まり、彼女はアダシの依代となったのであった。


カヤカ:「起動プロセス、ってことか?じゃあ小菅さんは、誰かに刺されたってわけじゃない、のか」

チシャ猫:像に血を塗り込めたってことは、メルジャヒの女性たちはアダシの起動方法を知っていたのかにゃ?

GM:ボイザも知らなかったので、彼女たちも知らなかったはず。ただし、アダシの存在自体は伝わっていたので、追い詰められ絶望した先で復讐神の像に出会い……これこそ天の導き、復讐を果たせ、ということになった、のかも知れない。

カヤカ:「つっても……胸糞悪い……」

柳沢:避難した時点では誰を恨めばいいかもわからんかったはずだからねえ。

チシャ猫:あとは最後のコアがどこにあるかだにゃー。

秀史:洪水事件の後、しばらくは100%小菅さんの体内にあって、今回の事件の下準備として、C国情報将校と、あともう一つどこかに埋め込まれた、と。

チシャ猫:復讐には見届人が必要で、多分それがパロカ。よってパロカには埋まっていない。これはまあわかる。あとは大校、だけど情報将校に埋まっていれば周りも気づきそう。あとはまったく登場していないモブキャラ……。

カヤカ:衛星のクルー……も考えたけど、さすがに手が届かなすぎるしなあ!

GM:ぶっちゃけ、今の所コアの居場所はまだ重要ではない。目前の戦闘と調査に注力するがよいでしょう!

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