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人災派遣RPGリプレイ最終話『仇星、闇を駆ける時』15【完結】


●エピローグ

GM:……精算も無事終了、お疲れさまでした。

一同:生還~。

柳沢:めちゃくちゃリソース使ったけど、報酬も多額だったからね。しばらくは仕事しないでも不自由なく暮らせるくらいはもらったよ(笑)。

GM:以上を持ちましてミッションは終了となりました。そのうえで、皆様に今後の身の振り方とかを語ってもらって、キャンペーンのお開きにしたいと思います。

一同:はーい。


●柳沢について

柳沢:ではおじさんから。帝国ホテルでのパーティはパスして、会社の忘年会に出ますよ。宴会部長なので、出席しないわけにはいかないんです。

秀史:宴会芸持ってるんですか(笑)。

柳沢:ちょっと魔術を駆使してね?(笑)

GM:「やあやあ柳沢くん、君が仕切ってくれないと困るんだよね~」人当たりのよい総務部長が気安く肩を叩いてくる。君のことを知らない若手は「ちっ、宴会部長で給料もらえるとか気楽でいいよな―」とか思ったり、古参の社員は「やれやれ、今年はアイツにあまり頼ることにならずによかったよかった」と胸をなでおろしたり。

カヤカ:うーん、おじさんはおじさんなんだな。

柳沢:パーティには天美を派遣しておきます(笑)。

「親の褒章を代わりに受け取る娘がどこの世界にいるってのよ」

 文句を言いつつも、名代として生真面目に仕事をこなす柳沢天美。

 そして。

「はっはっは、毎年のこれだけが楽しみですからなあ。最近若い子の出席率が悪くて寂しい限りですが」

 宴会部長も、A級への昇進も、『神殺し』も、日常の一つ。

 柳沢天治は柳のように、飄々と日々を過ごすのであった。


●紗綾について

紗綾:では、次は私で。たまっているガス代電気代水道代が払えますぅ!(笑)

カヤカ:結局それか!(笑)

紗綾:……そんなこんなで、その後しばらくは平穏な日々が続きまして、無事進級!

チシャ猫:学校、行ってたの?(笑)

柳沢:夏休みにヤクザ潰しに行ってたり、まともな学生生活送ってる気配が感じられなかったからなあ(笑)。

GM:児相案件とか中学までは学費無料とかのネタばかりだった気がする(苦笑)。

紗綾:まあ、そういう子でも進級できる高校なんでしょう、一芸が優れていれば他は求めない!

柳沢:こりゃ私立極道高校ルートだね……。

紗綾:魁!乙女塾でひとつ。……進級を機に道場を継いでのんびりすごそうかと思っていたのですが、おおおじいちゃんが神殺しにハマりまして(笑)。

柳沢:神殺しにハマるとかヤバすぎんだろ!

紗綾:ことあるごとに人に仇なす神を斬る旅に付き合わされることになりました……。ただいま某国の某雪原地帯を放浪中です(笑)。

柳沢:ゲーム感覚で神を殺すな!(笑)

秀史:斬リグルイ(笑)。

カヤカ:派遣業界の都市伝説になってそう。怪奇!神斬り女!

チシャ猫:怪奇で済むか!(一同笑)

『かかか!紗綾よ!近くにおるぞ!気を抜く出ないぞ!』

「寒いですーこごえるですー!進級できたのに留年しそうですぅぅ!」

 猛吹雪の中、雪原で刀を振りかざして駆けてゆく刀真紗綾。

『ワシより強い神に遭いに行く!』

 その先に待ち受けているのは果たして何者であろうか。

カヤカ:完全に格ゲーのエンディングだ。

GM:カミカゼ・ガールからカミキリ・ガールにランクアップしましたとさ、めでたしめでたし(ほっこり)

チシャ猫:ほっこりしてない。

柳沢:きっと夏の劇場版ではマント来て戻ってくるに違いない。

紗綾:そろそろチェーンソーが欲しいですぅ。

カヤカ:うちのチームのやべーやつがやべー。


●カヤカについて

カヤカ:オチになりたくないから行きまーす。

秀史:カヤカがオチじゃないなんて!(笑)

カヤカ:とりま、タダメシ食って死んだように寝て起きたあと、その日は友人と遊ぶ予定が入っているので普通にジャージのままホテルを出ます。学生の遊ぶ予定はバイトより重い。

柳沢:そのジャージそこそこ銃弾喰らってなかったっけ?(笑)

カヤカ:(笑)一応戦闘制服だから貫通まではしてないかなあ。

GM:「スポーツ大会で遠征中の子かしら?」と高級ホテルに宿泊中のマダムの声を尻目に、君はホテルをあとにする。まさか君が南海の孤島、果ては宇宙まで遠征に行っていたとは思いもよらなかったのであった。

カヤカ:「わり、寝すぎた。遅れる」などとメッセージを投げつつ、急ぎもせずにバイクを押して、いつものゲーセン。

秀史:バイクも壊れかけだったっけ?

GM:バイクは亡霊くんがガードしたのでノーダメでした!

柳沢:またがるや、次の戦場へ向かって走りだすデュラハン(笑)。

カヤカ:ボロボロのジャージに、絵面面白いんでバイクにデュラハンくっつけたまんま駐輪場に停める。「うーっす、飯行こうぜー」とゲーセンで早々に友人に声掛け。

秀史:男子高校生の日常って感じだあ。

カヤカ:ジャージ穴開いてんぞとか、来てすぐにメシかよとか言い合いながら大盛無料のラーメン屋に入り、ラーメンをすすっていると、店のテレビで人工衛星の一部がーって流れるニュースを見る。

柳沢:ホテルでたらふくいい飯食ったあとで。若いねえ(笑)。

紗綾:高校生ってこういうことするものなんです?(笑)

「明日空いてる?」

「空いてるにきまってんだろ」

「カヤカはー?」

「おれ?んー……」

懐のスマホに目を落とし。

「明日バイトだわ」

居垣カヤカは、ニッと笑って答えるのだった。

秀史:これは主人公だわ……。

紗綾:きれいな個別エンディングでしたね―!

柳沢:なんかヤバい仕事が入ってそう。

チシャ猫:バイト内容:シベリアでローカル教団の全滅を確認、現地調査されたし

カヤカ:畜生身内の仕業ァーーーッ!!(一同爆笑)

GM:高校生活と危険なバイト。シームレスに居垣カヤカの日常は続くのであった。

カヤカ:多分もう抜け出せないんだろうなあこの業界!

柳沢:そして30年後はおじさんの立場になる、と(一同笑)。

カヤカ:ならない!多分!きっと!

GM:ここで画面が白黒になってスタッフロールが入るやつですね。

カヤカ:「……あ、結局バイクについてるヤツ、どうすんだ……」


●秀史について

秀史:次は俺かな。とりあえず脳も身体も酷使しすぎたんで寝込んでいます。うーんうーん。

GM:キャンペーン最終だから実質影響なしだけど、本来は一回休み級のダメージということで。

柳沢:「どうすればこういう体の壊れ方するんですか……」と治療班の天美。

チシャ猫:大気圏外の神を投擲で打ち崩したら、かな……。

柳沢:あたまわるい(笑)。すっかり恒例のセリフになった(笑)。

GM:たぶん二日酔いで三徹したくらい脳がしんでる状態がしばらく続く。

チシャ猫:お見舞いにチシャの人形を枕元においておいてあげやう。

カヤカ:鉢植えとどっちがいいんだろうなそれ。

チシャ猫:盗聴器とか入ってる可能性がない分鉢植えかな。

カヤカ:自分で言うんかい!(笑)

秀史:手管を駆使して大学の講義。しばらく家を出なかったので報酬も使い切り……そこで猫にご飯奢る約束を思い出す。

柳沢:そういえばそんな約束してたねえ。

紗綾:約束を破ったら後が大変そうですぅ。

秀史:「……やべっ」慌てて食事代のために仕事を入れる。猫の約束破ったらあとが怖い……。

カヤカ:二サンじゃーん仕事しようぜー!(笑)

秀史:そんな感じで金欠な日常が続くエンド。目指せS級。次の目標は奥義をリタイヤせずに使用できる、かな。あといつか猫の弱みを握ろう。

「そういえば、この間、地上から宇宙ステーションを撃ち落とした奴がいたそうだ」

 世界の何処か、ごく限られた者のみが集う場所で、そんな会話がかわされる。

「ほう。……まさか俺や『魔弾』と張り合える奴が出てくるとはな……」

 どこかで誰かが楽しげに笑った。

 S級エージェントたちの領域。

 大気圏を貫いた二秀史の技量は、さらなる強敵との邂逅を指し示すものであった。

柳沢:落としてない(笑)。噂に尾鰭がついてる!

秀史:噂ですからね(笑)。

GM:シタナガ君の射程距離延長のチャレンジはまだまだ続く!

カヤカ:チーム内に業界の都市伝説が二人いるんだが。


●チシャ猫について

GM:最後に大トリ、チシャさんお願いします~。

チシャ猫:にゃー。まずは今まで『チシャ猫』って名前だけで二つ名も一緒だったけど、『電脳世界のシュレディンガー』の二つ名を新たに習得したいと思います。

一同:おおー。

チシャ猫:シュレディンガーのチシャ猫になるのにゃ。

柳沢:すごく存在が不確定っぽい(笑)。

秀史:生身の肉体捨ててそう。

紗綾:魂の電子化ですぅ。

チシャ猫:どこにでもいるしどこにもいないのサ。

 あるマンションの一室、モニターの明かりだけの暗い部屋の中でラフな格好の人間がキーボードを忙しくなく叩いている。

「にゃっはっはー!」

 世界中の情報が暴かれ、改ざんされてゆく。世界に広がるネットの海は今日もチシャの遊び場だ。

「さーて次は何で遊ぼうかにゃー、あー世界は楽しい事がいっぱいなんだにゃー」

 ……背後には、普段来ている着ぐるみが立てかけられている。

 暗がりの中、チシャ猫……いや、新たに『電脳世界のシュレディンガー』の名を得たハッカーは、素顔でも着ぐるみそっくりの、いたずら好きな笑みを浮かべるのだった。

GM:着ぐるみをオフにして、素顔が見えているという演出ですな。

一同:おお!ついにチシャさんの正体が!

(チシャ猫のプレイヤー、素顔のイラストを開示する)

柳沢:ひえ……!

秀史:おおう、これは……!

チシャ猫:『異形』だからねー。

カヤカ:そういう異形だったのかあ。

チシャ猫:中身はあのチシャですよ。というか、そうやって周囲が引くから外に出れなくなったという。

秀史:これは自宅に押し掛けたいなぁ(笑)。

チシャ猫:この真実を突き止めた結果、はたして脅せるかな?

GM:今ならオープンにしちゃってもいいかもですが、2話のストーカー事件のときに、素顔についての設定は頂いておりました。

カヤカ:わぉ。

柳沢:なるほどねえ。

チシャ猫:設定の時点で異形を取った時点で、決めておりました。

秀史:おおー。

チシャ猫:かわいいチシャ様に戻ろう(イラストをもとに戻す)。

GM:ちなみに、チシャさんの奥の手は着ぐるみをパージして、皆に素顔を晒す代わりに全力のハッキングが可能、というものでございました。

カヤカ:拘束具だったのか着ぐるみ……!

柳沢:敢えてしなかったかあ。

チシャ猫:敢えてしなかったというか、数値的にする意味がなかったというか。

秀史:確かに。判定に2ターンかけるならわざわざパージする必要もない、か。

チシャ猫:一回目の判定で100に届いてたら、パージして120で一発抜きするつもりだったけどね(笑)。使わなかったので、プレイヤーの皆さんはともかくメンバーは知らないままってことで。

柳沢:これは小説とかで輝くやつだなあ。

GM:叙述トリックとかの短編がはかどるやつですね。

紗綾:またGMが自分の首を絞めていますぅ(笑)。

GM:竜を退治し、神を打倒した君たち。A級への昇進を果たしても……。やることは、あまりかわらないのであった。

カヤカ:そらそうよ(笑)。

紗綾:あまり変わらずみんなで仲良く神殺しですぅ♪


 人と人との思いや事情、欲望が絡み合うところに仕事は生まれる。誰かの手に負えない仕事は、手に負える誰かのところに回ってくる。

 普通の人も、異能の者も違いはない。

 ただそのハードルが少し高くなっただけ。

 PCやスマホにメールが着信すれば、彼らは今日もまた、少し日常からはみ出た世界で、己の力を存分に振るうのであった。

「――やれやれ、もう仕事に復帰かい? せわしないねえ……」


GM:人材派遣のCCC キャンペーン、ここに完結です!みなさま、お疲れさまでした、そしてありがとうございました!!

一同:ありがとうございました~!


●CAST

 『魂砕き』居垣佳夜迦: ILL様

 『剣擲者』二秀史: けん様

 『チシャ猫』→『電脳世界のシュレディンガー』: 霜之助様

 『カミカゼ・ガール』刀真沙綾: なてぃーゆ(猫又公司)

 『枯れ柳』柳沢天治、
 『レディ・ウィロウ』柳沢天美: 潮屋(猫又公司)

 GM: 紫電改(猫又公司)

 Presented by 猫又公司    お読みいただきありがとうございました。

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